表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/257

72話 第四章 第一節 レベル差

「ということがあったんです」


 ツバサがトウカに説明を終えた。


「へー。あいつもなかなかいいところがあるのね」

「そういうトウカさんはどうなんですか?」

「あたし? あたしは、何も無いわ」


 盗賊から助けられたことを含めていろいろあったはずだが、トウカは誤魔化した。


「でも、なんであいつは雷の技使わないんだろう?」

「私も知りませんよ。ユウさんだったら知ってるかもしれませんね」

「ふーん」

「じゃあ、剣技の続きをしましょ」


 ツバサが剣技の特訓の再開を合図した。


「うん、分かったわ」


 トウカは剣を振り続けた。


「トウカさん? なかなか上手く行きませんね」

「そうね。これからよ」


 一度でも剣技が発動すれば、師匠に皆伝書が渡る。それを使うことで正式にスキルとして覚えることができるのだ。しばしば、心無い師匠は、そのまま皆伝書を売りに出してしまうこともあるようだが、ツバサに関しては心配は要らないだろう。


「トウカさんが剣技発動できないのは、たぶん……」

「何かコツがあるの?」

「たぶんですよ。ショウ先輩を守りたいという思いが足りないのだと思います」


 ツバサは意地悪っぽくトウカに言った。それを聞いたトウカは、目が鋭くなった。


「あんなヤツ、別に守りたいとは思わないわ!」


 トウカは力強く剣を握り、怒りに任せて剣を振った。すると剣が不思議なことに雷を帯びた。


「ツバサさん、出来たよっ!」


 トウカが剣技雷切(・・)を使うとツバサの元に皆伝書現れた。


「えっ! 冗談で言ったのに……はぅ……」


 ツバサは予期せぬことが起こったことで戸惑っているようだ。


「どうしたの? ツバサさん?」

「いえ、何でもありません……。あっ、これ皆伝書です」


 ツバサから皆伝書がトウカに渡された。


「使ってみてください」


 ツバサに使うよう言われ、トウカは皆伝書を読み始めた。するとトウカは光に包まれ、スキルの習得が終った。


「やったわ。ツバサさん。ありがとう」


 ニコニコするトウカはツバサにお礼を言った。


「よかったですね。じゃあ、もっとレベルをあげましょうね」

「そうね。ねぇ、一戦お願いできない?」


 トウカが突然ツバサに決闘を申し出た。


「私とですか? でも、もし倒しちゃったら、経験値減っちゃいますよ。デスペナルティは以前と同じだってミサキさんが言ってたので」

「構わないわ。あたし、昨日レベルが上がったばかりだから、1パーセントも溜まってないもん」


 このゲームでは死亡すると次のレベルまでの経験値がなくなってしまうデスペナルティーが存在する。装備を落とすことに関してはツバサが拾ってくれるので問題ない。しかし無くした経験値は戻らない。


「じゃあ、行きますよ」


 ツバサが剣を構えた。


「望むところよ」


 トウカも剣を構えた。


 そして、トウカがツバサへと剣を振り上げて駆け出した。


「とりゃー」


 トウカの振り下ろした剣はツバサにあっさりと切り払われた。そして、ツバサの剣がバランスを崩しているトウカへと向かっている。


「きゃっはっ」


 トウカはツバサに切りつけられた。トウカとツバサのレベルは歴然だ。当然、ツバサも手加減をしたはずだが、それでもトウカは光となって消えてしまった。装備だけを残して……。


「やりすぎちゃいました……」


 反省するツバサが一人佇む。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ