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セブンスアビス  作者: レイタイ
死霊魔術師と神槍編
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エピローグ 終

 ネティスの部屋にて、俺は今何故か知らないが髪を乾かしてもらっている。

 丁寧に髪をすくい、炎魔法で乾かしてくれるのでかなり気持ち良い。


「月くん、どうだった?」

「気持ち良かった」

「…………そう、良かった」


 何が、とは言わないけどな! でも相変わらずのネティスの身体は柔らかかった…………。


「…………大体乾いたかしらね」

「あぁ、ありがとな。 じゃあ次はネティスだな」

「え? わ、私にしてくれるの?」

「あぁ、俺もセブンスアビスだ、炎魔法だって使えるぞ?」


 俺はネティスの後ろに移動するとその髪を手ですくう。 そのまま手櫛で少し慣らす。


「力加減はこれくらいでいいか?」

「えぇ……気持ち良いわ…………」


 これくらいか。 俺は手の平を炎魔法で温めながらネティスの髪を梳いていく。

 本当に気持ち良いな、この髪。 触ってるだけで気持ち良い。


「ドライヤーなんかよりよっぽど早く乾き終わるな」

「ドライヤー?」


 あぁ、この世界にはあまり一般的ではないのか。 一応、あるにはあるはずだ。 今度余裕があれば買ってみよう。


「ネティスの髪って本当に綺麗だよな」

「え? そ、そう?」

「あぁ…………」


 触ってるだけで気持ち良いとかどうなってんだ。 いや、流石はネティスと言うべきなんだろうな。 だってネティス完璧だもんな!

 ネティスの髪が乾いた段階で髪を梳くと、まるで溢れ落ちるかの如くサラサラと抜けていく。 マジヤバイ。


「さてと……髪を乾かすのも終わったことだし…………」


 こうなれば残すところはベッドで寝る、ということだけなのだが。 マジで一緒に寝てもいいの? 俺我慢出来なくなっちゃうかもよ? さっきしたけど。


「月くん、少し……甘えてもいい?」

「ん? もちろん」


 俺は後ろからネティスを抱きしめ、胸下辺りに手を回す。 ネティスは幸せそうに頬を緩ませた後に顔だけを俺に向けてくる。


「キス、して?」

「了解」


 おねだりされたら仕方ないよね! ということで俺は目を閉じてネティスと唇を合わせる。

 ネティスは俺の後頭部を支えて離さまいとしてくる。

 長い長いキスの後にゆっくりと顔を離したネティスの表情。 赤く染まった頬、潤んだ瞳、そしてこちらを見上げるような上目遣い。 どれを取っても綺麗だ。


「ふふ……安心するわ」

「そりゃ良かった」


 ネティスは目を閉じると幸せに浸るように俺と手を重ねる。 全体重を俺に預けてくれるのは信頼の証だろう。 俺も嬉しい。

 そのまましばらくの間その体勢のままでいるとネティスは俺の腕から抜け出した。


「ん? もういいの––––––」


 か? と言おうと思った瞬間、そのまま抱きつかれてベッドに倒される。 な、何事!?


「…………」

「ネティス?」


 俺を抱きしめたまま、ピクリとも動かないネティス。 その心情を読むことは出来ないが、少なくとも悲しいことではないと信じたい。

 ネティスの頭を撫でていると何故か頬ずりをされる。


「大丈夫か?」

「えぇ…………月くんがいるもの」


 俺がいるからなんなんだ…………? よく分からないがとりあえずは今のネティスを1人にするべきではないのだろう。


「月くんは優し過ぎるわね。 もうちょっと人を突き放すことを覚えた方がいいんじゃない?」

「俺は結構冷たい人間だぞ? でも、まぁお前ら仲間なら突き放すことはしないししたくない」

「もう……だから勘違いしちゃうんじゃない……」


 勘違い? 何のことだ?


「月くん、好きよ……大好き。 愛してる」

「…………あぁ、俺も大好きだ」


 2人でキスを交わす。 なんで定期的にキスしてるのかと言われると俺達がしたいからとしか言えないけど。


「私……もう独りじゃないのよね?」

「当たり前だろ?」


 たとえ世界中の全員を敵に回そうが関係ない。 ネティスに危害を加えるものは俺が許さない。 俺が全て凍らせて斬り裂いてやる。


「うん…………」


 ヘラのことでも思い出していたのだろうか。 目尻には涙が溜まっていた。

 ネティスを胸に抱きしめながら安心させるように背中を撫でる。


「月くん」

「ん?」


 いきなり顔を上げたネティスの表情は晴れやかなものだった。 ひとまずは一安心というところか。


「前までは独りだったのに。 いきなり仲間も増えて……こんなに素敵な人とも出会えて…………私は恵まれているわね」

「そんなわけないだろ。 俺達は過去に散々な目にあったんだ。 なら……これくらいの幸せをもらわなきゃ不平等だろ?」

「ふふ…………そうね……」


 本当に、この世界はどこかで帳尻を合わせてくれるらしい。 俺は今幸せだ。 過去も幸せかと言われると、まぁ悪い気分ではなかったがそれでも今より幸せということはないだろう。


「月くんは?」

「ん?」

「今、恵まれている?」


 その質問は愚問というものだ。 もちろん幸せに決まっている。


「当たり前だろ?」

「…………そうね。 私達は特別、だものね?」

「!? あ、紅雪のそれは持ち出さないでくれよ!」


 恥ずかしい! それは本当に言わないで欲しいくらいだ! 事実だけでも!!


「ふふ、ごめんなさい。 でも月くんが私のことを特別だと思ってるように…………いいえ、それ以上に私は月くんのことを特別だと思っているわ」

「そんなことねぇよ。 俺だって特別ではお前に負けてない」

「ふふ……普段なら折れるのに、そういうところだけ頑固よね?」


 え、そうなのだろうか? でも俺にも譲れないものくらいはあるんだよ?


「嬉しいから困るわね。 …………そんな月くんにはご褒美よ」

「ご褒美?」


 何してくれるんだろ。 ちょっとワクワクしていると何故か顔に胸を押し付けられる。


「どう?」

「気持ち良いれふ…………」


 そりゃあそうだろ! ぱふぱふとか男の夢だぞ! っていうのは前に叶ったんだけどな。でも何度やられても嬉しいものだ。


「ふふ……月くんを胸に抱いていると安心するから好きよ。 月くんは私のおっぱい、好き?」

「もちろん!」

「ふふ、嬉しいわ…………」


 嬉しいのか。 流石は年上。 リード感が凄いよね。


「このままもう一戦……しちゃいましょうか?」

「マジか。 じゃ、じゃあやるか!」

「えぇ!」


 そのままもう一戦。 ちょっと疲れたけど男なら仕方ないよね。

 ということで俺はようやく安心出来たのかもしれない。 ここまで心を開いてくれるネティスが俺の元を去ろうとすることなんてもう2度とないだろう。 …………ないよね?


「ふふ……月くん♡ 月くん♡」


 あぁ、うん、ないね。 絶対にないね。 そんな心配するだけ無用だね。

 それでも俺はようやく勝ち得たこの特別を、幸せを、噛み締め、明日の糧とするのだろう。

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