60話 第三章 第二節 合コン
日も暮れ満点の星空が浮かぶ。寒空の星は澄んで見えた。そんな中、ローラ、ジェイニー、ツバサの三人は、合コン会場である酒場に到着した。すでにギルドもりぞーのメンバの三人は席についている。
「始めまして、ギルドマスターのローラと申します」
ローラがよそよそしく挨拶をする。外面は完璧だ。
「こちらこそ、もりぞーリーダーのブラスト炎陣です。ささ、席へどうぞ」
赤髪のトキントキン頭がブラスト炎陣。侍姿のブラスト炎陣の声でローラ、ジェイニー、ツバサが席へと着いた。
まずは男性陣からの挨拶が始まる。
「ブラスト炎陣、レベル99の侍です。炎陣の発音は猿の猿人ではなくて、クルマのエンジンですからね。よろしく」
「マスター、猿人の方がそれらしいよ」
口を開いたのは青髪の男だ。
「マカさん、そんなこと言う?」
ブラスト炎陣はマカと呼んだ甲冑を纏う騎士に向かって言った。
「マスターとりあえず挨拶をしなきゃ。マカラズヤ、レベル99槍騎士です」
マカラズヤはブラスト炎陣の言葉を遮り自己紹介を始めた。次は隣の黒髪の聖職者姿の男が口を開いた。
「癒して下さい、レベル99聖職者です」
この世界での挨拶はレベルを伝えることにある。リアルの世界での年齢を伝えるのに似ている。相手の強さを把握する意味でもすごく自然なことになっていた。
「癒して下さいってのが名前ですか?」
ローラが質問する。名前にしては不自然過ぎる。誰もが思うに違いない。
「そうだよ」
何故か、マカラズヤが答えた。
「僕が答えるところじゃない?」
「癒しは、いつも自己紹介でつかみを取るからな」
マカラズヤが癒して下さいに言う。これだけ珍しい名前なら印象に残らないはずがない。それを卑怯とばかりにマカラズヤが言うのだった。
「ては、次は私から」
そう切り出したのはローラだ。女性陣も順番に挨拶を行い、合コンがスタート。
挨拶が終わると、ローラが今後のギルドの同盟の話に入る。そんな中、ツバサが忙しなく働いていた。料理のとりわけ、追加の注文。気を利かせている。ジェイニーにしてみればこのためにツバサを連れてきたようなもの。働いて貰わなきゃ意味がないと言わんばかり。
男性陣がほろ酔いになったときにローラが動き始めた。
「少し、席を外しますね。ちょっとみんないいかしら?」
ローラがジェイニーとツバサを見て言う。そして、女性陣、三人は席を外した。