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27話 第四章 第四節 会議

「じゃあ、本題に入るよ」

 ミサキが作戦会議の始まりを告げる。

「私が思うに、やっぱり、石化はレベル40を超えるキャラに適応されるのだと思うよ」

「まぁ、そういうことなんだろうな」

 この点に関してショウも納得してる。

「そういえば、さっきの宿屋に石造があったのを覚えているか?」

 ショウがミサキに宿屋で見かけた石造について話しを始めた。

「そう、私も、それが気になったのよ」

 ミサキも同様に宿屋にあった石造について気にしていたようだ。

「やっぱりあの石像もレベルオーバーで石化したんだな」

「そうだと思う。もともとはプレイヤーだったはずだよ」

「ということは、ログアウトした場所で石化していると判断するべきだよな」

「私も、同じことを考えていたのよ。まぁ、あの石像はどこかから移動させられた物のようだけど」

 二人とも、意見は同じようだ。

「じゃあ、石造さえ集めれば、戦力が揃うんじゃないか?」

 ショウの意見に対してミサキが答える。

「石化が直ることは分かったし、戦力の増強も出来るよ。でも、復活は誰でも良いってことではないみたい」

「誰でもじゃ、ダメなのか? 強さが分からないからか?」

 確かにレベル40を超えるもの全てが石化の対象になる。それなら、少しでもレベルが高い方が戦力になるとショウは考えた。

「いいえ、そういうことじゃないよ。キャラはNPC化してるのは覚えているよね?」

「ああ、覚えてるさ、プレイヤーの意思に従わず、勝手に動いてるんだろ?」

「そうね、じゃあ、NPCの思考ってどうなってると思う?」

 ショウは顎に手をやり考えながら答えた。

「トウカも言っていたが、プレイヤーと瓜二つのようだったと。まさか元のプレイヤーの思考に左右されるとか?」

「そのまさかだと、思うよ。さっきのトモの動きも、本人そのものだったし」

「じゃあ、石化から復活させたキャラは、場合によっては協力してくれない可能性もあるってことか?」

 ショウは腕を前で組み、困ったようにする。

「それどころか、悪い人を復活させちゃう可能性もあるよ。全てのプレイヤーが良い人とは限らないから」

 確かにそうだ。装備を盗むためにPKを行うプレイヤーもいる。初心者いじめをする者だっている。町にモンスターを放つ不届きな輩だっている。

「じゃあ、確実に信用ができるキャラを復活させないといけないってことでいいな?」

「そうよ。しかも、レベルが高くて、この天空界にいるか、第一サーバーにいるかの、どちらかが条件になるけどね」

 ショウは高レベルのキャラに知り合いはいたが、天空界にいけるような知り合いは最近ではいなかった。となるともう一つの条件である、第一サーバーにいるという可能性を考えるしかない。

「大体、高レベルのプレイヤーが第一サーバーにいること自体が珍しいんだよな。第三サーバーに行けば、それなりのプレイヤーがいるはずだと思うんだが」

「それは無理よ。今はこの天空界と第一サーバーしか行き来が出来ないからね」

 ショウは顎に手をやり考えた。朝、会ったツバサとユウのことを思い浮かべる。

「そういえば、一人サービス停止前に第一サーバーに指輪を作りに行ったヤツがいたぞ」

「その方は当てになるの?」

「ああ、信頼できる騎士だ」

 ショウは、自信を持って告げた。それはツバサのことだ。

「じゃあ、その騎士を後で捜索しましょう。あと、ここでやることはあるかしら?」

 ミサキがショウに質問した。

「忘れていたんだが、何であのトモって子しか石化してないんだ? 他のPKしたキャラはどうなったんだ?」

 すっかり忘れていた疑問にミサキが答えた。

「そうね、忘れてたよ。実は、悪い噂があってね……」

「悪い噂?」

 すかさずショウが尋ねた。

「確かね、作戦部の中に敵との内通者がいるんじゃないかって噂のことよ」

「じゃあ、この作戦を邪魔に思う誰かが、妨害したってことなのか?」

「まぁ、間違いないよ。それで、装備品が消されたのだと思うよ。特にマントが残っていると、戦力増強に使われるって思ったんでしょうね」

「それで、最後の一人は装備品を落とさなかったのか。でも、システム部は消されなかったんだろ?」

「ええ、まあ。この作戦が始まる前に、作戦部からシステム部の参加名簿を遣せって迫られたって聞いたけど。でも、拒否したようだから、分からなかったんじゃないかしら」

「でも、現地でばれるだろう?」

「確かに作戦部と顔を合わせれば、ばれちゃうよ。そうしないために、サービス終了までは会わないように指示されていたの」

 ショウが納得する。確かにPKを行った時に全員がバラバラに配置していた。それもたまたまではなかったようだ。

「ショウ君のPKは意外と、ファインプレーだったのかもね」

 今までミサキに怒られ続けていたショウは少し気分が良かった。

「で、最後に勝手に消えたキャラの所は見に行くか?」

「もういいよ。作戦部が消されたのは、まず間違いないのだから」

 話しの区切りが付いたところにトモが現れた。

「そのポイントには石造らしき物は無かったよーっ!」

 ミサキは石造が無いことに驚きもせず淡々と答える。

「ご苦労様。じゃあ、次の仕事に行くよ」

 ミサキがそう言うと、新たな仲間トモを加えた4人は第一サーバー、はじまりの大地へ戻ることにした。


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