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セブンスアビス  作者: レイタイ
出会い編
18/90

尻尾な1日

 街に着いたのは割と早い時間だった。 午前中に着いたのですることはない。


「はぁ、疲れた」

「す、すいません…………無駄足ばかりで」

「…………? 無駄足?」


 何を言いたいのかよく分からない。 別に無駄足なんて…………なかったよな?


「わ、わたくしの御用を手伝ってくださった挙句、結局そのお話はなかったことになりましたので…………」

「あぁ、そういうことか。 確かにそっちは無駄足になっちまったな」


 わざわざ砂漠まで行ったのだ。 本当に無駄に。


「そ、そっち、ですか?」

「あぁ。 獣人の村に行ったのには後悔してないし、草原に半ばピクニック気分で行ったのは別に問題ないぞ。 それに」


 首を傾げるシルヴィアに笑みを向けてやる。 キョトンとするシルヴィアの頭に手を乗せる。


「お前にも会えて、こうして一緒にいられるしな」

「ルナさん…………」

「シルヴィア…………」


 潤んだ目が真っ直ぐに俺を射抜く。 少し頬を染めたシルヴィアの顔は綺麗だ。


「2人だけの世界を作らないでもらえるかしら? 私もいるのだけれど」


 フェシルにツッコミを入れられてビックリした。 2人だけの世界を作ってしまっていたらしい。


「早く宿を取りに行きましょう?」

「そうだな」


 街の中に入り、早速いつもの宿を一部屋予約する。 本当は二部屋にするつもりだったのだがフェシルとシルヴィアがどうしてもと言い断れなかったのだ。

 3人で同じ部屋に入ると、俺は疲れたようにベッドに倒れこむ。 その横をフェシルとシルヴィアが寄って来た。


「ん? 自由にしてていいんだぞ?」

「ならこれで問題ないわね」

「はい、そうですね」


 2人が笑顔で寝転がり、俺の腕に抱きついてくる。 しかし。


「この体勢寝にくくないか? どうせ寝るなら普通にベッドに入らねぇ?」

「ん、そうね」

「はい」


 3人でベッドの中に入り、掛け布団を被る。 そのまま目を閉じるも2人が横にいると眠れない。

 何度も肌を重ねているとはいえ、まだまだドキドキするのは仕方ないだろう。 2人とも美人だし。


「すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……」

「はや」

「疲れていたんでしょうね」


 フェシルがすぐに寝息を立てていた。 相当疲れていたらしい。 というよりは色々と落ち着いて気が抜けたのだろう。


「そういえば…………」

「ん?」

「わたくしは普通に街を出歩いてしまいましたがよろしかったのでしょうか?」

「何が?」

「わたくし、獣人ですから…………」


 ああ、そういうことか。 そういえば随分と奇怪な目を向けられていたがそういうことか。 全く興味なかったので気付かなかった。


「別に繕う必要はないだろ。 言わせたい奴は言わせておけばいいし、文句がある奴は俺が成敗する」

「せ、成敗ですか? ぼ、暴力は駄目ですよ?」

「分かってるって」


 あくまでもそれは最終手段。 まずは完全無視を決め込む。 それでもまだ何か言ってくるようであれば心を折るレベルで文句を言いまくる。 それでも効かなければ暴力だ。


「なんだか少し不安です。 ですが……ふふ、頼もしくて嬉しいです」


 シルヴィアがギュッと抱きついてくる。 その大きな胸が俺の腕を挟む。 というか挟めるくらい大きいんだな…………。


「胸に…………お、おっぱいに興味がお有りなんですか?」

「え? あ、いや、その…………ていうかなんで言い直したんだ?」


 そこは胸にしてくれよ。 お陰でドキっとしただろ。


「その…………以前フェシルさんからそう呼んだ方が喜ぶと聞いてましたので…………」


 あぁ、うん、言ってたな。 しかも事実なのが悲しいところだ。

 シルヴィアは意図的になのか無意識になのか俺の腕に胸を挟んでフニフニしてくる。


「あ、あの…………シルヴィアさん?」

「は、はい! なんですか?」

「その…………胸が腕に…………」

「ふぇ? っ!? す、すすすすすいません!」

「い、いや、俺も役得だったし…………」


 互いに裸も見た後だというのに照れて赤くなってしまう。 シルヴィアは初体験を済ませたとはいえまだまだ初々しい。 俺も人のことは言えないか。


「そ、それにだな。 その、確かに胸は好きだが…………やっぱりそういうのはその、そういう時にな?」

「は、はい…………分かりました…………」


 シルヴィアは耳まで真っ赤にして頷くと潤んだ瞳で上目遣い。 この表情は本当にズルいよな。


「でしたらその…………今は尻尾になさいますか?」

「へ?」


 尻尾? 尻尾でどうするんだ?

 シルヴィアは3本の尻尾を器用に動かすと俺の目の前でフリフリと振ってみせる。


「その、以前あの…………初体験を済ませた後に尻尾を抱いて眠ってらしたので…………」

「っ!?」


 え、俺そんなことしてたのか? 恥ずかしい。 なんか知らないがかなり恥ずかしい。


「わたくしの尻尾はお嫌いですか?」

「…………好きです」


 もうこの際正直に白状してしまう。 シルヴィアの尻尾も、それに耳もかなり好きだ。 耳の毛がさらさらしていて気持ち良いし、尻尾もふわふわなのが良い。


「で、では大丈夫です。 わ、わたくし、尻尾には自信があるんです」


 そう言ってシルヴィアは上体を起こす。 つられて俺も上体を起こした。


「何をするんだ?」

「それはですね…………」


 シルヴィアの尻尾が俺の寝ていた位置に敷かれる。 そのままシルヴィアに抱きしめられて共にベッドに倒れこむ。

 当然下敷きになった尻尾が敷き布団の代わりとなるわけだが、柔らかくて気持ち良い。


「あとは……こうして…………」


 そして2本の尻尾が俺に被せられ、掛け布団となる。 まさに尻尾に囲まれている形だ。


「1本抱きしめて大丈夫ですよ?」

「いや…………それは魅力的な提案だが。 重くないのか?」

「はい。 流石に4人以上が乗ると重いですけど、ルナさんやフェシルさん2人分なら大丈夫だと思います」


 マジか。 なんだその耐久力。 重いと思うのなら当然痛みはあるだろうし、なんでそんなに尻尾強いんだ?


「どうぞ」


 にっこりと告げられたその魅力的な提案に俺は逆らうことが出来ずについ尻尾を掴んでしまう。 どこを触ってもふわふわでかなり気持ち良い。


「どうでしょう?」

「気持ち良い…………」

「っ! はふ……可愛いです…………」


 シルヴィアは俺の様子を見てうっとりしていた。 普段は立場が逆なのだが俺も抵抗する気に全くなれない。 尻尾気持ち良すぎだろ。


「わたくし、こちらの方が良いのかもしれません…………。 尻尾に甘えるルナさん可愛すぎです…………」


 ここでシルヴィアの妙な性癖が露見したような。 いや、性癖じゃないな。 誰かを笑顔にすることを努力してきた女性だ。 もともと世話好きなのかもしれない。


「も、もっと甘えていいんですよ? その、お、おっぱいも触りますか?」


 シルヴィアが胸を持ち上げるようにして誘ってくる。 いかん、これはいかん。 とてもじゃないが逆らえる気がしない。

 つい手が動いて吸い寄せられるようにシルヴィアの胸を掴む。 セブンスアビスの深淵の穴よりも強力かもしれない。


「っぅ…………ふぁ…………ルナさん……♡」


 シルヴィアの口から甘い息が漏れる。 そのまま揉むようにしているとツンっと何やら胸の一部が硬くなった気がした。

 その瞬間理性というものが吹き飛んだ。 だって仕方ない。 俺だって男だもん。

 手がそのままシルヴィアの下腹部へと向かう。 シルヴィアは甘い声を漏らしながら抵抗は全くしない。

 い、いいんですよね? これはもうやってしまっていいんですよね? そういうサインですよね?

 頭の中で必死に葛藤。 というかもう無理だよね。 今更止まれない。

 その後、俺は柔らかい感触と温かい感触、そして快感に包まれながら微笑む獣人の女性に全てを委ねた。

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