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その17 テレビの観客席のリアクションについて思うこと

 ずっと前から気になっていたんですが、テレビ番組の観覧席のリアクションって、何であんなに揃っているんでしょうか。お笑い芸人が一発芸をやったら湧き出たように笑いが起こり、激安商品が発表されたら『えぇー。安いぃー!!』みたいな歓声が起こり、悲惨な事件や感動するドキュメンタリーではまるで不毛な大地のように静まり返り、冒頭で『子供のころに離婚して離れ離れになった父親に会いたい』みたいな題名を散々流したにもかかわらず、再現VTRで『なんと借金が原因で両親が離婚してしまったんです』というナレーションが流れたとたんに、『そんな・・・』とか『えぇー!』みたいな悲しさを表現している、あの観客席のリアクションは、何故あそこまで歩調を合わせることができるのでしょうか。

 一般的に考えてみたら、すべての歩調が合うのって、なんとも不思議な気がします。だって、人間って一人ひとり違うわけじゃないですか。十人十色なわけじゃないですか。いろいろな感情を持っているからこそ、人間っていうのは、笑ったり、努力したり、人を愛したりできるのではないでしょうか。なんか、すごいいいことを言ったような気がします。でも、この話には関係ないので、『真浦塚真也ってすごくね?』という感情はそっと僕の胸にしまっておきます。

 つまり僕が言いたいのは、『リアクションがあんなに揃うのはおかしい』ということです。いくら、『番組を心から楽しみたい』という意識を観客席のお客さんが全員持っていたとしても、リアクションが全部揃うことはありえないと感じます。だって、『日本を心からいい国にしたい』という意識を全員が持って集まっている国会でも、大臣の方の発言に対するリアクションはバラバラですからね。中には寝たふりをして、『私はあなたの発言に対してなんかリアクションをとりませんよ』という高等なリアクションを取る議員の方がいるとかいないとか。

 そんな、人によってバラバラなリアクションが、テレビの中ではキッチリと、本当にキッチリと、日本のお人形の前髪みたいにキッチリと揃っているんです。それは何故か。考えられる理由はたった一つしか存在しません。


 そう、観客席に座っているお客さんは、プロのリアクション集団だということです。もしくはセミプロ。それか、日頃からリアクションを研究している、なんかそんな感じの、リアクションの好きな、一般の、すごい方たちみたいな、まぁそういう雰囲気の人たち、みたいな。


 もうそれしか考えられません。いや、8割がたそうでしょう。多分、テレビには映らない裏側ではこんな会話がされているに違いありません。

  番組スタッフ

「はい。テープチェンジしますのでいったん休憩に入りまーす。」

 ………

 A

「やっぱりおもしろいね〇〇テレビ。」

 B

「だよね。こうやって芸能人を見れるなんて夢見たいよね。」

 A

「本当。今日はちゃんと楽しまなくちゃ!」

 C

「あなたたち、ちょっといいかしら。」

 AB

「えっ?」

 A

「な、何ですか?」

 C

「さっきのあなたたちの行動を、私にちゃんと説明してほしいんだけど。」

 A

「さっきの?」

 B

「えっ?私たち何かしましたっけ?」

 C

「は?とぼけるんじゃないわよ!」

 D

「ちょっと、C止めなさいよ。」

 C

「何言ってるのよ!この子達がしたことあなた黙ってるっていうの!?Dはこの子達の行動を許せるっていうの!?」

 D

「違うわよ。許す許さないじゃなくて…。」

 C

「もう!Dはちょっと黙ってて!あなたたちが分からないって言うなら、私から言ってあげるわ。」

 AB

「は、はぁ。」

 C

「あなたたち、さっきお笑い芸人の〇●が出てきた時、『キャー』って歓声をあげたわよね。」

AB

「えっ?あっ、はい。」

 C

「なんであんなことするの?」

 A

「なんでって…。」

 B

「だって、私もAも〇●の大ファンだし…。」

 A

「それに出てきて早々、ネタをやってくれたし。」

 B

「ね。あのネタ面白いもんね!」

 A

「そう!私、何回見ても笑っちゃうもん。この前出たDVDも本当に面白いし。」

 B

「えっ?Aもう買ったの!?いいなぁ、今度私にも見せてよ。」

 A

「いいよ。一緒に見よう。」

 B

「本当!?やったぁ。」

 C

「ちょっと、あなたたち!私の話聞いてるの!」

 AB

「…すいません。」

 C

「まったく…。」

 A

「で、でも、なんで○●に『キャー』って言っちゃいけないんですか?」

 B

「そ、そうですよ。私たち、ファンなんだから歓声をあげるのは当たり前じゃないですか。」

 C

「あなたたち、本当に何にも分かってないのね。」

 AB

「えっ?」

 C

「いい?○●は『イケメン界のスペシャルゲスト』として登場したのよ。イケメンよ。イ・ケ・メ・ン。○●はどう?イケメン?イケメンじゃないでしょ。全然イケメンじゃないでしょ。つまり、○●は『イケメン界のスペシャルゲスト』ではないわよね?

 じゃあ、私たちはどういうリアクションをすればいいか分かるでしょ?そう、『沈黙』よ。沈黙すればいいの。そしたらどうなる?一回考えてみる?じゃあ、やってみるわね。

 ハイ!司会の☆▲が『なんと!今回はあのイケメンが会場にきてくれました!』と言いました。

 ハイ!私たちのリアクション!『オォー!!』

 ☆▲が『でわ、登場していただきましょう!イケメン界のスペシャルゲストです!』と言いました。ドラムロールが流れました。観客席で私たちがざわめきます。

 そして、スポットライトを浴びて○●が登場しました。ハイ!ここで『沈黙』!

 ○●がテンパります。必死に顔芸をします。ハイ!まだまだ『沈黙』!

 そこに☆▲がやってきて、○●に『俺の番組で何してくれてんねん!』っとツッコミました。ハイ!ここで観客席が大爆笑!

 AB

「…。」

 C

「どう!?これが正解でしょ!?これで○●も☆▲どっちもおいしいじゃない。テレビの向こうで見ている人たちには、どっちも面白く見えるじゃない。」

 A

「は、はぁ。」

 C

「ね?いわゆるこれが、私たちのリアクションの効果よ。なのに、あなたたちときたら…。」

 AB

「…すいません。」

 C

「いいのよ、もう。私も熱くなりすぎちゃったから。だけど、公開収録っていうのは、演者と番組スタッフと観客席の私たちが一丸となって、初めて存在するものなの。だから、私たち観客席も番組には精一杯協力しなくちゃならないの。

 確かに。確かに、○●は今人気があるわよ。私だって好きよ。ネタだってしっかりしてるし、べしゃりもなかなかイケるしね。でもね、今この番組のなかでは○●は☆▲にイジラレて初めて輝く存在なの。別に○●に腕がないって言っているわけじゃないのよ。むしろ、その逆よ。腕があるからこそ、☆▲との絡みが実現できるのよ。

 確かに。確かに、そうよ。あなたたちが○●を応援したいって気持ちも分かるの。でもね。この絡みっていうのも○●には今後の為には絶対に必要になってくるものなのよ。だから、あなたたちが本当に○●の大ファンだっていうのなら、今日は心を鬼にして、○●に接してほしいの。それが、○●の為にも、あなたたちの為にもなるんだから。」

 AB

「…はい。」

 D

「ほ、ほら、Cもういいでしょ。もうテープチェンジも終わるみたいよ。」

 C

「あっ、本当ね。それじゃあ、あなたたち。後半もリアクション頑張りましょうね!!それじゃあ、失礼するわ。」

 AB

「…。」



 いやぁ…。

 面倒臭いですね。本当に面倒臭いですね。

 だって、書いている僕が面倒臭いですもん。AとかBとか、英語の全角を使うのが本当に面倒臭い。まぁ、なら使うなって話ですけど。


 まぁ、なにはともあれ、観客席でこんな会話がなされているとしたら、僕が観客席に座ることは二度とないんでしょう。まぁ、いくら応募しても観覧者に当選したことは一度もないんですけどね。

 やっぱり、僕には家の茶の間でゴロゴロしながらテレビを見るのが性にあっているようです。

 皆さんも、テレビは気軽に見てはいかがでしょうか。テレビって、なかなか面白いものですよ。


 長々とへりくつ失礼しました。

 またお会いできたら、お会いしましょう。

 失礼します。

御覧頂きありがとうございます。評価・感想など頂けると嬉しいです。

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