その28 品格について思うこと
品格。
最近よくこの言葉を耳にします。もうブームみたいなもんです。品格が街に溢れています。そのうち『おっ、品格が溢れだした。そろそろ大相撲が始まるのかな。』みたいに、品格で時事が分かるようにでもなってしまいそうな勢いです。いやぁ、スポーツ選手じゃなくて良かったです。スポーツ選手だったら、今頃メディアで『品格注意報』が発令されていますよ、きっと。まぁ、体育の成績がアヒルさんだった僕には要らぬ心配なんですけど。
とにかく最近、まぁ本当に品格が取り沙汰されています。本当に品格注意報が発令されてしまいそうです。
でも、そんなに『品格、品格』って求めすぎていると、世の中生きづらくなるんじゃないでしょうか。
例えばこんなふうに。
実況「9回裏、ツーアウト3塁、一打サヨナラの場面。バッターは頼れる主砲、西村です!さぁ、西村打てるか!それとも上野が抑えるのか!」
観客席
宮元「いゃあ、山口さん。盛り上がっていますね。」
山口「そりゃそうでしょう、宮元さん。なんたって優勝がかかっていますからねぇ。」
宮元「そうですよね。よし!山口さん!西村選手をを応援しましょう!」
山口「そうしましょう!えぇ、ぜひそうしましょう!」
宮元「フレー、フレー!西村!!上野をブッつぶせー!」
山口「ちょっ、ちょっと待ってください。宮元さん。」
宮元「どうしたんですか、山口さん。」
山口「宮元さん。『ブッつぶせー!』はいかがなものかと。品格を問われますよ。」
宮元「あら!いやはや私としたことが。すいません。そうですよね、品格がありませんよね。」
山口「そうですよ。ちゃんと応援しましょうよ。」 宮元「そうですね。ちゃんと応援しな…。おっ、打った!イケ、イケ!!…なぁーんだ、ファウルかぁ。」
山口「宮元さん!」
宮元「ど、どうしたんですか、山口さん。そんな怖い顔して。」
山口「宮元さん、あなたねぇ。『なぁーんだ、ファウルかぁ。』って。ファウルだとしても、西村はあそこまでボールを飛ばしたんですよ。我々にあそこまで飛ばせますか?いや、バットに当てることすら難しいでしょう。それをねぇ、ガッカリなさるなんて。宮元さん、あなたの品格を疑われますよ!」
宮元「す、すいません、山口さん。そうですよね。」
山口「そうですよ。ちゃんと応援しないと。フレー、フレー、西村!頑張れ、頑張れ、西村!!」
宮元「山口さん。」
山口「どうしたんですか?宮元さん。」
宮元「今考えたんですけど。我々は西村ばっかりを応援していいんでしょうか。仮にも上野は球界を代表する選手ですよ。それを、茨城ラビットファンだからといって、青森スネークの選手を応援しないというのは…。品格を疑われませんかね。」
山口「あっ!宮元さん。あなたの言うとおりだ。どちらの選手も頑張っているんだから、どちらにも声援を送らないと。いやはや私としたことが。宮元さん。精一杯声援を送りましょう。」
宮元「そうですね。そうしましょう!」
宮元・山口「フレー、フレー!西村忠仁さん!フレー、フレー!上野光司さん!どちらも頑張ってください!」
いやぁ…。はっきり言って面倒臭いですよね。こんな野球中継はあまり見たくないもんです。まぁもし放送されたら、野球そっちのけで観客席にばっかり注目してしまいそうですが。あっ、こんなこと言ってると宮元さんや山口さんに怒られてしまうかも。
皆さんも、もう一度品格について考えてみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、『品格、品格』と言っている姿こそが、一番品格のない姿なのかもしれませんよ。
長々とへりくつ失礼しました。
またお会いできたらお会いしましょう。
失礼します。
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