38話 第五章 第十一節 出陣
町は漆黒に包まれた。町の光といえば、窓から溢れる明かり、街灯の光。そんな暗い町の一角で一際ひときわ眩まぶしく光っているものがある。それがゲート。閉ざされたゲートの隙間からは白い光が漏れていた。
そんなゲートの前にショウ、トウカ、ツバサ、ミサキが集まった。残るは一人、トモのみ。
「おまたせー。回復アイテム買って来たよー」
トモがゲートの前に到着した。これで、5人全員がゲートの前に集合した。
「全員揃ったな。よし、行くか」
ショウが出発を告げると、皆が頷く。
「ツバサ、先頭を頼むな」
このパーティーの中で一番戦闘に優れているのはツバサだ。ゲートの向こうで何が起こっているか分からない。だったらツバサが適任だ。
「はい、ショウ先輩。お先です」
ツバサが門番のNPCに話し掛け、ゲートを潜った。向かったのは第五サーバーだ。次に、トウカが門番のNPCに話しかける。
「じゃあ、向こうで」
トウカはそう告げるとゲートの中に消えて行った。
「じゃあ、次は私かしら」
ミサキが、声を掛けてきたのでショウが頷いた。
「さっさと行ってきな」
「あら、ずいぶん扱いが雑ね」
「まぁな。お姫様扱いされたいのか?」
ミサキが『お姫様扱い』と言われ、顔が綻んでいた。しかし、単純に嬉しい訳では無いとショウは悟ることになる。
「先に行った二人に、ショウ君にお姫様扱いしてもらったって言っておくよ」
「ちょっと待て、また話しが拗れる。お前はそんなことばかりだな」
「冗談よ。くれぐれもトモに手を出さないようにね。いえ、寧ろ手を出したほうが面白いかも。ふふふ」
「これから決戦なのに、のん気なもんだな」
「仕事は楽しまないとね。ねぇトモ? 二人きりなんだから、楽しんじゃいなさいよ」
ミサキがトモに発破を掛けた。
「トモも、こんなのが同僚で苦労するな」
ショウがトモに言うと、トモは発言に困りはて俯うつむいた。
「じゃあ、私は先に行くよ。トモをよろしく」
「あぁ、分かった。さっさと行けよ」
ミサキが名残惜しそうにその場を離れ、門番のNPCと会話を始めた。そして、ミサキがゲートを潜くぐり消えて行った。ショウは天敵であるミサキが消えることに安堵する。
「じゃあ、次はトモだな。行ってこいよ」
「ボクが先ですか? 分かりましたー。行ってきまーす」
トモが門番のNPCに話し掛けに動き出した。ショウはトモはなんて素直なんだと思った。正にこれが竹を割ったような人と言うべきであろう。しかし、これが普通なのだと考えを改めた。一方ミサキはささくれ立った人と言うべきであろうか。歪んでいる。両者は同じ竹だとしてもあまりに対照的だった。ショウがそう思っている間にトモがゲートを潜り消えて行った。
「じゃあ、行くとするか」
一人残されたショウも移動することにした。そして、ショウが門番のNPCに話し掛け、門を潜った。