21話 第三章 第十一節 石像
レストランを後にしたショウ達一行。しばらく歩くと、現在の宿泊先である宿屋に到着した。宿屋に入ると、先ほどまで無かった男性の石造が出迎えをする。屈強な剣士を模った物のようで、精巧な作りをしていた。
「トウカ? さっきはこんなのあったか?」
「石造のこと? 無かったと思うわ」
確かに先ほどまでは無かった。二人が立ち話をしていると、フロントスタッフの男性が声を掛けてきた。
「その石造、骨董屋で今日買ってきたみたいですよ。なんだか、石造ブームなのか、たくさん売っていて安かったんですよ」
これだけ精巧に作られている石造だ。安いわけは無いとショウが思う。そして、たくさん売られていることについても疑問に感じた。こんな精巧な石造が一日そこらで量産できる物ではないのだと。
「そういえば、さっき新聞を買いに行った時も石造売っていたわよ」
トウカも何かを思い出したかのように口を挟んだ。
「ショウ君達は、新聞から民家に辿り着いたのね」
ミサキが新聞という言葉に反応する。
「新聞って? 他にもヒントがあったのか?」
「もちろんそうよ。新聞から探し出すなんて期待してなかったし、広告欄の小さな文字だったでしょ?」
「確かにな、あんな物、誰も見つけられないよな」
「だから、新聞もそうだけど、町の張り紙や、情報屋にもマントの集合場所が伝えられてたのよ」
ミサキがそういうと、宿屋の掲示板に張り出されているチラシを指差した。
「まぁ、オレ達は新聞から辿り着いたんだ。良かったじゃないか」
「確かにね。手段や方法は何でも良かったけど、最終的に目標が達成されたんだからね」
「そうかそうか、で、トウカ? 新聞を買いに行った時に石造が並んでいたと言うのは本当か?」
「あんた、あたしを疑ってるわけ?」
トウカが不満そうな顔をして言った。
「いや、そうじゃない。この世界には石造なんてアイテムは無かったからな。不思議に思っただけだ」
「あんた、アイテムを集めるのが趣味なの?」
トウカが呆れた口調でショウに言い放った。
「いや、そういう訳じゃないんだがな
「そうなの? いっぱい売ってるみたいだから、1つくらい買ってくる?」
「まぁ、オレはいらないけどな」
ショウは石造に興味は無かった。女性の石造なら少しは反応が違ったかもしれないが男性の石造への興味は皆無かいむだ。
「まぁ、とりあえず部屋に戻ろうか」
そうショウが告げると、3人は軋む階段を上がり、部屋へと向かった。