次に倒れるのは。
ジェスタッフの屋敷を取り囲むクアマ兵、つい先ほどクアマ国の保有する武器庫から奪われた武器が発見されたとの報告があった。
仕込んだのが誰かは言うまでもない。酷いことをする奴もいたもんだ。
「しかし息をするのと同じくらいに、すんなりとジェスタッフを罠に嵌めてみせたな」
「尚書様の人格が疑われる要因ですよね、そのスムーズさって」
酷い光景を見ているかのような顔をしているイリアスとラクラ、何か呟いているようだが無視だ無視。
こちとら屋敷に張り込んでいたエクドイク、ギリスタの報告から頭を捻って策を用意したんだ。
「各員! 屋敷の周囲を固めつつ、ヘリオドーラ卿の身柄を拘束せよ!」
視界の先で声を上げるのはゼノッタ王。今回は兵士の指揮をお願いさせてもらった。
ジェスタッフは多少の評判の低下程度で目的を諦める男ではない。
それどころか逃走して態勢を立て直すくらいはやってみせるだろう。
なればこそとゼノッタ王に大捕り物を行わせるかの如く、このように挙兵してもらったのだ。
さて、こちらの読みが正しければそろそろ……。
「尚書様、屋敷周囲に対する探知魔法の使用を確認しました。イリアスさんの剣に装備されている魔封石で無力化されたみたいですね」
「この状況下でそんな広域の探知魔法を使うのは間違いなくハークドックだな。イリアス、その場で動くな。恐らくもう一度来るぞ。ラクラとエクドイクは方向を絞れ」
ターイズで暴れていた山賊達、彼らも探知魔法を使用する際には魔封石を保管している箇所を避けて使用していた。
ハークドックが探知魔法に長けているのならば、今度はイリアスを避け周囲の探知を徹底するだろう。
「――来ました!」
「私を避けるどころか、私の剣の周りだけを避けて使用してきたな。恐ろしい精度だ」
「今度は私のナイフに装着している魔封石に打ち消されたようですがな」
立ち位置を考えるに、こちらのメンツは二度目の探知魔法でほぼ全員が探知されたことになるな。
ちなみに全員が探知魔法に触れた反応を見せているが、こちらは何一つ感じません。
「方向はどうだ?」
「こっちの方角だな」
「ただ妙に低い位置から発せられたような気がします」
「む……言われてみればそうかもしれないな」
「ということはだ、ハークドックは地下室にいるようだな。これだけ大きな屋敷なら地下室の一つや二つあるだろう。ジェスタッフも傍にいると見て良い」
「地下室か。だがこの状況で地下室に籠っていては逃げ遅れる可能性があるのではないか?」
籠城戦、というのは考えにくい。隠れるのならばジェスタッフがハークドックに探知魔法を使わせるような真似をするとは思えない。
ならば逃げるために地下室にいるということになる。
と考えたところで笑顔のゼノッタ王がこちらに駆け寄ってくる。
「上手く行ったようだな! これでジェスタッフも無事に抑えられそうだ!」
「いえ、ジェスタッフは今屋敷の地下室にいます。恐らくそこから外に逃げ出す通路があると思います」
「なんだと……ど、どの方向に逃げるのか予測はできぬのか!?」
「ジェスタッフが道を選ぶのならまだしも、過去に作られた通路でしょうからね。過去の人物の心理まで読み切れるってわけじゃないですよ」
それが容易く出来るのならば、間違いなく考古学者の道を選んでいただろう。
ゼノッタ王の笑顔はみるみる困った顔になる。顔が忙しい人だ。
用意していた地図を取り出し、床に広げる。
「ならばどうするのだ!?」
「これはジェスタッフの屋敷周囲を拡大した地図です。地下室があるのはこの辺、順当に行っていずれかの部屋の下でしょう。流石に地下通路がこの国の外まで繋がっているとは考えにくい。過去のヘリオドーラ家の敷地内を通り、今もなおジェスタッフが所有している物件の何れかに辿り着くはずです。そして大まかな方向はそれぞれが丁度四方に分かれています」
「つまり屋敷の四方の何れか……どれなのだ!?」
「わかりませんので全方向を一気に探ります。イリアスは北、ウルフェは南、ラクラは東、エクドイクは西にある屋敷外の地面を掘ってくれ」
「今から掘るのんですか!?」
「丁寧に掘る必要はない。派手にやってくれ」
「北や南はまだ路地になりますけど、東と西は隣接する家がありますよ!?」
「住人には悪いが建物ごとやってくれ。弁償ならゼノッタ王がいくらでも出してくれる」
「う、うむ。出すとも!」
この四名なら地面を掘る……というより吹き飛ばす手段がある。
地下通路が見当たらないのならば掘れば良いのだ。周囲の人達ごめんなさい。
「ギリスタとミクスは地上から屋敷を捜索し地下室へ。見つけたらギリスタは地下室の壁を全方向壊して探ってくれ。ギリスタは見つけたら報告を、ミクスは戦闘にならない程度に先行してジェスタッフの行方を追ってくれ。それじゃあ各自行動に当たってくれ。『俺』はイリアスと行動する」
「行ってきます!」
「了解です!」
「うう、わかりました。頑張りますよ!」
それぞれが駆け出す。その中でエクドイクだけを呼びとめ追加の指示を出して送り出す。
さて、こちらもイリアスと行動を開始せねばなるまいな……って。
「おい、イリアス」
「なんだ、急ぐのだろう?」
「そうだけどさ、人目のある時くらいは丁寧に運ばないか?」
イリアスの肩に担がれる成人男性、結局これか。
ゼノッタ王が『うわ、マジかよ』って顔で見ている。
「両手で抱えては片手が使えないだろう?」
「そうだけどな、いやもういいや。急ぐぞ」
◇
地下室傍にいた仲間は六名、それ以上を集めるには時間が足りなかった。
だから一人には屋敷に残った連中への言伝を任せて、残る五名を加えた七人で地下通路へと足を踏み入れた。
「急ぎましょう!」
「待て、入り口を閉じてからだ。地下室までなら奴さんは直ぐに辿り着くだろう。お前が探知魔法を使ったからな」
「ぐ、ごもっともで! すいません!」
「必要なことだ、気にするな。内側にあるこのレンガを押せば……」
兄貴が壁の一部を押すと、ガコンという音と共に俺達が入ってきた入り口が閉じて行く。
すげぇな本当、いつか自分の家を持つことになったら俺もこの仕組み絶対に取り付けるわ。
探知魔法を使用。大丈夫だ、隙間もなく埋まっているから魔力が漏れることもねぇ。
外からの探知魔法もここには届かないだろうよ。
「これで大丈夫ですね!」
「安心すんな、最後まで気を抜かないのが生き抜くコツだ」
「はい!」
通路は魔石の灯りがあるとはいえ暗い。全力で走るには少し足元がおぼつかない。
声を殺して急ぎ足で歩く。うおお、この緊張感は辛い!
屋敷に残った連中は多少の抵抗を行わせるように指示を出した。しかし無理して死ぬ必要はないと兄貴は念押しをした。
つってもクアマ兵と俺達の私兵の強さは互角。そんな状況でヤバくなったら投降しろってのは無理がある。
何人かは死ぬだろう、だがジェスタッフの兄貴が逃げ切れればこの局面は勝ちだ。
クアマ本国の周囲には兄貴を支持する貴族達も数人いる。そいつらと合流できればまだまだ挽回は――
「兄貴、ストップッ!」
「ッ!?」
兄貴の服を掴み、思いっきり後方に引っ張る。周囲の連中も俺の行動に素早く対応して後方に下がる。
それと同時に通路の天井が爆ぜ、さっきまで俺達がいた場所に瓦礫と土が降り注ぐ。
間一髪! 本能様、ありがとうございます!
つかどういうこと!? 追手だよな!? 地下だよ!?
「いたた……勢いが余りました……。でもこちらがアタリだったようですね」
通路の上に積み重なった瓦礫の上にいるのは、ユグラ教の聖職者。
女、それも何というか力が抜けていそうな感じだ。
「追手……ってのは聞くまでもねぇか。つかここ地下通路だぞ!?」
「掘りました」
「掘ったの!? こっちの方角って他の人の屋敷があったはずだぞ!?」
「それごと掘りました。ちゃんと謝罪はしてあります」
「非常識過ぎだろ!?」
「私だってそう思いますよ!」
あ、この女あの男に無理難題投げられてるタイプだな。ちょっとだけ同情。
周囲の確認。通路の天井が崩れているが光は僅かしか差し込んでいない。
恐らくこの上は誰かさんの屋敷、その床を吹き飛ばし、土を掘ってこの通路を見つけたってとこか。
幸いなのは頭上にある筈の土が通路を埋め尽くしていないという点。土魔法か何かで屋敷内に土を移動させたと見るべきだな。先に進むことはまだ可能だ。
しかし石造りの天井を破壊した手段、それが少し気がかりだ。
僅かに確認できたのは鋭い切断。だがあの女は武器を持っちゃいねぇ。
風魔法か? この狭い通路で撃たれちゃなかなかに面倒だが違う気がする。
同時に発動していた探知魔法の結果が出た。あの男の近くにいた妙な魔力を持った聖職者で間違いない。
周囲にはこいつしかいない。エクドイク達は手分けして他の方角を掘っているってとこか、巻き込まれた近隣住民の方々ごめんな!
丁寧な探知で新たに分かったこと、それは相手の魔力の練磨の度合いがヤバい。
魔法に長けた奴の魔力ってのは柔らかい感じなんだが、こいつの魔力はほぼ水だ。
恐らく構築から発動までの速度が尋常じゃねぇ。短期間で地面を掘ってここまで辿り着いたのは運が良いってだけじゃない。
状況を判断している内にこちらの仲間が前に出る。
一先ず五対一、交戦が始まった隙に兄貴を先行させ俺が殿を務めれば……ってやべぇ!?
「全員飛べっ!」
兄貴を抱えて天井に張り付くまで飛び上がる。
他の連中も同様に飛ぼうとしたが間に合わなかった。
視界に映ったのは五人の仲間達の両足が切断され、自然の理に従って地面に倒れて行く光景。
優位に見えた状況が一瞬にして阿鼻叫喚の惨状へと塗り替えられた。
「両足を切断すれば逃げられずに済むと思ったのですが……」
女と視線が合う。天井を蹴り、壁を蹴り、女と距離を取りながら地面へと戻り兄貴を降ろす。
交戦の隙に兄貴を先に行かせることは無理だ。あの女が兄貴を狙えば一瞬で兄貴の足は切断される。
「兄貴、すいませんが後方の警戒だけお願いします」
「……やれるのか?」
「まあ、なんとかやってみます」
ここであの女を倒さないことには先に進めねぇ。ならやるしかねぇよな。
正直相手は相当の手練れ、俺よりもかなり実績がある相手に違いない。
だけど少なくとも攻撃のタネは分かったし、本能様がさっきから大人しい。
つまり、ギリギリ倒せる相手ってことだ。多分。
深呼吸を一回、旋棍を左右交互に一回転。
これが俺の戦闘前の儀式、集中するための所作。
「……」
「おい女、追撃をしなかった理由はなんだ?」
「んーと、貴方が一騎打ちをしてくださって、その上で貴方を倒せばジェスタッフさんは安全に捕らえられますよね?」
「俺が兄貴を守りながら戦っていれば、もっと楽に俺を倒せたと思うんだがな」
「貴方と戦いながらジェスタッフさんを無傷で捕らえるのは無理だと思います」
「そうか、ありがとうな」
この女は兄貴を捕らえるつもりだが、殺したいとは思っていない。
可能ならば無傷で捕らえたいと思っている。そして俺を倒せばそれが容易だと理解している。
ついでに俺と一対一で負けるつもりはないと自負してやがる。
だがそれは正当な評価だ。癪に障る必要はねぇ、屈辱は飲み込んでろ俺。
「お礼を言われる立場ではありません」
「それでもだ。望みのある状況に甘んじてくれたんだ。感謝してるぜ」
「……ジェスタッフさん、もう少し下がっていただけますか? つい巻き込んでしまったではこの方に悪いので」
その言葉に兄貴は数歩下がっていく。この距離でも巻き込むってことか。
だろうな、そういう技なのはもう分かった。
軽く跳躍して今日の体調を再確認。昼飯前だから腹が減ってる。
ま、その方が腹に力が入るってもんだ。
探知魔法を使用し、戦闘の間合い全てを把握する。
「ハークドックだ」
「ラクラ=サルフと申します」
ラクラと名乗った女の視線、その真剣さには正直背筋が凍りそうになる。
今地面に転がっている仲間達は殺さずに済む相手だった。だから淡々と処理をしてみせた。
だがこの女は俺に対してもうちょっと評価が高い。
殺さずに戦おうとは思っていない。倒したときに生きていたら殺さないでやろう程度だろう。
あまり時間を掛けるわけにもいかない。目の前にいるラクラ相手でも勝てるか分からないのだ。エクドイクやあの女騎士が合流すればまず俺一人じゃどうにもできない。
速やかに、この女を……仕留める。
◇
尚書様がエクドイクさんに対し警戒するように言っていた相手。
それが目の前にいるハークドックさん。
私は全員の足を切断しようとし、最速で結界による切断を行いました。
だけどハークドックさんだけはその攻撃を回避、それも人一人を抱えたまま。
明らかに結界の発動前に回避をしていました。
私の最速の攻撃を回避できる。それだけで手心を加える余裕はなくなりました。
ですがその動き自体は十分に目で追えます。以前戦ったデュヴレオリさんと比べても数段に遅い。
一撃が回避されるのならば二撃、三撃と追撃すれば十分に捉えられる……はず。
「いくぜ!」
ハークドックさんが踏み込み、こちらに向かってくる。
かなり速い、けれど人の域なのは確か。
回避しにくいように体の中央を狙い、真横に結界を発動。
彼はその攻撃を大きく前に体を倒して回避、でもその姿勢からは素早く動けない。
次は更に低い位置に真横の結界を――
「撃たせるかよ!」
結界を展開しようとした時、それが妨害された。
さらにそのまま彼が飛び込んできて旋棍の一撃を振るう。
「ッ!」
防御用結界を展開、攻撃を防ぐ。
即座に解除し、後方に飛びながら風魔法を撃つ。
ハークドックさんはそれを旋棍で丁寧に受け流す。
ああ、やっぱりこの人……そういうことですか。
「ラクラだったか。お前の得意技は結界魔法のようだな。防御としても申し分ねぇが、その展開速度を活かして斬撃を飛ばすような感じで攻撃にも使えている。防御結界はその場で発動するから問題ねぇとしてだ。遠距離に攻撃する際には自分の魔力を広範囲に広げておく必要があるようだな」
「……そうでないと届きませんからね」
「遠距離でも同じ速度で展開できるのは正直すげぇ。でも展開している魔力自体はただの魔力だ。何か別の魔力をぶつけりゃ簡単に揺らぐ。例えば俺の探知魔法とかでもな」
そう、二撃目の構築を行おうとした時、彼は常時発動していた探知魔法をより濃く発動し、彼の魔力で私の魔力を押しのけた。
魔力がない位置には結界は展開できない。だから追撃を行う事はできなかった。
結界で攻撃するためには、身体能力で優れている相手にある程度近づく必要ができました。
試しに風魔法を使用してみましたが、それも問題なく撃ち落されました。
見え難い結界や風を的確に察知できる方、これは非常に不味いです。
こうなれば……アレを使うしかありませんね。
結構眼に負担があるので何度も使えるわけではありませんが……『盲ふ眼』を。
「……? どうした、得意技を凌がれたってんでショックでだんまりか? それで終わりってわけでも――っとぉ!?」
「そんなッ!?」
自らの眼の中に存在させる魔力、そしてその魔力で構築させる結界。
私だけに見える干渉されることのない結界、その一撃は探知魔法ですら察知することはできない。
なのにハークドックさんはまたしても、発動する前に回避してしまいました。
「急に蹴りを入れてくれるなよな……ああ、ビビッた。今のが奥の手って奴か」
「今の一撃を回避できたということは……本能だけで回避したということですね」
「ああ、今まで静観していた本能様が急に蹴りを入れてきたからな」
この攻撃が回避されたのは初めてではありません。デュヴレオリさんも死を忌避する本能の訴え、それに身を委ねて反射で行動し致命傷を避けていました。
今のハークドックさんの反応はその時のデュヴレオリさんのものと同じ。
いえ、それ以上。デュヴレオリさんは発動と同時でしたが、彼は発動前に本能が働いている。
まるで未来を予知しているような……。違う、今はそんなことを考えている場合じゃない。
ハークドックさんは本能で『盲ふ眼』の攻撃を回避できる。ですがその展開されている魔力は察知できていない。
ならこのまま連続で使用すれば、彼の身体能力を追い越して攻撃を当てられるはず!
眼が熱を帯びているのがわかります。眼の血管が脈動し、今にも破裂しそう。
だけどもっと展開しなくちゃ、確実に二撃目を当てるために……!
「そろそろ決めさせてもらいます!」
「そりゃこっちの台詞だ。奥の手も見せてもらったからな。次の次くらいで決めてやるよ!」
ハークドックさんは躊躇うことなくこちらに向かって駆け出します。
それに対し『盲ふ眼』による結界、先と同じように体を前に倒して回避。
「その攻撃、マジで怖ぇなっ!?」
「くっ、でも次は――ッ!?」
ハークドックさんが回避をした後の次の行動に合わせ、二撃目を入れる猶予は十分にありました。
だけどハークドックさんが取った行動に、思わず結界の発動ができませんでした。
ハークドックさんはさらに体を倒し、地面に這ったのです。
その周囲には……足を切断され動けなくなった彼の仲間が。
縦にも横にも、結界を展開して攻撃すれば彼らを巻き込んで……!
「やっぱな。精一杯気合を入れて俺を殺す覚悟はできても、お前が傷つけて無力化した相手を巻き込むことはできねぇか。さっき俺が回避した後の追撃の高さがこいつらをギリギリ避けていたからな」
私の心を見透かしたかのように彼の眼が私を見つめる、それはまるで尚書様のように。
こちらが動こうとする間もなく、ハークドックさんはその姿勢から私の正面にまで飛び込んでくる。
振り上げた旋棍を確認、防御結界を展開、彼の攻撃力ではこの結界は破れない!
攻撃を防いだら結界を解除して、追撃を入れる!
「悪いな。その結界じゃ俺の奥の手は防げねぇんだわ」
コン、と軽い音。ハークドックさんの振るった旋棍は結界に軽く振れただけ。
フェイント!? 結界の解除はなし、次の一撃に備えて――
「(――え?)」
結界が砕けた。暗転する視界、腹部を中心に強い衝撃。体が浮遊感を覚える。
何が、いや、それよりも、あ、ダメかも。
地面に何度も叩きつけられる感触と同時に痛みがやってきたが、その痛みに苦しむ間もなく意識が途絶えた。