表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

198/257

194話 第四章 第十二節 お助けカードの価値

 ショウとミサキが新聞社の外へ出る。昼を過ぎ傾き始めた太陽が二人の影を少しだけ伸ばした。


「ショウ君どうするのよ?」


 ミサキはご立腹の様子だ。何をするのも面倒だと言うミサキ。わざわざ出向いたのにも関わらず、結果は無駄足。しかも、理由が勘違いからと来たとなれば、怒りたくなるのも分からなくもない。


「いや、悪かったな」


 ショウが平謝りをする。問題が一つ解決されたと言う安心感しか、ショウの頭の中にはなかったからだ。


「じゃあ、お助けカード追加だからね」


 ショウの平謝りにミサキが対価を請求する。いや、精神的な苦痛を感じたと言わんばかりの慰謝料なのかもしれない。


「ちょっと待てよ、そんなにポンポンと追加されてもたまらんぞ」


 ショウにとってはお助けカードなどと言う可愛い名前の物ではない。奴隷を使役しえきできる呪いのふだと呼んだ方が意味が通る。


「だって、ツバサちゃんに分けないといけないのよ。数集めておかないとなくなっちゃうもの」

「じゃあ、渡さなければいいだろう。何だって、分けてやるんだよ」


 昨日の話の流れから、ミサキはツバサにお助けカードを譲ることを約束していた。だから、お助けカードを集めてるのだろう。


「お助けカードって、ショウ君以外にも使えそうだから」


 ミサキが不適な笑みを浮かべた。悪いことを考えているに違いない。


「オレ以外にも、そのお助けカードとやらを発行しようって言うのか?」

「違うよ。あくまで発行はショウ君だけ。お助けカードはショウ君を動かすためのカードに過ぎないよ」

「じゃあ、何だってオレ以外にも使えるんだ?」


 ショウが単純に質問する。ショウ以外に使えないお助けカードをどうするのかと。


「それはね。あの子達に、お助けカードをあげると、提案するだけだから」

「はぁ?」


 ショウが意味がわからないと言わんばかりに、ポカンとした。


「だから、私がお助けカードをあげるからって、あの子達に言うことを聞かせる。あの子達はお助けカードを欲しがるから言うことを聞く。オッケー?」

「オッケーじゃねーよ。結局、お助けカードの効果はオレってことじゃないか」


 ショウはお助けカードが誰の手に渡ろうと、結局自分をこき使うカードに代わりがないことに気がついたのだ。


「あら、良い方法なのに」

「あいつらが、お前の無茶な頼みでお助けカードを諦めたらどうするんだ?」


 ショウが対価たいかに対して言及げんきゅうした。割に合わなければ引き受けないのが人と言うものだ。


「ショウ君、甘いわね。お助けカードの価値に気がつかないの?」


 ミサキにお助けカードの価値と言われてもショウはピンときていなかった。


「だったら、オレ以外のやつでお助けカードを発行しろよ」


 ショウがお助けカードに価値があるのなら別の人の分でと、ミサキに提案した。出来ることなら、お助けカードの発行を別の人にしてもらいたいとの思いから。


「ショウ君だから、価値があるんだけど」


 ミサキがショウだからお助けカードに価値が出ると言う。まるで有名人のサインと、小物のサインの価値が違うと言いたげに。


「オレのレベルが99だからか?」


 ショウだからと言われた理由から、ショウ自身が結論を出した答えがレベルがMAXだと言うことだった。確かに、この強さの奴隷を使役できるのなら価値を見いだせなくもない。


「ちょっと違うんだけど」


 ミサキがため息をついた。何やら、別の理由からあの子達がショウを自由に出来るお助けカードが欲しいようだ。


「何が違うんだよ?」


 ショウがミサキに質問した時だった。ミサキのフレンドリーコールがなった。


「トモ、分かったのね」


 どうやら、少女の居場所が分かったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ