表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/257

71話 第三章 第十三節 回想の終わり

「あのー、ありがとうございました」


 ツバサがトレードマークのポニーテールをフワフワさせながらお辞儀をした。


「あぁ、別にいいけど、それより杖を返さないとな。助かった」


 ショウが手にする炎の杖をツバサに差し出した。すると、ツバサは後ろで手を組み首を振る。


「その杖、使ってください」


 ツバサがにこやかに告げた。


「でもな、貰っちゃうのも悪いしな」

「いえ、私も斧を貰いました。お相子あいこです」

「そういうことなら、ありがたく貰っておくよ」

「大切にしてくださいね」


 ツバサも納得したようだ。


「で、ギルドはどうするんだ? このままいても居づらいだろ?」

「そうですね……」


 ツバサがそう告げると、フレンドリストを開き始めた。そして、フレンドリストからローラを始めとしたギルドメンバーの名前の消去を始めた。


「もう、吹っ切れたのか?」


 ショウは心配そうにツバサに声を掛けた。


「はい、代わりに……」


 ツバサは恥ずかしそうに話しを切り出した。


「私を、ギルドに入れてくれませんか?」

「そいつは、無理な話だ」

「ダメなんですか? 私、頑張りますっ!」

「そういうことじゃないんだ。オレ、ギルド入ってないし」

「そうなんですか……」


 ツバサは元気無さそうに告げた。


「じゃあ、フレンド登録だけでもお願いします」 

「あぁ、分かった」


 ショウはフレンドリストを開き、ツバサにフレンド申請をおこなった。


「これで、いいだろう? フレンド登録上手くいってるか?」


 ツバサは自分のフレンドリストをまじまじと見ながらうなずいた。


「私のことツバサって呼んでくださいね」

「あぁ、分かった」

「私は、なんて呼んだらいいですか?」

「ん? 好きに呼んでくれ」


 ツバサは首を傾げ考え始めた。ショウの呼び方を考えているのだろう。


「ショウ師匠ってどうですか?」


 いきなり師匠と呼ばれるのもいかがなものか、ショウ少し恥ずかしく思った。


「オレは、魔道士だ。騎士職に師匠と呼ばれるのもおかしいだろう?」


 このゲームの中には師弟関係を結ぶイベントがある、それは同じ職業、または類似する職業での登録だ。


「じゃあ、ショウ先生ってのは、どうですか?」


 ショウは先生をイメージした。ショウのイメージした先生は学校の先生でしかなかった。世の中にはいろいろな先生が存在する。政治家、医者、弁護士、作家などなど。その辺りはショウの人生経験の無さを物語っていた。


「先生もおかしいだろう? 教卓なんかに立たないぞ」

「そうですか? じゃあ、ショウ閣下かっかとかですか?」


 ますますショウの敬称がおかしくなっていく。もっと身近な敬称けいしょうをショウは求めていた。


「それもおかしいだろう? もう少しまともなのはないのか?」

「じゃあ、ショウ様?」


 日頃ユウにそう呼ばれているのは、別として。それでも敬称は恥ずかしい。ユウには何度言っても変えようとしない。


「様もおかしいぞ」

「じゃあ、先輩にします。ねっ、ショウ先輩っ!」


 ツバサの顔がほころんだ。


 これ以上、敬称の話しをしたところで、ますます敬称がおかしくなる一方だろう。ショウが妥協だきょうをする。


「まぁ、それくらいならいいか」


 ショウ自身、学校でそう呼ばれた経験がある。まだ馴染みがある敬称だったので了承した。


「はい。分かりました。ショウ先輩っ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ