82話 第四章 第十一節 街の視線
ショウとトウカ、ツバサの三人が町に繰り出した。町に出ると、ショウはいつもと受ける視線が違っているように感じた。むしろ、見られていると言ってもいい。今まではこれほどまで注目を受けることなど無かった。
「なぁ、トウカ? お前何かやらかしたか?」
「何で、あたしなのよ。あたしは何もしてないわっ!」
悪者扱いを受けるトウカが怒り出した。
「トウカさんをみんな見てるみたいですよね?」
ツバサも賛同した。
「おい、トウカ。ちょっと向こうに一人で行ってくれないか?」
ショウがトウカに提案した。
「何であたしなのよ」
「いいから」
トウカは渋々であるがショウの元を離れた。すると町の人に視線が前方を歩くトウカの方に流れて行ったのだ。
「ツバサ? やっぱりあの視線はトウカに向けられているみたいだぞ」
「そうですね。何かあったんですか?」
「いや、分からん。何だろうな?」
そう、ショウとツバサが話しをしていると、トウカが戻ってきた。町の視線をも一緒に連れてくる。
「あんた、向こうまで歩いてきたわ。何だっていうの?」
「あぁ、町の視線がトウカに集まってるんじゃないかと思ってな」
「で、どうだったのよ?」
「間違いなく、トウカをみんな見てたな」
「どういうことなの?」
「そんなこと聞かれても、分からんが」
「もう、いいわ。行きましょ」
トウカは町の視線を集めながら、先行して道具屋に向かった。