表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/257

91話 第五章 第一節 潜入

 メイド姿のトウカと執事姿のツバサは無事に内門を潜り、城へと潜入した。神、ミサキの力により作られた偽造名簿。立派な書体で書かれたサインは見る人すべてを驚かせた。


「案外、簡単に入れたわね」

「そうですね」


 いとも簡単に城に潜入したトウカとツバサ。偽造書類を見せるだけの簡単なお仕事だった。偽造された書類がまるで、印籠いんろうのように効果を発揮したからだ。

 

「それにしても、どこへ行けばいいの?」

「どこでしょう? よく分からないです」


 城の入り口で右往左往する、トウカとツバサ。そんな様子を見た、歳増しのメイド服の女性がトウカとツバサに近づいていく。


「あなた達が、新人ですね。こちらへどうぞ」

「あっ、はい」


 二人が返事をする。どうやら、この歳増しメイドが案内してくれるようだ。渡りに船とはこの事だ。


「こちらへ、どうぞ」


 そして、二人が案内されたのはロッカールーム。更衣室とは別のようで、男女共用のスペースのようだ。


「あのー、ここは……」


 ツバサが歳増メイドに質問した。ただの下駄箱とは違うようだ。そもそも城の中は土足禁止ではない。


「荷物をここで預けてください。防犯上、私物の持ち込みはできません。アイテムボックスごとお願いします」


 トウカとツバサは指示された通りにロッカーに荷物を預ける。アイテムボックスごとだ。武器のたぐいも含めてだ。

 そして、ツバサがアイテムボックスを置くと心配そうな表情を浮かべた。


「武器の携帯もダメなんですか?」

「もちろん、ダメです。ここは王のいる城。武器の持ち込みなど許可されていません」

「そうなんですね……」


 歳増メイドの説明の通りだ。王の暗殺など企てられないよう、武器の持ち込みは厳しく制限がされている。ここに限ったことではないだろう。

 そんな話を聞いたツバサがトウカに耳打ちした。


「私達、城の警護に来たのに、武器がないと不味いですね」


 トウカがうなずく。そして、トウカが口を開き、歳増メイドに質問する。


「みんな武器が無いのに、敵が攻めて来たら、どうするの?」

「はい、その際はあちらの武器を使用致します」


 歳増メイドが指差す先には部屋の装飾そうしょく使われている、いくつもの武器。壁に掛けられているのは、剣に斧。部屋の角にえられているのは甲冑に槍。武器にしようと思えばいくらでも手に取れるように飾られていた。


「あちらの武器は部屋の飾りとしてだけではなく、いざという時の武器に使用します」

「でも、敵に取られたら大変ね」


 トウカが指摘した。正にその通りだ。


「あちらの武器は適正レベルが40となってます。そんじょそこらのぞくには持つことすらできません」

「へぇー、そうなの?」

「はい」


 歳増メイドが返事をし、そのまま喋り始めた。


「それと、フレンドリーコールも圏外となります。これも防犯のためですので、ご了承ください」


 トウカとツバサはロッカーのカギを抜く。カギと言えるほどの立派なものではない。木片を抜くだけの粗末な物だ。


「そちらは魔法のカギですので、無くさないようご注意ください」


 トウカとツバサが木片を不思議そうに眺める。表も裏もただの木片。疑いたくなるのも無理はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ