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とりあえず後はがんばって。

 ターイズの城門、その外側に集結しつつある騎士隊。

 中央に陣取るは赤を象徴するレアノー卿率いる騎士団だ。

 編制の様子を眺めながらレアノーは満足げに笑う。

 他の卿らが山賊討伐に苦戦していた話は既に耳にしていた。

 黄を象徴とするフォウル騎士団。会議の場では皮肉こそ言ったがその実力は認めている。

 そのフォウル卿が万策尽きたと言う厄介さを把握していたからこそ、名乗りを上げず様子を見ていたのだ。

 そこをラグドー卿が推薦と言う形でラッツェル卿に任を与えた。

 ラグドー卿はラッツェル卿に機会を与えようとしていたのだが、正直ラッツェル卿は武勇こそ優れど他は未熟だ。

 それ故にここまでの成果を出すとは思ってもいなかった。

 だがやはり詰めの甘い女だ。せっかくの功績を得る機会を失うことになったのだから。

 ラグドー卿からの言伝で協力要請が来たときは驚きもあったが、それ以上に好機だと思った。

 すぐさま他の隊の動員可能数にあたりを絞り、それを余裕をもって超えられる騎士を揃えさせた。

 そして目論見通り、今回の作戦の指揮権を奪うことに成功した。

 山賊から情報を得ることに成功したならば他への協力など要請せず、身内で討伐を行えば良かったのだ。

 無論少数精鋭が自慢のラグドー隊では、全ての山賊を一網打尽にすることは叶わない。

 だが一つの拠点を落すくらいならば造作も無いことだったろう。

 そして新たな捕虜を得て、さらに情報を得る。

 時間こそ掛かれど最終的には手柄を独占できるのだ。


「やはり女よな。手に負えぬと判断するや他者に助けを求めるとは。手前だけで何とかしようと言う気概が足りんな」


 そこに伝令がやってくる。


「どうした、他の隊の編制が終わったか?」

「いえ、それは間もなくとの事。ラッツェル隊の者よりこちらの書類をレアノー卿へと」


 そう言って渡された書類を流し読みする。

 そこには各拠点の詳細な地図や情報が先ほど渡された物より詳細に記載されていた。


「ふむ、良いできではないか」

「各拠点に攻め入る隊への情報共有をよろしく頼みたいとの事です」

「少数では他の隊への連絡もおぼつかぬか。老兵を言伝に使うことに気が引けただけかもしれんがな」


 レアノーは少し考える。


「よし、各拠点へ回す我が隊の責任者にこれらの資料を渡しておけ。そしてこれらを活用し場の先導を行うよう命じよ」


 何も直接共有しておく必要は無い。

 こちらの隊がその情報を把握し、誘導する立場にもなればより隊の活躍が明確になるだろう。


「この資料を他の隊に見せぬよう気を払えとも言っておけ」

「はっ!」


 しかし悪くない出来だ。

 それなりに細かい性格の者が用意したのだろう。

 ラッツェル卿やラグドー隊の老兵達にそのような器用さはあるまい。

 レアノーの頭の中に浮かぶのは黒髪の青年だ。

 ラッツェル卿の協力者、恐らくはあの青年が用意させたのであろう。

 会議での青年の振る舞いを思い出す。

 ラグドー隊の騎士がこちらへの不満を示す中、飄々とこちらを持ち上げ円滑に事が運ぶように立ち回っていた。

 恐らくあの青年も女であるラッツェル卿が活躍することを快く思っていないのだろう。

 奴らを後方支援に回しやすいよう、他の隊に組みたい者がいるかと挙手の上がらぬ提案をついでのようにやってのけた。

 強かな奴だ。

 使い勝手は良さそうだし、少しばかり目を掛けてやっても良いかもしれない。


「先ずはこれらの資料がどれ程役に立つか確かめるとしようか」


 こうしてレアノー卿率いる山賊討伐隊は夜の中進軍を開始するのであった。


◇ 


 山賊同盟の首魁、ドコラは騎士達が拠点を襲撃しにやってきた報せを聞き舌打ちする。

 森や山に隠れている拠点が見つかる可能性は低いが無いわけではない。

 その為に夜間でも最低限の哨戒は出していた。

 それが引っかからず既に拠点周囲が騎士達に囲まれている。

 明らかにこちらが通るルートまで完全に把握されている。

 即ち情報が漏れている。

 捕らえられたギドウの一味の言伝役が情報を喋ったと言うのだろうか。

 残された片腕で頭を掻く。


「脅しも理解できねぇ馬鹿だったとは思えねぇがな」


 死霊術の恐ろしさを一番理解しているのは使い手であるドコラ本人だ。

 それを最大限に伝える為、御し難いと判断した一味を利用した。

 わざと行動しにくいテリトリーを与え、他の一味より旨味を減らす。

 格差を与え、反逆心を煽った。

 間もないうちに奴らはルールを破り、好き勝手にやり始めた。

 元々無法者、不満を与えればすぐに爆発する。

 そうして粛清と言う名目で始末し、見せしめとして死霊術の犠牲になってもらった。

 効果は抜群であり、各一味の首領でさえドコラを恐れるようになった。

 だと言うのに、一介の伝令風情が情報を漏らすだろうか。

 死してなおその魂を永劫辱められる恐怖を乗り越えたとは考えられない。

 綺麗好きな騎士達の拷問程度で吐くとも思えないが、現状を鑑みるに吐いてしまったのだろう。

 脅しは十分と判断し、より効果的に動かす為に情報共有をしすぎたのは自身の落ち度と割り切ろう。

 情報が漏れた上でこの拠点を包囲する襲撃ともなれば、相当数の数を用意してきたのだろう。

 つまりは他の拠点も同様に攻略中とみて良い。奴らは普通に終わりだ。


「まぁ過ぎたことは仕方ねぇよな。逃げるぞ、準備しな」

「で、ですが周囲を騎士共に囲まれてますぜ! 突っ切るんですかい!?」

「馬鹿か、お前らの実力で突っ込んだら半壊も良いとこだ」


 山賊とて過酷な日常を生きている。

 一般人の強さを一とするならば十もあるだろう。

 だが騎士達は日々鍛錬を積み重ね、武勇を磨き上げている。

 恐らく弱い騎士でも二十と見ていいだろう。

 腕の良い騎士なら五十、ドコラ自身も謙虚に見ればおよそこの辺だ。

 騎士隊長レベルになれば、考えるのも億劫だ。

 だがそれは正面きって戦えばの話だ。

 今相手をしているのは外側のテント。まあさほど失っても問題の無い雑魚だ。

 だが雑魚じゃそう長くは持たない。早いところ行動せねばなるまい。


「各自宝を分散して持て。袋に穴空けて溢したら殺すぞ。用意する間に俺が騎士様達の包囲を崩してやる」

「へいっ!」


◇ 


 戦いにおいて、高い勝率を出す手段で最も効果的なことは相手より強いことである。

 個で勝っていようと数で攻めれば覆されることもある。

 だが両方で勝っている場合、その戦局を覆すのは難しいだろう。

 それが現状である。

 練磨された騎士達と山賊の力量差は明確であり、数でも騎士達が圧倒している。

 倒れる騎士の姿は見られない。

 それに対し、地に転がる山賊の骸は次々と増えていく。

 その光景をレアノーは満足げに眺め、指揮を続ける。


「さあ、我らを侮った愚か極まりない蛮族どもを根絶やしにしろ! 力も数も勝っている。首を取れぬ者は恥としれ! 功を競え!」

『おおっ!』


 資料は非常に役立った。

 事前に軽装の斥候を向かわせたところ哨戒の山賊を発見、それを速やかに排除。

 闇夜に紛れ拠点集落の包囲に成功した。

 包囲途中に気取られ、探知魔法を使われたことによって完全なる奇襲こそ失敗したが現在までの攻防で包囲は完成した。

 最も規模の大きいとされる集落でこの状態だ。他の拠点攻略も好調と見てよいだろう。

 被害もこのままなら微々たるもの、ひょっとすれば軽傷者程度で済むやもしれない。

 そうなれば総指揮の評価はより高まるだろう。


「しかし数が少ないな」


 資料によればおよその人数は五十、哨戒は数名仕留めた程度である。

 夜ともなれば商人達は動かない為仕事で出ているとも考えにくい。

 山賊達の反応を見ても、この襲撃を予期して逃げていたとも考えられない。

 だが交戦の様子を見ても三十名いるかどうかである。

 その三十名も間もなく騎士達によって処断されるであろう。


「いずれかのテントにでも潜んでいるのか? ふむ、さすればあの中央が怪しいが」 


 程なくして応戦していた山賊達の掃除が終了した。

 レアノーは新たに指示を出す。


「報告では敵の数は五十、恐らくまだ二十近く潜んでいるはずだ! テントの中を調べよ。徐々に中央に前進!」


 騎士達に続いてレアノーも周囲のテントの内部を調べる。

 そして顔をしかめた。

 大半のテントには先ほどまで山賊達が就寝していたであろう痕跡が見られる。

 食い散らかされた食べ物、小汚い毛布などなど。

 だが時折異様な光景を目にしたのだ。


「これは……死体か?」


 腐臭漂う死体が山積みとなり、放置されていた。

 服の様子から山賊の死体のようだ。

 外に臭いが漏れ出さないよう、香草のようなものが死体の上に撒かれてあったがその死体には多くの蛆や蝿がたかっている。

 周囲の騎士達の様子を見るに、同じようなテントがいくつも存在しているようだ。


「(何故仲間の死体をわざわざ……確か山賊の首魁は死霊術士と言っていたな……まさか!)」

 悪寒が奔る、レアノーとて騎士団長の一人。

 死線を潜った事も無いわけではない。

 そしてその経験がこれから起こる惨事を事前に警告し、一つの仮定が頭に過ぎったのだ。 


「全員死体に気をつけろ! 何かあるぞ!」


 そう注意を促した瞬間、死体が跳ねた。

 視線を死体に向けていたレアノーは辛うじて回避し、追撃の剣で死体を吹き飛ばす。

 その一撃で胴体が上と下に分かれたが、互いに蠢き合い、這いずるかのように組み合わさり元の死体へと戻っていく。

 残った死体も動き出し、人間らしからぬ挙動で近くにいる騎士達へ攻撃を始めていた。

 周囲のテントでも同様のでき事が起こったようで騎士達と死体の戦闘が開始されていた。


「これが死霊術か、汚らわしい!」


 罵りながら襲い掛かる死体を寸断するが、放置した矢先から修復し攻撃を再開してくる。

 もはやこれは人間の死体などではない、アンデッドの化物だ。 


「各員連携を取れ! 動きだけならば恐れることは無い!」


 周囲に再び視線を向けたレアノーの表情が凍りつく。

 今先程倒した山賊達もが起き上がり始めている。

 用意されていた死体はおよそ、百。

 今新たに山賊の死体が三十追加されている。


「(馬鹿な!? 騎士達には魔封石を装備させている者もいたはずだ。このタイミングでこの死体を魔法で起動することも、今死んだ山賊に死霊術をかけることすら不可能なはずだ!)」


 場は混戦となり始める。

 アンデッドと化した死体の動きは速度と力こそ増したようだが技術といったものが何も感じられない。

 ただ本能の赴くままに襲い掛かるだけだ。

 故に練磨された騎士達が後れを取ることはない。

 だが死なない。

 斬り殺しても、刺し殺しても、叩き殺しても、すぐさま治癒し起き上がる。


「各員死ぬな! アンデッドの仲間入りになるぞ! 浄化魔法を取得している者は色々試せ! ない者も動きを封じる術を見つけよ!」


 レアノーが指揮を飛ばす中視線に生きている山賊達が飛び込む。

 混乱に乗じて逃走を開始しているようだ。


「誰か――ッ!」 


 追え、と言いたいが既に総出で対処をしている。

 このタイミングで半端な指示を出せば、アンデッドに不意を突かれる者が出ないとも限らない。

 山賊程度のアンデッドだからこそ対処は可能だが、騎士がアンデッドになってしまえばその脅威は計りしれない。

 歯軋りの音が響く、完璧だと思われた包囲網はいとも容易く突破されてしまったのだ。



「かっははははっ! あいつら死んでた方が役立つじゃねぇか!」


 仕込んでいた策が完璧に決まった嬉しさで笑い声をあげながら、俺は森の中を逃走していた。


「流石です頭! ですがいったいどういう仕組みなんですかい? あいつら魔封石を仕込んだ武器とか持ってましたぜ?」

「魔封石は便利だよなぁ、領域内に入った魔法を分解するんだからよ? だが勘違いしちゃいけねぇのさ。分解するのは構築だけなんだよ」

「?」


 俺が使用した死霊術はシンプル。死者の魂を元の体に取り込ませ、アンデッドとして暴走させる物だ。こいつの厄介な所は周囲の死体に同等の影響を及ぼす魔力を放つことだ。だからアンデッドに襲われて死にゃあそいつもアンデッドになるし、死体を置くだけでもアンデッド化できる。

 一度使用すれば周囲の死体を次々とアンデッドとして蘇らせる禁術、これ一つで滅んだ国もあるほどだ。


 そして寝かせておいた方法は簡単だ。中央のテントにアンデッドを大人しくさせる魔力を放つ結界を展開していた。俺はそれをタイミングを見計らい、解除しただけだ。

 手の平で魔封石を複数転がしながら余韻に浸る。結界自体は魔封石を近づけりゃ解除される。だが結界が生み出す魔力、死霊術が生み出す魔力に限ってはそういう質の魔力であって構築じゃあねぇ。

 魔封石は魔法を封じるもの、その意味は間違えていないが原理としては違う。魔法の構築を分解し魔力へと戻すだけなのだ。故に性質を持った魔力は魔封石の影響を受けない。

 死霊術の最大のメリットは、生み出したアンデッドそのものが特異な性質の魔力を帯びると言う点だ。

 それ故に魔封石を多用しても、その効果が弱まることはない。使用する際に妨害さえされなければ後はやりたい放題。


「なぁに、こまけーことは言ってもわかんねーだろうからな。ただあれの近くで死んだ日にゃ、俺がやらなくてもああなるから精々死なないよう注意するんだな」

「へ、へいいい!」


 一定の距離を進むたびに魔封石を一つ落す。これで現地点までを探知魔法で追跡することはできない。

 移動した痕跡を探しながら追いかけられることは不可能ではないが、そんな悠長に追うくらいなら普通に進むだけで振り切ることができる。

 さらにこの先には魔封石を事前にばら撒いてあるエリアだ。万が一のために逃走経路、および逃げ込みやすい地形を用意してあった。

 最初の目標ポイントである開けた場所に到着する。ここを知っているのは今ここにいる付き合いの長い部下だけ。彼らに秘密裏に開拓させた場所である。


「さて、少し休憩だ。逃げ出せた奴らは全員いるな? 各自持ち逃げした分の荷物も確認するぞ」


 この先はこの仲間でしか知らない隠れ家や、俺しか知らない拠点も存在している。こいつらを従えているうちは前者に避難しておけばいい。


「こりゃ他の場所もやられたよなぁ。いやあ騎士様に感謝しねぇとな。儲けが増えるぜ」


 新王を迎えたガーネから逃げ込んだ山賊達の数は膨大だった。そこで自分達が安全に略奪し、仮に騎士達が動いてもリスクが分散するように俺は山賊同盟を立ち上げた。

 その結果は好調、気に入らない奴はわざと反逆させ見せしめに使い、他の奴らには恩を売り騎士達に見つかりやすい位置を陣取らせた。

 こちらの拠点も同時にばれる可能性は低いとは思っていたが、念のためのプランはこうして用意してあった。だがこれで山賊の数は激減。これからは少数精鋭で気軽に狩場を荒らせる。何も悪いことばかりではないのだ。


「そうか、だが悪人に感謝されても微塵も嬉しくは無いな」


 声が響く、草陰から一人の騎士が現れた。そしてその騎士の登場にあわせ、周囲から同様に騎士達が姿を見せた。


「おおう、マジかよ」

「我が名はイリアス=ラッツェル。山賊ドコラよ、悪しき道はここで行き止まりだ」 


 現れた女の騎士は名乗り剣を抜いた。



 イリアスさんが格好良く名乗っている遥か後ろにカラ爺さんがいて、その背中にへばりながら隠れているのが異世界トラベラー。

 正直疲れました。今回誰も担いでくれないんだもん。


「隻腕の男、間違いなさそうじゃの。坊主の読み通りじゃ」


 さて、何故今こうなっているのか説明しよう。

 隻腕の男、ドコラが逃げることは最初から想定内だった

 今まで騎士達を欺いて来た徹底した情報統制、逃走術を持った男が拠点を囲まれたからと言ってそう易々と捕まるだろうか。

 逃走手段や経路の一つや二つ用意しているのが当然だろう。

 死霊術による恐怖支配に自信があることからも、死霊術を頼りにしているのは理解できた。

 一応気になったのでラグドー隊の一人に、先日襲撃した洞窟を再度調査してもらったところ、死体がごっそり消えてなくなっていたそうだ。

 悲しみながら埋葬した、そんなことはあるまい。

 では何かに使うのだろう、当然こういう時にだ。

 ドコラという名前もマーヤさんが情報を見つけ出してくれたおかげで判明した。

 かつてとある王国の暗部の一人で、ある日禁忌を犯したとされ指名手配。

 その後はガーネで盗賊まがいの悪党となっていたようだが、新王を迎えたガーネの脅威からターイズに逃走、今に至るわけだ。

 暗部時代に培ったノウハウを、山賊業として役立てていると分かったのは非常に大きい。

 つまりドコラは知恵が働くというより、過去の経験を活かすタイプなのだ。

 そういう手合いの行動は本人の経験を信用してのものに片寄るため、パターンさえ分かれば読みやすい。

 逃走にはほぼ確実に魔封石を使用すると踏んだ。湯水のように使っていることから事前に逃走経路に撒いておく可能性も同様だ。

 イリアスさん達ラグドー隊を後方支援と言う名の完全フリー状態にしたのは、襲撃の前段階から逃走経路周辺の先回りを行う為だ。

 進路も会議の場で事前に決めておき、逃げ出すであろう方向を絞る。

 そして襲撃の少し前から探知魔法を使用しながら探索した。

 それにしてもレアノー卿、ラグドー隊に自分の隊員一人もつけないでやんの。

 恐らくは連携させる気すらなかったのだろう。いたらいたらでちょっとどうにかさせてもらったわけだが。

 探せば見つかるわ見つかるわで探知魔法が打ち消された場所、すなわち魔封石が置かれていた範囲の外側を回りながら逃走経路の割り出しを行ったのだ。

 その中に見つけた不自然に開拓された開けた場所、複数に分かれた後合流するポイントとして使うつもりだったのだろう。

 どうもあっさり包囲網を突破されたようで全員で来たようだけどもね、レアノー卿はある意味ファインプレー。

 なまじ経験が無くても、頭が冴えて回転の速い天才タイプが相手ではどうしたものかと思ったものだ。

 恐らく今レアノー卿はアンデッド集団でもけしかけられている頃だろう。

 こっそり熟練聖職者のマーヤさんにお願いして援護に向かわせているから、今頃鎮圧が進んでいるはずだ。

 これで後から文句を言われる筋合いも無いだろう。先陣も切らせたんだしね?

 さあ、ここから先はイリアスさんの取り分だ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 見事! まぁ、相手のタイプが読めていて 成功体験に頼るとこまで読めていれば 逆にハメることは可能ですが 実際にハメるのはなかなか難しいですからね 言うは易く行うは難しですからね
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