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94話 第五章 第四節 控え室

「何なのよっ! あの子っ!」


 廊下で地団駄を踏むのはトウカだ。お嬢様の事がたいそうお気にさないようだ。


えらそうにしちゃってっ!」


 偉くて当然だろう。相手はただの女の子と言うわけではない。一国のお姫様だ。しかし、トウカには同じ年頃の少女が偉そうにしているのが気に入らなかったようだ。

 トウカが廊下をガシガシと歩き、炊事室に戻った。炊事室に戻ると、トウカはメイド仲間に囲まれた。


「今日のお嬢様の機嫌はどうでしたの?」


 会話からさっするにメイドの中でも、お嬢様はれ物扱いを受けているようだ。そんな質問にトウカが簡潔かんけつに答える。


「分からないわ。いつもの機嫌知らないんだもん」


 もうすでに、トウカのしゃべり方は元に戻っていた。お嬢様の前で丁寧な言葉が使えたのが奇跡に近い。


「そうそう。そういえば、新しい執事さんが入られたそうよ」


 メイドの一人が口にした。トウカは、ふむふむと聞き入る。


「それなら、今日はお嬢様の機嫌は良さそうね。おもちゃが手に入ったんだから」


 メイドの一人がおもちゃと言った。おもちゃ発言にトウカが分からず質問をする。


「おもちゃって何?」

「トウカさんは知らないですよね。お嬢様のお遊びのことですよ。新人執事をいじめるのがお好きみたいです」


 トウカは、何故ツバサがお嬢様の部屋にいたのかを理解したようだ。普通なら訓練を受けてから表舞台に出るはず。しかし、執事のイロハも知らないツバサがお嬢様の部屋にいた理由。それは、新人執事で遊ぶのを目的としていた。


「何を話してるのですか?」


 別のメイドが話しに割り込んできた。


「はい、今日のお嬢様の機嫌が良さそうって話しですよ。今日は新人執事で遊んでるみたいですので」

「そうそう、みんな知ってる? 今日の新人執事さん、なかなかのイケメンみたいよ」


 ツバサ自身、こんなところで噂さをされているとは思っていないだろう。しかし、メイドの話題の中心が新人執事、男装したツバサの話題で持ちきりになっていた。

 トウカもツバサの性別が女性であることをメイド仲間には伝えなかった。一応任務に忠実なのであろう。城に侵入した理由を悟られる訳にはいかない。そんな訳で、ツバサの性別がバレることなく話が続く。

そして、トウカはメイド達とのおしゃべりに大半を使うことになる。当然のように話の内容のほとんどがツバサについて。「声を掛けられたらどうしましょう」と、頬に両手を当てるメイド。「私が、新人の執事さんのサポートをしますわ」と、ツバサのそばに近づく口述を作ろうとするもの。それほどまで男装したツバサは魅力的のようだ。

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