41話 第六章 第三節 野戦病院
ショウ達が村人に言われた病院と思われる場所へと向かった。そこには三角錐の大型のテントがあり、風で揺れるテントの隙間からは光が見え隠れし、中に人がいることがすぐに分かった。
ショウがテントの入り口の布を手で退けて、中に顔を入れる。テントの中には安易的なベッドがいくつも置かれているのが確認できた。いわば、野戦病院のようだ。
「すみませんが……」
ショウはテントの中に声を掛けた。
「何だい? ここの病床は既すでにいっぱいだ」
白髪で白衣の老人が後ろを振り返り言う。医術士なのだろうか、包帯が巻かれた怪我人の手当てをしている。
「いえ、オレ達はモンスターの討伐に来た者で怪我人がいると聞いたものだから」
ショウが告げると、老いた医術士が目を見開く。まるで願いでも叶ったかのような驚きようだ。
「そ、そうであったか、ごらんの通り、多くの兵士が傷つき倒れておる。もう町にあるアイテムも底を着きかけていて……」
「回復のアイテムを運んできました。使ってください」
ショウがトモに目線を送る。するとトモが背負せおっていたリュックサックを下ろしアイテムを出していく。
「これはありがたい。助かりますぞ」
老人は礼を伝えると、回復アイテムを持ち怪我人に駆け寄る。
「冒険者の方々よ。村の東に仮設の指令所があるから、そちらに行かれた方が良い。一度、隊長と話しをされるべきかと思うぞ」
老人はショウの方を振り返り、助言をした。
「分かりました。一度、そちらに行くことにします」
ショウがそう伝えると、一行が野戦病院を後にした。