だからからかう。
メリーアの精神状況はそれなりに落ち着きを見せ始めた。怯えた顔のまま周囲への警戒を緩める素振りはないが、現状を受け入れられないまま泣き喚く行為は収まっている。
「これが……私……」
若者にとっての数年は精神的、肉体的に大きな変化を及ぼす。今のメリーアにとって鏡の前に映る自分の姿は、これまでに見てきた自分の姿とは似ても似つかないだろう。
「お前は敵の攻撃によって心を過去の状態に戻されてしまっている。俺達に対して警戒を緩めるなとは言わない。だがお前が聞きたいことがあれば、なんでも答える用意はある」
「……うん」
これまでのメリーアと比べると遥かに心の弱さが滲み出しており、何処か頼りたくなるような気持ちは微塵も湧いてこない。中身は年端も行かない少女なのだから無理もないが、人はここまで強くなることができたのだと不謹慎ながらに感心してしまう。
「俺の名はエクドイク、エクドイク=サルフと言う。好きなように呼んでもらって構わない」
「……エクドイクお兄ちゃん。私は聖騎士になったの?」
メリーアの視線は自分の装備が置かれている場所に向けられている。姉であるレイシアと同じ聖騎士の鎧に剣、今のメリーアにとっては姉のことを思い出してしまう要因になっているのだろう。
「ああ。お前は立派な聖騎士となっている。新米ではあるが努力を怠らず、正義感も強い。かくいう俺もお前のおかげで母親の命を救われた」
「……お姉ちゃんみたいな聖騎士になれたんだ?」
「レイシアと比べればお前の方が真面目な印象ではあるがな。引けを取らないと俺が保証しよう」
「エクドイクお兄ちゃんは、お姉ちゃんのことを知っているの?」
避けるつもりはなかったが、いざこうして触れられると開く口が重く感じてくる。だがここははっきりと言うべきだろう。その結果今のメリーアに恨まれることになっても、受けられるだけの罰を受け止める覚悟はできている。
「ああ、俺は――」
「やぁ、お邪魔するよエクドイク。お、メリーアも起きていたんだね」
扉を開き同胞が姿を現す。周囲に警戒をしていなかったとは言え、部屋に近づいてくるのであれば足音に気づくくらいはできただろう。ということは、同胞は少し前から扉の前でこの話を聞いていたということか。
「あ、えっと……お兄ちゃんは誰?」
「誰でもいいさ。ちょっと興味のある話をしていたから、ちょっと顔を出しただけの説明好きなお兄さんだ」
思わず同胞の挨拶に咳き込む。普段から説明を省いてばかりの同胞がよくもまあそのようなことを言えたものだ。
「同胞、この話は俺から――」
「君は今のメリーアのことを考えた上で説明しようとしているのかな?君の自己満足の為に嫌な思いをさせるのは感心しないよ?」
「それは……」
「まあ『僕』が説明したあとに、好きなように補足すればいいだろ?」
同胞は柔らかく笑いながらメリーアの寝ているベッドに腰掛ける。メリーアは僅かながらに反応を示したが、同胞がそれ以上近寄る素振りがないのを感じると僅かに警戒を解いた。
「ええと……それで……」
「まず確認だけど、君の姉は帰ってこなくなってからどれだけ過ぎたのかな?」
「同ほ――」
割り込もうとするのを予測していたかのように、俺の方に同胞が手を向けて制止してきた。しかしいきなりそのようなことを今のメリーアに切り出すなど、躊躇がないにも限度があるだろう。
「……一年くらい」
「そっか。メリーア、君はとても賢い。だから本来夢見ていた職業ではなく、父親や姉と同じ聖騎士になっていたことから薄々勘付いてはいるんだろう?君の姉は帰ってこなかったって」
「……う……」
「泣いてもいい。だけど先に話を進めよう。君の姉の命を奪ったのはメジス魔界にいた大悪魔、ベグラギュドという魔物だ」
「ベグラ……ギュド……」
その名を口にするメリーアの目に、僅かながら怒りのようなものを感じた。姉の命を奪ったのは当然として、父親の命を奪ったのもメジス魔界の悪魔なのだ。恨むことには抵抗がないのかもしれない。
「恨む必要はないよ。ベグラギュドはとっくに死んでいる。そこにいるエクドイクの妹がサパっと殺しちゃったからね」
「エクドイクお兄ちゃんの?」
「それだけじゃあない。そこのエクドイクはそのベグラギュドの持っていた力を奪って、メジスの為に魔物達と戦ってとても大きな功績を残した。ちなみに君とエクドイクが出会ったのもその時だね」
同胞の言葉に嘘はない。だが明らかに俺のことを良く印象付けようとしている節が見られる。それではダメなのだ。俺という存在がいたからこそ、レイシアは悪魔に捕まってしまったのだ。
「そう……なんだ……」
「――エクドイクはそのベグラギュドによって連れ去られた人間でね。人を殺すようにとベグラギュドによって酷い生活を強いられていた。そしてその教育の一環として君の姉と出会った」
「お姉ちゃんと?」
「ああ。エクドイクに人としての常識を学ばせる為にね。そして用済みになったからと君の姉は殺されてしまった」
「……」
同胞は『これで文句はないだろう?』といった表情でこちらを見てくる。そう、それでいい。その因果をメリーアは知り、俺を恨む権利があるのだ。
「見方によれば君の姉は悪魔に利用されて殺されただけとも言える。だけどね、その時に君の姉がエクドイクに刻みこんだ意思が今もこうして君を守っている」
「……どういうこと?」
「レイシアがエクドイクに教えた人としての生き方、その切っ掛けがあったからエクドイクは人を救う道を選ぶことができた。君の姉の意思は巡り巡って、君や君の住む国を助けることになったんだ。君はそのことを誇っていい。君の姉は並の聖騎士では成し遂げられない偉業の種を芽吹かせたんだ」
「お姉ちゃんが……」
「エクドイクの功績を教えたらそれこそキリがない。メジス魔界の大悪魔を何体も倒し、クアマやガーネだって救っているんだよ?」
それは流石に言い過ぎだ。むしろその大半は同胞の功績であって、俺はその手伝いをしただけだ。それにレイシアから教わったことは確かに俺の人生に影響を与えてはいるが、結局俺はラーハイトに利用され人を殺す為に雇われるような裏の世界の住人になって――
「とまあ、これは『僕』の見解じゃない。未来の君がエクドイクに抱いている気持ちだ」
「私の?」
「そう。未来のメリーア=ペンテスが、そこにいるエクドイクの人生を知って抱いた気持ちだ。……そうだ、うっかりしていた。ちょっとお菓子を差し入れに持ってこようと思ったのだけれど、一人だと飲み物まで運べないからね。エクドイク、少しついてきてくれ」
同胞は立ち上がり俺を連れて部屋を出ていく。メリーアは何やら考え事をしているような様子のままだった。台所で同胞と共に菓子の用意を黙々と行っていたが、耐えきれずに口を開いた。
「同胞、これは一体なんの真似だ?」
「言っただろ?君の自己満足の為にメリーアに嫌な思いをさせたくないって。印象っていうのはね、説明の仕方一つでガラリと変わるんだ。君がしようとしていたのはメリーアが君を恨めるようにとわざと悪い印象を植え付ける行為だろ?」
「わざとではない。ありのままの――」
「『僕』が言った内容も嘘偽りはないよ。ありのままの内容だ。あの子が不快な思いをしないように、彼女にとって最も大切な姉の名誉を守るようにと振る舞っただけだ。君の話し方ではレイシアはどれだけ不遇な死に方をしたと貶めるつもりだったのかな?」
……俺がいなければレイシアは死ななかったのかもしれない。だから俺のせいでレイシアは死んだのだと、メリーアには伝えるつもりだった。だがそうなればメリーアにとって最も大切な存在であるレイシアの名誉はどうなる?俺が自分を悪しき存在だと伝えれば伝えるほど、レイシアの死は無価値なものへとなっていく。
「……なるほど、自己満足と言われても当然か」
「君が今すべきことは、メリーアに真実を突きつけて怒りや憎しみを抱かせることじゃないだろ?少しでも彼女の不安を解消して、穏やかに元の状態に戻ってもらうことに専念しなよ」
「……ああ。ところでさっきの話だが……今の同胞はメリーアとの記憶はないはずだ」
「未来の『僕』は几帳面でね。他人同士の間柄だって記録しているんだよ。その中にメリーアが君をどう思っているのかを分析した結果もあった。そこまでの量じゃないけど、さっき話した内容が事実であることを導き出せるだけの内容ではあるよ」
「……そうか」
メリーアは俺を許してくれただけではなく、俺とレイシアの関係が良きものであったと、俺がレイシアの残した意思によって正しく導かれたのだと認めてくれていたのだな。トリンで共に行動するようになってからというもの、どこか優しくされ過ぎているような感じはあったのだが……俺に姉の意思を重ねていたのだろうか。
「多分今君が思っていることは半分くらい違うけどね?」
「ち、違うのか……」
「その辺の答え合わせは努力しなよ?鈍感過ぎるのも他の連中に悪いからね?」
「努力する……。それはそうと、何か用事があって来たのではないのか?」
「ああ、次の作戦の話をしようと思ってね。君にはちょっとばかり大変な目に遭ってもらうから、その覚悟をしてもらおうかなと」
「愚問だな。同胞の立てた計画に異議を唱えるつもりはない。相応の覚悟はいるのだろうが、今回の一件の借りを返すのにちょうど良い」
俺の独りよがりな行動で、過去のメリーアを苦しめるところだった。それを助けてもらった恩は大きい。それこそ次の一件だけで返しきれるとは思わない。
「良い返事だ。なら問題はないかな。それじゃあ『僕』はハークドックのところに行ってくるよ。君はメリーアと話をしておこうね?子供に君の英雄譚を読み聞かせるように、ところどころハラハラさせる要素は必須だよ?」
「じ、自分のことを英雄として語れというのか……?」
「そうだよ。だって君はメリーアにとっての英雄なんだ。メリーアの姉が育てた英雄の物語、子守唄にはこれ以上にないだろうさ」
「おい、待て、俺一人で運べと――」
「その鎖は万能なんだろ?頑張れ」
同胞は愉快そうな顔をして去っていった。確かに鎖を使えば二人分の道具を運ぶことは造作もないが……仕方ない。
部屋に戻るとメリーアが驚いた顔で出迎えてくれた。流石に鎖を宙に漂わせてお茶を運んでくる男はそうそう目にしないだろう。
「同胞は急用を思い出したらしくてな。俺も迷惑なようならすぐに出ていく」
「ううん。そんなことない」
「――そうか」
鎖でテーブルをベッドの近くに移動させ、道具を置いていく。その様子をメリーアは興味深そうに観察していた。
「エクドイクお兄ちゃんって、魔法使うのが凄く上手いんだ!」
「人よりは多芸ではあるな。だが料理の腕はお前やレイシアには及ばない」
「そっかぁ……。ねぇ、エクドイクお兄ちゃんって冒険者なの?」
「……ああ、そうだな」
「どんな冒険をしてきたの?」
「大抵は地味な話になるな。だがそうだな、さっきいた同胞と出会ってからはなかなか印象に残る思い出が多いな。……聞くか?」
「うん!」
メリーアからは既に俺に対する恐怖心が消えている。幼い子供の精神のはずなのに、もう姉の死を乗り越えたというのだろうか。いや、きっと他のことに興味を示してその悲しみから離れようと必死なのだろう。
同胞と同じようにベッドに腰掛け、過去の記憶を思い巡らせる。誰かを喜ばせるような話し方を意識して行ったことはないが、あまり深く考える必要はないだろう。俺は以前メリーアにした過去の話をより輝かしく、よき思い出であったかのように語り始めた。
◇
あの男が過去の状態になってからというもの、ラクラやミクスの表情がとても重苦しい。そりゃあ普段からそっけない奴だけど、気遣いとかはできていたのよね。それが今じゃ不気味な目で見てくるだけの異常者にしか見えないわけだし。
「おや、蒼の魔王。君の方がいたのか」
「……何よ?」
噂をすればなんとやら、あの男が姿を現した。今はそこまで違和感はないけど、私のことを『蒼』と呼ばないだけでも相当に気持ち悪く感じるわね。別にエクドイクと違って呼ばれて嬉しいってわけじゃないけど。
「君に用はないよ。ハークドックを探していてね。君がここにいるならハークドックはいないと言うことになるよね?」
「そうね。居間を占領しているのは悪いけど、下手に気遣うと嫌がるらしいし」
一応これでもハークドックとは会話をしたことは何度かある。もちろん扉越しなのだけれど。口は悪いけど、エクドイクよりも気遣いはできるし付き合いやすい奴ではあるのよね。だから私としてはそれなりに気を遣い返してあげたいという感じ、顔を合わせたら失神してしまうことを楽しむ他の二人が異常なのよ。
「やっぱりハークドックの行動は少し読み難いなぁ。修正しなきゃ」
「あんたね……。そんなことよりももう少しミクスやラクラに対する態度をどうにかできないの?」
「――今エクドイクはメリーアの看病をしているんだけどさ、随分と打ち解けてきているようだね」
「……は?何を言ってるの?」
なんで急にそこでエクドイクとメリーアの話になるのよ?まあメリーアのことは色々思うこともあるけど、今は状況が状況だし……。
「メリーアのことを考えると、もう少しエクドイクにはメリーアのことを大事にさせるように誘導して置いたほうが良いと思うんだ。それこそ愛しい想い人のように」
「……何を言いたいのよ?」
「今不快に思っただろう?君とエクドイクの関係に踏み込まれたわけだからね。まあこれは今さっきの一言に対する意趣返しだよ」
「だから――」
「あまりぐだぐだ言うようなら、これが現実になるようにかき乱してやるって言ってるんだよ」
この男は愉快そうな顔のままで私に対して警告してきた。それがどこまで本気なのはわからないけど、この男ならそれができる。そう考えてしまっただけで反射的に体が動き、むなぐらを掴み壁へと叩きつけてしまった。
「何百年と生きているくせに、随分と感情的なんだね」
「勘違いしないでもらえる?他の連中は未来のあんたに従っているけど、私は手を貸しているだけなのよ。だから私は躊躇なくあんたに痛い目の一つや二つ、遭わせてあげることができるのよ?私の腕力でもあんたくらいならどうとでもできるわ」
「勘違いしているのはそっちじゃないのかな?『僕』はこの世界の住人に比べ遥かに弱い。そんなことは重々承知だ。だけどね、一人だけ例外的に力技で脅せる相手はいるんだよ」
「何が言いたい――」
「――たった一つの名前を口にするだけで、君の人生は終わるかもしれない」
「――ッ!?」
思わず手を離し、距離を取る。こいつの表情は変わっていないのに、その目に見つめられるだけで泥の中に沈められているかのように、冷たくどろりとした感触が全身に回っている。先程考えたのと同じで、この男ならそれができると理解してしまっている。
「あは、死にたがりの魔王が随分と未練を持っているじゃないか」
「……悪ふざけもいい加減にしないと、本気で殺すわよ?」
「殺せば?どっちが早いかは運次第とは思うけど、どっちが先でも君の未来は終わるよ?」
殺気を向けてもまるで動じていない。胆力があるというわけではなく、この状況を楽しんでいるとしか考えられない。
いっそこの男をここで殺せば……他の魔王とも険悪な関係になるし、ラクラとも一緒にいられなくなるわね。エクドイクは一緒に来てくれるかもしれないけど、きっと……。
「恩人を殺した奴に誠心誠意尽くすとは思ってないんだろう?その考えは当たりだ。でもそもそも前提が間違えているだろう?君はなんの力を持っているんだい?」
私の持つ力、死者の魂を束縛しアンデッドとして使役する『殲滅』の力。だけど死霊術だけならば私以外の者にも使えることは既に証明されている。もしもこの男が誰かの手でアンデッドになるようなことになれば、それだけで私の名が伝わってしまう。
「随分と雑な脅し方をするのね。あんたらしくもない」
「君は雑草を抜くのに華麗さを求めるの?」
「誰が雑草よ!?」
「君は敵じゃないけど、信用のおける味方でもない。今の『僕』が邪魔だと思えば今の『僕』の裁量で排除してもいいやってなるんだよ。未来の『僕』が大事にしようとしている連中に手を出さないのも自重しているだけではあるんだけどね?」
ああ、こいつ。本当に他人事なのね。ラクラやミクスとの関係も今の自分には何の関係もないと、私やエクドイクのことも邪魔になれば躊躇なく排除できるって。
「酷いのは変わらないけど、よくもまあこんなのがマシになったものね」
「お互い様でしょ?いや、君の方が凄い変わりようらしいけどね?」
昔に戻ってもムカつくことには変わりないわね!といってもこれ以上険悪な感じになると、本気で敵に認定されそうなのよね。色々と立て込んでいる状況で私とこいつが殺し合う関係になるのは避けたい。いやぶっちゃけ構わないのだけれど、私のせいでってなるのがちょっとヤダ。
「……はぁ、もういいわよ。勝手にしなさい。ハークドックならバラストスに引きずられて物置の掃除をさせられているわよ」
「最初からそう言えば無駄にカリカリせずに済んだのに。そんなだからエクドイクに恋心の一つや二つ、綺麗に届けられないんじゃない?」
「私がせっかく終わらせようとしているのに、まだ続ける気っ!?」
ただ既にこいつから受ける印象は最初の状態に戻っているし、問答する気はなさそうなのだけれども。
「これはただのお節介さ。メリーアの記憶が元に戻り、これまでの経緯を知ればエクドイクとの関係は更に深くなるよ。それこそ『僕』がかき乱すまでもなく、順番が入れ替わることにもなるだろうね」
「……どっちの応援がしたいのよ、あんたは」
「君にもメリーアにも興味はないよ。エクドイクには少しだけマシな環境にしてあげたいくらいの気持ちはあるけどね」
何よそれ、今の環境が悪いっていうの!?そりゃあ……煮え切らない感じのままあいつの周りに女が一人増えちゃってるけど……!
「別にいいでしょ、こういう関係も」
「いつまでも二番手で満足できるんだ?」
「……二番?なによ、あんたも混ざってるの?」
ひょっとしてだけど、この男そっちの趣味があるのかしら?それならミクスやラクラに対してそっけないのも納得がいくというか。って、そうなると私にとっては強敵どころじゃなくない!?
「勝手に混ぜないで欲しいな。エクドイクにとって女性として一番意識しているのはメリーアの姉、レイシアだ。故人を超えるのはなかなか難しいもんだよ」
え、そうなの?ああうん。でもそうかも。エクドイクがメリーアに事情を打ち明ける時、散々悩んでいたのってレイシアに対して凄く負い目があったからだろうし……。そう考えるとエクドイクがメリーアに甘い感じにしているのもレイシアのことが……。
「で、でもそれは恋愛感情とかそういうのとは関係ないでしょ?」
「そうかもね。でもエクドイクは自分をリードしてくれる年上タイプが好みだよ?」
「……え、そうなの?」
そんな様子少しも感じなかったのだけれど。そもそもエクドイクの周りに年上の女性ってほとんどいないわよね。あ、でも私って外見年齢はエクドイクより低いけど実年齢で言えば相当上よね?……自分で言ってて悲しいけど。
「なお魔王の年齢詐称は除く」
「人の心に追い打ちしないでもらえる!?」
「壁に叩きつけられた分の意趣返しさ。せいぜいもんにょりしておくことだね」
こいつ……敵とか味方とかその辺の境界線が曖昧なのもそうだけど、根本的に人の心を揺らすのを楽しんでいるわよね!?絶対ロクな大人にならないわよ!?なってないわね!そうだったわね!




