その45 漢パについて思うこと
『小説家になろう』に登録して早行く年。今までくだらない作品ばかり執筆してきたわけですが、執筆すればするほど、漢字の『伝えようとする力』の凄さに驚かされます。
伝えようとする力、僕はこれを漢字パフォーマンス、略して漢パと呼んでいるわけですが、この漢パに毎度驚愕するわけです。
例をあげてみましょう。そうですね、では先程使った『驚愕』なんてどうでしょう。
いやぁ、凄い漢パですよね。もう滲み出ていますよね。『驚』だけでも普段とは違う雰囲気を思わせるのにそこに『愕』を組み合わせる離れ業。『愕』なんて普段滅多に見ませんよ。それを使うことで、かなり驚いている様子を想像させる、いやぁ凄い。グッド漢パ!
どうでしょう。漢パの意味はなんとなく伝わったでしょうか?もしかしたら伝わっていないかもしれませんね。無難にもっと分かりやすいへりくつにすればよかったかもしれません。伝わってないとしたら謝罪します。申し訳ございません。
ただ僕は皆さんにも分かって頂きたいのです、この漢パの凄さを。僕が『へりくつ』を『屁理屈』と書かないことだってこの漢パの影響もあるわけですよ。だって『屁理屈』ってなんか卑劣な悪いことみたいじゃないですか。『泥棒』とか『痴漢』とか『挙動不審』とかと同じ棚に置いたら確実にアブノーマル人間の仲間入りじゃないですか。恐れているのですよ、漢パの凄さに。
だからこそ取り上げなければならないのです。その為今回は、まぁいつもかもしれませんが、分からない人はすっ飛ばしていこうと思います。重ねて申し訳ございません。話を進めていきます。本当は『無難』や『謝罪』や『痴漢』の漢パも説明したいのですが、やむを得ません。僕が最も好きな漢パである『風林火山』についても今回は省かせて頂きます。
さてそんな漢パですが、中には『えっ、こんなパフォーマンスでいいの?』といったものも残念ながら存在します。こんなに真浦塚が熱く語っているのにです。その為今回はそんな残念な漢パにスポットを当て、新しい漢字を与えることで、漢パの力を高めてあげたいと思います。題して『漢パをカンパ作戦』です。一応忠告しておきますが、別に『カンパ』とかけるために『漢パ』という言葉を使ったわけではないですからね。たまたまです、たまたま。
…さぁ!それでは始めさせていきます。最初にスポットライトを当てる、残念漢パな言葉はこれです。
『傍若無人』
いやぁ、残念。本当に残念。なんでこんなに優しそうな漢字を使いますかね。いや分かりますよ。意味が『傍』らに『人』が『無』いごとき振る舞いなんですから。ただなぁ、弱いんだよなぁ。
だって『傍若無人』って、世の中の中心は自分だと考えたり、行列に割り込んだり、カウンターが空いているのに1人で6人掛けのテーブル席使ったり、皆で食べる唐揚げなのに断りもなくレモンかけたりする人のことを指すわけじゃないですか。それなのにそれを表す漢字がこんな『傍』とか『若』なんて、弱過ぎやしませんか。
言葉にはその言葉に合う漢パがあるはずです。だから一生懸命考えてみました。こんなのはどうでしょう。
『暴鶸武人』
いやぁ、凄い漢パ。『鶸』の持つ意味なんか知りませんが、とにかくイメージ先行です。とにかくひどいことをしそうですね。唐揚げに勝手にレモンをかけるだけでは飽き足らず、衣を引き剥がしてただの温かいモモ肉にしちゃいそうですよね。いやぁ、イイ。これぞ、傍若無人の漢パですね。
皆さんも漢パについてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、『チクショウ、俺はもっと漢パを発することができるのに…。』とくすぶっている熟語たちがたくさんいらっしゃるのかもしれませんよ。
あっ、そうそう。忠告までに言っておきますけど、本来の漢パは『暴鶸武人』かもしれませんが、悲しくも現代の日本では『傍若無人』が使われています。その為、テストではちゃんと『傍若無人』と書いてくださいね。真浦塚のせいでテストの点数が下がったなんて言ってきたら、それこそ傍若無人ですからね。
もしどうしても『暴鶸武人』を使いたかったら、電車の中でイヤホンマイクから大量に音漏れしている人に、『この暴鶸武人め!』と言ってやってみてください。口で言う分には漢字なんて分かりっこないから全然構わないと思いますので。
長々とへりくつ失礼しました。
またお会いできたらお会いしましょう。
失礼します。
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