エピローグ 二
「月くん♡ 月くん♡」
家に戻るなり早速ネティスに膝枕してもらう。 そのまま頭を撫でるネティスの方が幸せそうに頬を緩ませている。
「はぁ……幸せ……一生こうしていたいわ…………」
とか呟いちゃって。 もう俺も嬉しくなっちゃう。
「月くん、どう?」
「幸せでふ…………」
「ふふ、そう……良かった……」
もうここから動きたくない。 このまま寝たい。
「月くん、そういえば耳かきはしてる?」
「あー…………いつだっけ? 最後にシルヴィアにしてもらったきりだな」
「そうなの? なら私がしても良い?」
そこはしてあげましょうかじゃないのか。 流石はネティスさん。
「お願いします」
「ふふ、お願いされました。 それじゃあちょっと耳かき棒取ってくるわね」
ネティスが耳かき棒を取りに自室に戻る。 俺はその間に鼻歌を歌いながら近くにあった本に手を取った。
「ルーちゃんってネティスさんのこと本当に好きだね……」
「ん? まぁな。 お前らのことも好きだぞ?」
そんなの当たり前のことだ。 当たり前というか、今更と言うべきか。 世の中の全員がこいつらに惚れるのは仕方のないことだろう。
「そ、そう……だね……えへへ…………」
「でもルナ、最近ネティスに甘えてばかりじゃない。 私達にも甘えてほしいわ」
「それは……なんつーか…………」
俺が言い淀んでいると事情を知っている、というよりは勝手に紅雪がバラしたのでシルヴィアだけはニコニコしていた。
「ある程度時間が経てば落ち着くかと思いますよ?」
「そうなのかな?」
うんうん、そうやって濁してくれるあたり、流石はシルヴィアだ。 好感度高い。 元々カンストしてるけどな!
「月くんお待たせ」
「いや、別に急ぐ必要はなかったんじゃ…………」
わざわざ走ってきてくれたらしい。 でもそこまでする必要はない。
「でも私がしたかったから。 駄目?」
「駄目なわけないだろう!」
なんていじらしくて可愛いんだこの人は! いや、普段はすっごい美人なんだが。
再びネティスに膝枕してもらった後に耳かき棒が俺の耳に入れられる。 確か俺って耳弱かったよな? 大丈夫かな…………。
「それじゃあ行くわね? あ、そういえば月くんって耳弱いわよね?」
「へ? なんで知ってるんだ?」
「月くんが気絶している間に紅雪ちゃんから聞いたわ」
そ、そうだったのか。 というか、ネティスって基本人の名前を呼ぶときはあだ名なのに、紅雪だけはそのままなんだな。
「だからゆっくり優しくするから……気持ち悪かったりしたら言ってね?」
「お、おう」
まさかのそれでもやってくれるという。 流石はネティスさん。
「それじゃあ入れるわよ?」
「おう」
この調子なら任せても大丈夫だろうか。 俺はそのまま先程手に取った本を開いた。
「力加減はどう?」
「丁度良いぞ? 気持ち良い…………」
そのまま目を閉じると眠れそうになるくらいだ。 まぁ今は読書に集中するとしよう。 風呂と添い寝が控えてるもんな!
「あら、また魔法の本?」
「まぁな。 特に氷魔法覚えとかねぇと」
俺が素直に告げるとにっこりと微笑まれた。 なんだろうか?
「それってもしかしなくても私達の為よね?」
「…………チガイマスヨ?」
「ふふ、嘘が下手ね」
ネティスに笑われる。 俺ってそんなに分かりやすいん?
「それじゃあ少し奥をやっていくわね。 気持ち悪くなったら言うのよ?」
「気持ち良くなることはあっても気持ち悪くなることはないと思うが…………」
一応性感帯? なんだぞ? そこまで興奮はしないけどな。 ゾワゾワする。
「あら? そ、そうよね? …………気持ち良い方が良いわよね?」
「いや、興奮するからやめてくれ。 …………そういうのは風呂でしてほしい」
「た、確かにそっちの方がすぐに流せるものね。 …………ふふ、お風呂が楽しみね♡」
本当にそうだな! そのまま疲れて一緒に眠るとか憧れだったなぁ…………。 まさか叶う日が来るとは。
「…………羨ましい」
「あら? それなら白銀ちゃんも入る?」
「…………いいの?」
「えぇ、月くんも良いわよね?」
「もちコース」
俺が親指を立ててやるとセリーヌは相変わらずの無表情で近付いてくる。
「ルナ……」
「ん?」
本から顔を離してセリーヌを見ると、いきなり目を閉じて顔を近付けられる。
唇と唇が触れ合うだろう瞬間に間に手が入れられた。
「待って。 ほら、そういうのは全部お風呂場でしましょう? その…………1度だけで止められるの?」
「…………無理。 今は我慢する」
あ、無理なのかよ。 ちょっと俺の方が期待してたのに。
「ふふ……続きはお風呂場で、ね?」
「……そうか」
「ちょっと残念?」
「そりゃあな…………」
セリーヌからのキスももちろん嬉しいしテンション上がる。 ということで後でたっぷり楽しむとして今は読書に集中することにした。
「そういう切り替えが早いところは相変わらずね」
「そうか?」
どうやら俺は切り替えが早いらしい。 まぁそれ自体は良いことなんじゃないだろうか?
「あふ……!」
「あ、ご、ごめんなさい」
口から変な声が漏れた。 うわー……恥ずかしい…………。
「…………もしかしてここ?」
「ふぁ!? ちょ、やめてくれよ!?」
なんか女っぽいような声が出ちまった。 慌てて口を押さえる。
「…………ルナ可愛い」
「えぇ……お風呂場でたくさん苛めたくなるわよね」
「ん…………舐める?」
「良いわね、それ」
良くねぇよ! 紅雪ヘルプ!
『御主人様、諦めるべきかと』
やる前からすでに逃げ場をなくされている!? いや、単純に紅雪もどうにもならないってことか。
俺は諦めて受け入れた頃合いに風呂になる。 本当にセリーヌとネティスが一緒に入るようだ。
「月くん、お待たせ♡」
「ん…………ルナ、どう?」
どうって…………。 バスタオル姿グッジョブ!
「今そっち向いたら多分鼻血出る」
でもあんまり直視出来ないのですぐに逸らす。 これ以上刺激が強いのなんて…………むしろ嬉しいよね。
「月くんならいっぱい見てもいいのよ? その……私も嬉しいから」
「……同じく」
マジか。 それなら別に見ても…………。
「ぶっ!」
「ちょ!? 月くん大丈夫!?」
「…………興奮する?」
やべぇ、鼻血出るどころか噴き出した。 だってセリーヌが! セリーヌが!
「…………あ、タオル解けてた」
「それが原因じゃない! 月くんはエッチの時じゃないと基本的に初心なのよ!」
そうなんですけどね? というかちょっと見えちまったし。 やべ、鼻血止まんねぇ。
「ほら、月くんちーんって」
「いや、なんでネティスの手なんだよ」
「いいから早く!」
なんかめちゃくちゃ涙目なんだが。 何でそんなに?
「月くん? ほら、早く」
「あ、あぁ……」
鼻をかむとネティスの手が真っ赤になった。 俺出血多量で死んじゃうんじゃないのか?
「…………本当に大丈夫?」
「あ、あぁ…………」
ネティスに本気で心配された。 その表情は不安そうだが、なんというか。 こんなんで死んでいいの?
「そ、それじゃあ初めても…………良いの? だ、大丈夫?」
「大丈夫でふ…………」
ネティスの格好見てたらまた鼻血が垂れてきた。 ヤバイヤバイ。
「つ、月くん…………」
あれー!? ネティスさん気付いてないですよ!? もうすでに目を閉じてますよ!?
「好きよ、月くん…………愛してる」
「ちょ、まっ!」
ネティスの顔が近付いてきてそのまま唇を奪われる。 更にぬるっとした何かまで入れられた!?
「月くん……んぅ……うふぅ……♡」
「んぅ……ね、ネティ……うぅ……」
ヤバイって! 勃ってきてるから! 色々マズイから!
「…………ルナ、私も触る」
「んぅ!?」
ちょ、今触らないでぇ!!!!
「月く…………あ、あら? 鼻血…………?」
もう無理だ。 理性なんてもう焼き切れたわ。
俺は鼻血を腕で拭うと共にネティスを抱き寄せた。
「えぇ!? つ、月くん!?」
「ネティス大好きだ…………!」
「あ、ちょ…………♡」
そこから先は覚えていない…………わけではないが、まぁ大方いつも通りの展開というかなんというか。 後悔はしてないけどな!




