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次に犯すは。

 多少の手間はあったが無事シュナイトへの加入を果たすことに成功。

 ラクラやウルフェの立場では後押しや実力が目立つことは避けられない、ならば下側からの情報収集を行うのはこちらの役割だろう。


「まあ話術には多少の自信はあるからな、計画通りといったところだな」

「何が計画通り、だ。拝み倒してようやく許可を貰ったと思えばギルドカードに魔力を付与できない件でさらに揉めて散々だったではないか」


 そうなのです、ようやく申請が通りギルドカードを発行してもらう段階になりギルドカードに本人の魔力を付与する工程で魔力が全くない誰かさんは再び交渉する手間となったのです、はい。

 結局本人確認ができるというメリットを捨てると言った形で特別にギルドカードを発行してもらっている。

 本人であると証明できないのは場所によっては信用を得られない可能性を孕むがそういった確認工程は高ランクの冒険者が行うこと、低ランクの冒険者にはあまり縁のない話だ。


「ギルドのシステムを聞いてからそうなることは予想の内だ、むしろその工程を省いて登録できたことを評価して欲しいところだな。後は着々と依頼をこなして多少の信頼を得たところで情報収集の開始だ。全て順調さ」

「順調か、これで」

「うるせぇ、白い目で見る暇があったら手伝ってくれ!」


 そして現在、山の中で薬草集めの最中。

 クトウの影を手袋の形へと変化させ装着し、片方にはハサミを形成させている。

 素手で雑草とか触ったら毒で湿疹とか出ちゃうからね、こういう細かい気づかい大事。


「私の仕事は君の護衛だ。薬草集めに専念していては本分が疎かになるだろう」

「融通の利かない奴だな、もっと他の連中を見習ったらどうだ」

「これは君の受けた依頼だろうに。人手を動員しているのは感心できないな」

「まったくよ! 何で私がこんなことをさせられているの!?」


 いつから聞いていたのか会話に参加しつつ茂みから『蒼』が現れる。

『金』と『紫』、デュヴレオリもそれぞれが手持ちの小さな籠に何種類かの薬草を集めて続く。

 ターイズに居て手が空いていそうな連中、こいつらしか思いつきませんでした。

『金』と『紫』は快諾してくれたが『蒼』は渋った。

 なので『エクドイクが地道に頑張っているのにお前は……』と煽って動員させてもらった次第だ。

 なおデュヴレオリが『主様にこのような雑務を』と睨んできたが当人がやる気だったので事なきを得た。


「別に良いじゃない? 別荘に籠りきりよりは随分と健康的よ?」

「薬草集めとは何百年ぶりかの、童心に戻る気分じゃ。御主に言われた通り薬草らしい物を一つずつ集めて来たぞ」

「おー、助かる。それじゃちょっと貸してくれ」


 やや開けた場所に移動し集めてもらった薬草を広げる。

 そしてクトウの影から一冊の本を取り出しパラパラと捲る。

 これはこの世界の薬草図鑑、印刷技術の乏しいこの世界では挿絵も手書きで少々判別が難しいが細かい特徴も書かれているので何とか素人目でも見分けは付く。


「お、あったあった。ええと……あとこれもだな。それじゃあこっちに選り分けた薬草を各自集めてくれ」

「依頼にあった薬草は一種類ではなかったかの?」

「まあな、こっちは個人的に集めておきたい薬草だ」

「あまり効果のない薬草ばかりに見えるが……ああ、そういうことか」

「そ、自分用。今より分けたのは魔力の有無にかかわらずに効能が得られる薬草だ」


 この世界は魔法での治癒もそうだが薬草も体内の魔力への干渉を行って回復力を高める物が頻繁に使われている。

 魔力の干渉を受けられない身としては魔力の安定していない子供用の薬草が必要なのだ。

 子供もある程度までくれば自分の魔力で免疫を高められるので使用されるのは赤子から幼子がほとんどでこれらの薬草は流通が少ない。

 在庫の少ない薬をいざという時に皆が頼る薬師から譲ってもらうのは気が引けるし、商人からの購入は割高となってしまうのです。


「魔力がないというのも大変よね? 魔族になったら良いのに?」

「ギルドカードの件を考えるに魔族になれるかどうか怪しい気がしてきたな」

「試してみる?」

「遠慮します」


 一大決意してからの魔族化ならばありかもしれないができるかどうかで試して魔族になりましたでは未来永劫格好がつかない。


「残念ね。じゃあデュヴレオリ、この薬草を集めて貰えるかしら?」

「はっ、主様のお手を煩わせぬよう迅速に集めきってみせます」

「根こそぎ回収されたら今後困るからな。この薬草は葉を煎じて使う、それぞれの葉を数枚ずつ摘み取ってくれ」

「なるほど、その方が長期間に渡って効果的だな。人間を根絶やしにしては餌が無くなるのと同じ理論だな」

「そんな物騒な話に賛同したくねぇな、おい」

「臭いは既に覚えた。では行ってくる」


 そういって影に溶け込み姿を消すデュヴレオリを見送る。

 つくづく真面目な奴だ、やる気だけはエクドイクと変わらないよな。


「そういやデュヴレオリの鼻はあらゆるものを嗅ぎ分けられるんだったな、汎用性高いよなぁ」

「そうね、デュヴレオリの鼻は犬や豚よりも精確だと思うわ?」

「言い方言い方。集めた薬草的には『蒼』が何だかんだ一番種類が多いな、辺境育ちは伊達じゃないわけか」

「何百年前の話よ。まあ箱入りの姫やただの村娘よりは腕が良いのは確かね」

「あら挑発? でもここからデュヴレオリが挽回するもの、すぐに差は埋まるわ」

「自分の力でやりなさいよ!?」

「デュヴレオリを生み出し使役しているじゃない?」


 また騒がしくなって来たな、デュヴレオリが頑張っている以上あまり遊んでばかりというのもよろしくない。


「再開するか。だが『紫』、そういう見方での自負は止めておいた方がいいぞ」

「あらどうして?」

「その理論だと『金』がヤバい」

「んっふっふっ、然り。妾がその気になればガーネの国庫を開き各国から買い占めれば良いだけじゃからな」

「そういう手段は断固お断りする。私財ならさておき国民の税金を私情で使う奴の仲間入りはしたくない」


 それが原因で各国の子供達に回る薬代が高騰し、悲劇なんて生まれたら目も当てられないです。

 そもそもそんなに頻繁に病気になる予定もない、個人の範囲で十分だ。


「何を言うておる。御主は妾、いやガーネにとって必要な人材じゃ。その為に国の財を投じるのは立派な必要経費じゃぞ?」

「俺は妲己か」

「ダッキ? 聞かぬ言葉じゃの」

地球(こちら)の世界の歴史に残っている有名な女だ。傾国の美女と呼ばれた奴でな、当時の王様が入れ込み過ぎて国が傾いたって伝説だ」

「ほほう、得てして的を射ておるではないか」

「ちなみに狐が化けていたという逸話もある」

「なんと、美女で狐となれば妾ではないか。しかし妾は王、つまり何の問題もないということじゃな」


 何だその超理論、妲己が王だったら単純に暴君なだけだろうに。

 おっといかんいかん、雑談が過ぎた。

 話題を切り上げて作業を再開させる。

 薬草以外にも色々と薬になる物が山には多い、こういう機会を無駄にせず効率的にいかねば。

 渋っていたイリアスにも近くでの作業をさせる、すぐ傍にいるのなら問題ないだろうて。


「エクドイク達は今頃それぞれがギルドに加入して情報収集を始めている頃か。ウルフェは大丈夫としてラクラが少し気になるところだな」

「気持ちは分かるがな。だがラクラはラクラでやる時はやる、心配はいらないだろう」

「随分と他人を信用できるようになったことで」

「む、ラクラは既に他人ではない。ラクラの天才的才能は既に熟知している、信用するのは当然だ」

「天才ねぇ……」

「妙な持たせ方をするな? ラクラやエクドイクの能力は紛れもなく天才の域だと思うのだが」

「才能がないって言うわけじゃないがな。あいつ等の力は相応の代償を払って得られた対価だ。それを天才だと片付けるのはあまり良い気がしなくてな」


 エクドイクは人生の大半を過酷な世界で過ごした。

 ラクラは他者に理解されず孤独に己を磨き上げてきた。

 そういった経緯があって開花した才能だ、羨ましい以外の感情が湧く。


「それはそうかもしれないが……」

「お前だって社交性を犠牲にして努力を重ねて鍛え上げてきたんだ、才能の一言で終わらせられるのは不本意だろ?」

「……そうだな。両親から授かった才能があることは否定しないがそれを育てた努力は多少なりとも見て欲しいところだ、配慮が足りなかった」

「ま、天才の域だってのは違いないからな。実力を評価してやるのは間違いじゃない」


 今の二人は周囲から評価される立場にある、それは良い事だ。

 なればこそ埋もれることなく開花できた才能を活かす機会を与えてやるのが周囲の者の役割だ。


「ついでに聞くが君の技も才能なのか?」

「『俺』のは経験やらで身についたもんだ。才能があるかと言われるとなぁ……どっちかと言えば性質だな」

「性質か……なら矯正は難しそうだな」

「してほしくないし難しいだろうな。人の本質は簡単には変わらない、つってもイリアスは随分変わったけどな」

「私がか?」

「ガーネじゃ魔王と名乗った『金』に秒で斬りかかったくせに、家に泊めるまでの関係になっているだろう? 当時のお前に話してみろ、きっと良い顔をするぞ」


 作業をしていたイリアスの動きが止まる。

 顔を覗き込むと難しいことを考えていそうな表情、らしくもない。


「……その辺はなんというか、あまり自分でも整理がついていなくてな」

「どうせ心の中で靄のようになっているとかそんなだろ?」

「そうだ、言葉に表すことが難しい」

「なんなら分析してやろうか?」

「分析……アレはダメだぞ」

「いらんいらん、どれだけ一緒にいると思っているんだ。お前のことなら大抵わかるぞ」

「まるで私が単純なような言い方だな」

「お前が複雑だったら出会った当時に『理解行動』を使っている。『俺』は敵になるか味方になるか分からんような奴にほいほい協力する程善人じゃないからな」

「ぐぬ。……まあ良い、なら聞かせて貰おうか」


 さて、イリアスの心の靄の言語化か。

 人は簡単には変わらない、ならばイリアスの心に抱えているのは変化する前に残っている想いが原因となる。


「先に明確な答えを言うならそれは『碧の魔王』のことだ」

「……碧の魔王」

「魔物によって両親を失い、ユグラ教の大司教であるマーヤさんに影響され育ったお前の中では魔王は絶対悪だと決めつけられていた。だが『金』や『紫』、『蒼』の人生を知ったお前はあいつ等も元はこの世界に普通に生きていた人間、亜人だと理解してしまった。人生を湯倉成也によって狂わされ、与えられた人の身に余る力が原因で人類の敵となったことを知った。だからこそお前はあいつ等を信用することができているわけだがな」

「……そうだな」

「だが出会う魔王が尽く人間で恨み切れない相手だと実感するのと同時に過去に抱いていた想いがしこりとなっている。今後碧の魔王に出会った時にどうするべきなのか、それに答えが出せないでいる」

「……」

「ターイズを襲った魔物を生み出したターイズ魔界、その魔界を生み出した碧の魔王は親の仇と言っても間違いではない。敵対するのであれば問題ない、個人として戦う理由もあるのだから迷うことなく剣を取れるだろう。しかし『俺』は接触した魔王の大半と手を組んでいる。碧の魔王とも手を組むことになった場合、親の仇を憎むイリアス、『俺』を護る騎士イリアス、その両方の想いを両立することができない」

「――今の私は……君を護る騎士だ」

「今はな。だが今のお前の土台となっているのは親の仇を憎み、その脅威から国を守ろうとしたイリアスだ。それを切り捨てることなどできる筈がない、だから心に靄が掛かっている」


 イリアスは俯き沈黙する。

『俺』が第三陣営となることを知った時からこの想いは生まれていたのだろう。

 父に憧れ騎士となったイリアス、その父を奪う原因となった碧の魔王ともし『俺』が手を組むことになったらと。

 ま、今はその答えを出す時じゃない、切り上げるとしよう。


「まだ分析をするか? これ以上分析をすると答えまで出すことになるが」

「いや……もう十分だ。……他人に冷静に分析されると言うのはあまり良い気分ではないな」

「人に理解されて嬉しいのはその人物にとって理解して欲しい面だけだ、個人差はあるがな」

「……そうか、なら君が理解して私が嬉しいと思えるようなことはなんだ?」

「お前がそうやって悩んでくれている、それは過去の自分を天秤に掛ける程『俺』のためになろうとしてくれているってことだ。ありがとうな」

「――その返しは狡いな」

「なんだ、俺が狡い人間だってまだ理解していないのか?」

「そうだったな、君は狡い人間だったな」


 イリアスはこの先その時が来るまで何度でも悩むことになるだろう。

 だがきっと最後には答えを出せる、そういう奴だと『俺』が理解している。

 それができる奴だから『俺』はイリアスの傍にいられる。

 とそこまで言うとラクラ並みに甘やかすことになるので口には出さないでおく、恥ずかしいし。


「さてと、この薬草はこんなもので良いか。そろそろあいつ等と合流するか」

「ああ。ちなみに君が理解して貰えて嬉しいことはなんだ?」

「そうだな……寝ている時は叩き起こされずにぐっすり寝たいな」

「それは理解しても叶えてやるかは君次第だ」

「手厳しいことで。後はそうだな……無難に生きたいってことだな」

「そんなことか、君を知る者なら大抵知っているぞ」

「それはどうだろうな、意外と難しいことだぞ?」

「どういうことだ?」


 最後の質問には答えずに移動を開始する。

 こればっかりは『俺』でも言葉にするのは難しい、何せ今でも明確なイメージが固まっていないわけだから。


 ◇


「むう、なんでダメなのだ!?」

「危なさそうな内容は控えるようにとお兄さんに釘を刺されたからです!」


 ここで研究する内容はいつもにーちゃんが指示してくれる。

 それはノラにとっても凄く面白いことで新鮮なのだ。

 だけど最近はにーちゃんも忙しくてあまり顔を出してくれない、今ここでの研究の判断は全部ルコ様がすることになっているのだ。

 にーちゃんに頼まれた内容はほとんどが終わったから自分で何か新しい魔法を研究したいのにルコ様はダメと言うのだ。

 でもノラだって師匠のような大賢者になるために修行しているのだ、にーちゃんの後ろをついて行くだけじゃ大成しないのだ。


「ルコ様はこの魔法の構築理論をちゃんと分かっていないのだ!」

「確かに詳しくは理解できていません。でもお兄さんが『危険な感じがするものはルコの判断で止めさせろ』と言われました。そして何となくですが嫌な予感がするのでダメです!」

「横暴なのだ!?」

「横暴で結構です! お兄さんがいない時は私がこの場を任されているのですから責任者としての権限を使います! どうしても研究したいならお兄さんが顔を出したときに相談してください!」

「にーちゃんが研究していいと言ってくれた時にある程度進んでいた方がいいのだ!」

「いいえ、ここは個人の判断で物事を進める場ではありません! 正しく判断できる人がいる時に初めて着手するべきです!」


 ルコ様は最初口を出してこなかったのににーちゃんが忙しくなってからノラのやることにいちいちうるさくなってきたのだ。

 にーちゃんのような発想もないし、エクドにーちゃんのようなセンスもないのに偉そうな顔をするだけなのだ。

 怒ると怖いだけでノラの修行になんの役にも立ってくれないのだ。


「むうう……!」

「もう! お兄さんは今ターイズにいらっしゃいます、顔を出してくれるように伝えておきますからそれまでは独自の研究はしないこと! 良いですか!?」

「……」

「返事は!?」

「……わかったのだ!」

「よろしい、では施錠しますから部屋を出ますよ」


 研究室を出てルコ様は部屋に鍵を掛けた。

 そしてそのままノラをミクス様の部屋に連れて行った。

 ノラがベッドに入るまでずっと見られているのだ。


「なるべく早くお兄さんに来てもらうようにマリト様にもお願いしてもらいますから我慢してくださいね?」

「……」


 話を聞いてくれないルコ様の顔なんて見たくないのだ、布団の中に包まって動かないのだ。


「……それじゃあノラちゃん、おやすみなさい」


 そういい残してルコ様は帰っていった。

 ……よし、頃合いなのだ。

 部屋を出て誰にも見つからないように研究室に向かうのだ。

 このお城は夜でも人がうろちょろしていて気を付けないとすぐに見つかるのだ。

 エクドにーちゃんから教わった不可視の魔法を使って音を立てないように、研究室に向かうのだ。


「ふぅ、ついたのだ」


 この部屋の鍵は特殊な鍵でルコ様の魔力を帯びた鍵でしか開けられないのだ。

 でもそれは扉に限った話なのだ、壁を通り抜ければ問題ないのだ。

 ノラの手に掛かれば壁を一度砂にして戻すことは造作ないのだ。

 本当はミクス様の部屋で色々できれば良いけどここにあるにーちゃんの書いた資料を参考にしないとまともに研究できないのだ。

 持ち出そうにも羊皮紙全部に魔法を掛けてあって外に持ち出すとルコ様に知られてしまうからこうやってこっそり研究を進めているのだ。

 研究室の中は暗いけど蝋燭の灯りで我慢して早速研究を再開するのだ。


「ええと確かこの棚に……あった、これなのだ!」


 にーちゃんの話からしてこれとあの理論を応用して……ううん、ちょっと違うのだ。

 余った羊皮紙に構築の下図を書いて……ここはこう、こっちは……。

 きっとこれが実現できれば凄いことになるのだ、にーちゃんやエクドにーちゃんもきっとノラのことをもっと認めてくれるのだ。

 ルコ様もきっと考え直してくれるのだ。

 よし、これなら……構築してみるのだ。


『警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。直ちに接続を終了し、該当する記憶を消去してください』


 ん? なんか妙な声が響いているのだ。

 外で誰か話しているのだ?

 探知魔法……誰もいないのだ。

 むう、せっかく構築していたのにまたやり直しなのだ。


『警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。直ちに接続を終了し、該当する記憶を消去してください』


 またなのだ!

 まるで頭の中に直接響くような声なのだ、でもこんな声聞いたことないのだ。

 この魔法の構築をしようとすると聞こえたのだ、何かの副次効果?

 まあいいのだ、今度は声を無視するのだ。


『警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。直ちに接続を終了し、該当する記憶を消去してください』


 無視なのだ、無視。


『警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。警告、この世界の者が知るべき情報量を超過しております。直ちに接続を終了し、該当する記憶を消去してください』


 うん、良い感じなのだ!

 後はここをこうして……。


『警告終了、この世界の者による禁忌の情報へのアクセスが確認されました。対象を世界に於ける危険因子と断定、抑止力の起動を要請します』


 何か言葉が変わったのだ、でももう少しで完成できそうなのだ!

 あともう少しで――


「よぉ、小さな賢者ちゃん。夜中に随分とイケナイことしてるじゃねーの?」

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