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42話 第六章 第四節 指令室

 ショウ達5人は次の目的地、指令所に向かっていた。戦闘から開放されたショウ達は空一面に広がる星空を見ながら進む。戦闘がなければ、もっと星空を楽しめたのにとショウが思う。

「なぁ、ミサキ? 運営もなかなか良い所を作るじゃないか」

「あら、ショウ君? 意外とロマンチストなのね」

「普通に思った感想なんだが?」

「空に星を作ることなんて、簡単よ。曇天にしたり、雨天にしたり、稲光を作るほうが運営としては手間が掛かるのよ」

 ショウが稲光と聞いた途端に表情を歪めるのをミサキは見逃さなかった。

「ショウ君? どうしたの?」

「あっ、いや、なんでもない」

「そう? なら良いけど。で、運営としては作りやすい空ってことよ」

 運営にしてみれば星空を作ることは簡単のようだ。むしろ雲を作ったりするほうが面倒な作業らしい。

「やっぱり、お前は捻くれてるな」

「開発者側からの意見を率直に答えただけだよ」

 ショウは、子供の心を無くしたミサキとの話しは諦めて、トウカとツバサを見た。二人とも目を輝かして、星空に見入っていた。

「それよりミサキ? やっぱり防衛のNPCがかなり疲弊してるみたいだな」

「早く来て、正解だったみたいだね。私達が、準備している間に村が無くなってたら、それこそ悲惨だから」

「そうだな。ところであれが指令所か?」

 一行には指令所だと思われる建物が見えてきた。これまた三角錐のテントのようだ。光を遮断する暗幕の隙間からは光が漏れている。

 ショウは、指令所の入り口から声を掛けた。

「すみません」

 中からは、鎧を纏った戦士が顔を出した。

「君達は、何者なのかな」

「オレ達は、モンスターの討伐のためにやってきました。情報が欲しいのでお願いできませんか?」

 ショウの提案を快く受けた戦士は、司令室の中に案内した。中には参謀飾緒を掛ける司令官と思おぼしき戦士がいた。

「よく来てくれた。さぁ、座ってくれ」

 会議を催すための作戦室。机にはこのエリアのマップが張られている。所々にバツ印が打たれているのが気になるところだ。モンスターの出現エリア、もしくは陥落した場所を指しているのかもしてない。そんな作戦室の椅子にショウ達が腰かける。

「実のところ、情報も何も、あまりに分かることが少ないんだ」

 司令官は今の状況が分からないと告げる。

「今までは、冒険者の方々が多く来て、モンスターの討伐をしてくれていたのだが、今朝からは誰一人としてこない。それどころか、モンスターが村を襲うようになったんだ」

 ショウは今朝からという言葉にピンと来た。ゲームの隔離が原因だろう。プレイヤーがログインしていないからだ。

「モンスターのボスには接触は出来てますか?」

 ショウが司令官に質問すると、司令官は首を横に振った。

「村の防衛に手一杯で討伐に当てる戦力がない。たとえ戦力があったとしても上からの命令がなければ動けん」

 ミサキの言う通りにNPCは動いているようだ。さすが開発側だ。NPCには防衛に専念するようプログラミングされている。

「さっき、病院に回復のアイテムを渡してきました。皆さんは防衛に専念してもらって、オレ達でモンスターの討伐に行って来ます」

「そうであるか、回復のアイテムまでいただけて大変ありがたい。しかし、我々にできることがまったく無く、申し訳ない」

「いえ、防衛に専念してください」

「あっ、そういえば、村の西側に大型のモンスターがいるとの話しを冒険者の方々が言っていたようであったが、確認はしておらんので、定かではないが」

 司令官の話によると村の西側にボスがいるようだ。だったら次の目的地は村の西だ。

「いえ、ありがとうございます。オレ達は西側を目指すことにします」

 ショウがそう伝えると村を出ることにした。


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