喪失
丹羽に迫っていた左手は不意に現れた者の右腕によって防がれた。
「貰い!」
次の瞬間、彼女の左腕に見覚えのある懐刀が刺さっていた。そう、デュランの右腕が彼女に掴まれていたのだった。
デュランの右腕と彼女の左腕とのデュランが不利な等価交換だった。デュランの右腕は完全に使い物にならない状態となり、彼女の左腕も今は使えない状態だった。
彼女は左腕を抑え、デュランを睨むとすぐさま撤退をした。デュランも同じく、粉砕骨折した右腕を抑えながらも二人と尾張城に撤退した。
「デュラン!どうした!?大丈夫か!?」
尾張城に帰ると信長が真っ先に城から出てくると、デュランの心配をしていた。しかし、デュランは心配をよそに、次の戦闘準備に取り掛かっていた。
「休んだらどうですか?」
「大丈夫だ。それよりも、あいつは俺らの跡を追ってくるだろう。次こそは息の根を止める」
デュランはインベントリから持っている武器を全て取り出した。そして、城門近くで精神を安定させて、周りの物音を聞き逃すまいとしていた。
数時間が経過し、真夜中になった頃にデュランの体には武者震いが起こっていた。本能的の彼女の位置を把握しているのかそれとも、戦うのが怖いのか彼には理解できなかった。
武者震いが起きてから数分誰かに見られているような気がした。その視線は明らかに狩をする時のライオンが獲物を見るときと同じようなものだった。そして、次の瞬間デュランの目の前に彼女が現れた、左腕が完治した状態で。
その彼女は前回戦った時とは装備が変わっていた。素手に籠手と手甲を着け、デュランの斬撃を警戒しているのが分かった。
デュランは戦闘態勢に入り彼女を迎撃する。どちらも一度それぞれの動きを確認しているため最初は一定の距離を保った牽制状態だった。しかし、彼女のほうが先に痺れを切らし突っ込んでくる。そこに綺麗にパリィが決まったが、彼女の攻撃を受け流すだけだった。
彼女は右にステップを踏み、デュランの右側に迫る。彼女は理解しているのだ、右側後方が安置という事を。
デュランも理解はしているつもりだった。しかし、未だに右腕を使おうとしてしまう。そして、絶望をする。この時、右腕があればと嘆いても既に時は遅い。
右から振り返り、右腕で切りかかろうとするが、右腕が無い。彼女の手は首の近くまで迫っていた。
死を覚悟した。この地獄から誰よりも先に現実に帰ろうと昔は励んだ。しかし、今の自分は多くの期待と屍を背負って生きている。その多くの者たちの希望が潰える。そう思うと、なぜか無性に自分に嫌気がさした。今も昔も変わらない。仮想空間と現実は何も変わらない、何も変われないのだ。
現実逃避をしたところで何かが変わることは無い。課題をせず、ゲームをずっとしているだけで最終日には課題が全部終わっているはずも無く、これもまた同じだ。殺されるために待つ、おかしい何かが。今ままで自分が殺してきた敵は最後までそう、死ぬ直前にだって抵抗していた。
俺はこの現状打破が不可能だと思っているのか?いや、違う。最後まで抗え!あきらめない限り可能性は0ではない。人にお前には出来ないといわれ、あきらめる。それが違うんだ!自分が決めたことは最後まで成し遂げろ!
その時、デュランは頭突きをした。頭突きは彼女の鼻に辺り、血を出し始めた。しかし、それは一瞬にして止まるが、彼女が一時的に距離をとった。
寿命が少し延びた。だが、この延びた寿命を博打に使う。
デュランは開いた距離を詰め、切りかかる。しかし、それは彼女の装備していた籠手で防がれる。デュランはここまでは予想していた。
そして、武器を置いた位置まで下がる。そして、武器を投げ始める。しかし、彼女の高い機動性ゆえに攻撃は当たらない。しかし、執行ルートの誘導は可能だった。
彼女はデュランの思惑に気づかずに誘導され、デュランの狙い通りの位置に到達すると、デュランは鉄砲を構えた。
「デッドエンドだ」
鉛球が鉄砲から発射され、彼女の頭に向かって一直線に飛んでいく。そして、彼女の頭蓋骨を貫き、前頭葉、脳梁、間脳、脳弓、後頭葉の順に貫き、後頭部から鉛球が排出された。
しかし、デュランは不安だった。そのため、彼女の頭をメイスで何回も叩きつけた。慢心しても良いように。
夜が明け、全てが終わったような気がした。デュランの視界の右上に実績解除の文字が出ていた。
内容は神殺し、そして人間をやめた者。
神殺しの効果。殺した神の力と記憶を三日間に掛けて得れる。
人間をやめた者の効果。圧倒的な再生能力を得れる。
久しぶりの投稿で感覚が逝かれ始めているくそ雑魚ナメクジのまきゆづです。HOI4楽しいですね。アメリカプレイも楽しいですね。けど、やっぱりドイツで機甲師団を用いた戦術は楽しい




