64話 第三章 第六節 デスペナルティ
「何なの? あの女?」
ローラは死亡によるペナルティーのログアウト状態から、再度ログインをした。ここはローラのギルドのアジトである、東の宿屋の一室。当然のように装備は外れ、ローラは下着姿だ。
「マスター、装備を持ってきました」
部屋には、既にジェイニーとツバサが待機しておりローラ待ちであった。装備品を抱えているのはツバサだ。
ローラは鋭い目つきをして、ツバサから装備品を奪い取った。相当、機嫌が悪そうだ。
「ツバサ? 何故援護しなかったのよ。援護すれば負けなかったのよ!」
怒りを露にするローラは、ツバサに八つ当たりを始めた。
「でも、あの子。可哀想でしたし……」
「じゃあ、私はどうなってもよかったってこと!」
声を荒げるローラはもはや収集のつかない状態だ。
「でも……」
ツバサは発言に困っていた。
「もういいわ! ちょっと席を外してもらえるかしら」
「はい……」
ツバサは部屋を後にした。
「ジェイニー? 私のイライラが納まらないんだけど、どうしようね!」
「すべては、ツバサが悪いんですよね」
ジェイニーもツバサに責任転嫁を始めた。
「そうよね。そういえば、酒場でも相手も話し聞いた?」
「いえ、何も」
「私ね。透明になって相手のこと探ったのよ。そしたら、相手の人たち、みんなツバサ、ツバサ言ってるのよ。おかしいでしょ」
「そうですよね」
「じゃあ、ツバサにおしおきしないとね」
「何します?」
「じゃあ、私と同じ目に合ってもらおうかしら? 死んでもらいましょう」
「それは、いいですね。援護がないことがどういうことか身に染みて分かりますよ」
「じゃあ、ギルド員を集めて狩りに行きましょう、当然、ツバサの狩りにね……」
ローラは不気味に微笑んだ。