その42 のり弁について思うこと
のり弁。
もう説明はいらないでしょう。そのワードを聞いただけで、あぁ確かこういう味と明確に想像できる、日本弁当界の重鎮。どこのコンビニに行こうがどこの弁当屋に行こうが必ず置いてある、日本弁当界のトップスター。今日のお弁当は何にしようかな、唐揚げにしようか鯖煮にしようかそれともお腹のメタボっぷりに反省して五穀米にしようかとさんざん悩んだ挙句、まぁお財布にもやさしいしハズレはないだろうとついつい手にしてしまう、日本弁当界のベストセラー。
まぁこれだけ褒めて持ち上げておけば、多少へりくつをかましても穏便に済ましてくれるでしょう。のり弁さん、僕はあなたに、声高々に問いたい、問い正したい。
のり弁に入っている醤油はあんなに必要ですか、いや必要ない、そもそも醤油は本当に必要なのかと。
のり弁さん、今一度ご自身の中身をよく御覧なさい。あなたのどこに、あの醤油を受け止める余裕があるというのですか。
僕だって一生懸命探しましたよ。重鎮で、トップスターで、ベストセラーであるあなたが、自分で消化できないものを堂々と見せびらかすように存在させることなんかあるわけないじゃないかと。
でもねのり弁さん。これは事実なんですよ。現実をちゃんと受け止めましょうよ。
ご飯とのりの間には、おかか若しくはあらかじめ味の付いているカツオ節が丁寧に敷き詰められているじゃないですか。もうそれで充分じゃないですか。口いっぱいにほお張れば、まぁそれはそれは美味じゃないですか。
おかずだってそうですよ。鮭は鮭で、軽く塩が振ってあるだろうし、なんといっても、自分自身から出ているあの脂こそが最高の調味料じゃないですか。口に入れた瞬間に感じるあの甘み、旨み、塩加減っていったらもう…。
申し訳程度にいる、あのピンクの漬物だってそうですよ。何であれに醤油が必要なんですか。なぜにピンクを汚そうとするんですか。ピンクの漬物にはちゃんとピンクである所以があるはずなんです。ピンクは恋の色なんです。簡単に染めようとしないで下さい、まったくもう。
ほら、のり弁さん。どこに醤油を受け止めさせるっていうんですか。えっ、ちくわの磯辺揚げに任せたって。いやいやのり弁さん。あなたなんてことおっしゃるんですか。ちくわの磯辺揚げにあの容量の醤油を任せるっていうんですか。それは横暴ですよ、単なる横暴。
そんなもの磯辺揚げじゃなくて、醤油がけ磯辺風味じゃないですか。いや、揚げ浸しじゃないですか。磯辺揚げはあれで完成なんです。あの自己主張しない人柄のよさが、磯辺揚げの持ち味なんです。勝手なことをしないで下さいよ。
皆さんものり弁に付いている醤油の存在意義についてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。絶対にいらないと思うんだけどなぁ。まぁ、納豆にふりかけを付け足して食べている僕がなに一丁前にのり弁さんに楯突いているんだと言われればそれでおしまいですけど。
長々とへりくつ失礼致しました。
またお会いできたらお会いしましょう。
失礼します。
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