24話 第四章 第一節 到着
ショウが一番乗りで天空界に着いた。周りを見渡すと一面、雲に覆われている。遠く向こうにはギリシャ神話をモチーフとした建物。いつものとさほど変わりがない。ただし一点を除いて。それは、ところどころに石造が立っていること。ギリシャ神話の世界には、この石像がマッチしているようで違和感すら感じない。
しばらくすると、トウカが移動してきた。最後はミサキだろうとショウが思っていた。正にその通りとなった。
「わー、綺麗!」
トウカは目を輝かしながら言った。初めて立ち入るサーバーだ、嬉しいのは当然だろう。
「トウカ着いたか? ここが殺人現場だ」
ショウは無意識にトウカの夢を壊すような発言をした。
「何よ、あたしの気分をぶち壊すのよっ!」
ミサキも移動が済んでいたようで、トウカの後ろに姿を現していた。
「何? もう夫婦喧嘩なの?」
相変わらずミサキは茶化すのが好きなようだ。ショウはだんだんとミサキのキャラを認識せざる負おえなくなってきていた。
「ち、違うわよ。何でこんなヤツと……」
トウカは顔を赤くして、否定した。そのかたわらでショウはやれやれと思いながらも、本題を話し始めた。
「で、殺人現場に行けばいいんだよな?」
「そうだよ。そうすれば何か情報があるはずよ。事件は現場で起きてるのよっ!」
最後のセリフは何かの映画で聞いたことがあるような気がしたが、ショウは突っ込まなかった。
「じゃあ、一つ目の現場に行くか」
ショウがマップを取り出す。戦闘ログを確認するためだ。戦闘ログとは簡単に言えば戦闘記録。いつ、どこで自分が戦闘したかを追うことが出来る。
「そこの路地で戦闘記録があるから行くぞ」