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190話 第四章 第八節 少女の視界

「ご馳走さまでした」


 ミサキが満足げにフォークとナイフを置いた。満腹になれば多少は融通が効きそうだ。


「そろそろ起きたかな?」


 そういうとミサキがディスプレイを表示し、接続を試みた。


「どうなんだ?」


 ショウがディスプレイに映った映像が気になり身を乗り出した。


「起きたみたいね」


 ミサキの表示するディスプレイに少女の視角情報処が映りだされた。


「おい、オレにも見せてくれ」

「とりあえず横に来なさい。あまりに人に見せる物じゃないから」


 お昼時だったのがさいわいした。奥しか空いてなかった席。ミサキの背後は建物の壁になっていた。


「あぁ、分かった」


 ショウがそう言うと席を移動し、ミサキの横に座る。すると、ミサキがディスプレイをちょんちょんと指で差した。

 ショウが目にするのは、少女の視界。少女はどうやらドアを開け部屋を移動するようだ。


「どこか行くみたいだな」

「しっ、静かに」


 ミサキが口元に人差し指をかざし静かにするように促す。 ショウが分かったとうなずき画面を注視する。

 画面には洗面台が写された。その鏡にはあの少女の姿が映された。


「ミサキ、間違いないな。あの子だ」

「私がミスする訳ないでしょ? 神なんだから」


 ミサキの神発言が飛び出した。全知全能の神は何でもお見通しだと。ショウは特に突っ込みもせずに、画面に釘付けとなる。

 画面に映るのは洗面台に反射する少女。そして洗面台に映る少女の姿がだんだんと大きくなった。少女の全身が映っていた鏡は、足が映らなくなり上半身になり、顔が少しずつ大きくなる。どうやら鏡に近付いてるようだ。

 そして、ついに顔だけが映るようになった。その瞬間、少女と眼が合った感じがしショウが驚きピクリとした。


「ショウ君、どうしたのよ?」

「今、あの子と目が合った気がしたんだが」

「あの子が自分の目を見たんでしょ? いちいち驚かないで。こっちの姿が見えてる訳ないんだから」

「あぁ」


 ショウが返事をする。目があったのは錯覚だったのだろう。ショウ自身、鏡で自分の目を見ることくらいある。それがたまたま目があったと錯覚したに過ぎないと。


「で、どこにいるか掴めそうか?」

「現状情報が少な過ぎるね。部屋から出てくれればいいんだけど」


 確かに情報が少ない。少女の視界には今度は蛇口が映り込んだ。そして、水を出すとまた画面が黒くな。


「顔を洗ってるみたいだな」

「えぇ、そうね」


 ブラックアウトした画面を二人が注視する。何かが映り混むを待ちながら。

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