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189話 第四章 第七節 鍵の理由

「あの女の子と鍵がなんだって言うんだ?」


 ショウが質問をする。少女と鍵、結び付く点が見つからない。


「もしかして、ショウ君。あの子飼う気(・・・)?」

「は?」


 ショウはミサキの飼う(・・)と言う発言に顔を歪ませる。またミサキがトンチンカンな事を言い始めたからだ。


「ゲートがあの状態じゃあ、あの子を向こうに返すことできないでしょ?」


 あの状態とは、鎖でグルグル巻きにされた状態の事だろう。あんな状態では帰すに帰せないと言うのが実情だ。


「確かにな。なんだ、ミサキはゲートが封鎖されているの知ってたのか?」

「全然知らなかったよ。行ったらたまたまあんな事になってただけだよ」

「運営でも知らないことがあるのか?」

「ショウ君に指摘されると、なんか腹立つね」


 運営だって万能ではないと言うことだ。情報処理の過程において知覚が行われなければその後の処理など始まらない。


「いや、だって鍵を用意してただろ? ゲートの鍵を掛け変えるためじゃなかったのか?」


 ショウがミサキが鍵を持っていたことに触れた。たまたま鍵を持ってるなんておかしい。偶然の産物とは思えない。


「あの鍵は、ショウ君を縛り上げる予定で持ってきた鍵だったけど、必要ないみたいだから」

「なんだそれ」

「森燃やした件を忘れたの? 外出禁止で鍵をしようとしただけだよ」


 ショウが身震いした。悪いことを指摘さるのは気分がよくない。ましてや、監禁までほのめかされる始末だ。考えただけでも恐ろしい。


「それにしても鍵を用意したっていつだよ。ロールバック前のアイテムはなくなるんじゃなかったのか?」

「だから、RBって言いなさい。鍵は、こっちにログインしたときに、忍ばせたからRBの後に用意した物よ」

「じゃあ、RBだったか、何かの時点では、オレを閉じ込める気だったってことか?」

「えぇ、そうよ。これからも、そのつもりで行動しなさいね」


 ミサキが念を押す。これ以上、仕事を増やして欲しくないと言わんばかりに。


「で、その女の子の足取りなんだが……」


 ショウが話を切り出した途端、テーブルに料理が届いた。


「お待たせいたしました」


 ウエイトレスが銀のトレイに載せた料理をテーブルに広げていく。ショウの前には魚のムニエル。ミサキの前には、ステーキが3皿。肉の形が違うところを見ると、部位が違うのだろう。


「で、ミサキ。あの女の子の足取りなんだが……」


 どうやらミサキは聞いていない様子だ。右手にナイフ左手にフォークの戦闘体制。おまけにナプキンの鎧まで装備している。視線は肉から離れず、ロックオン。


「おい、ミサキ」

「邪魔しないで」


 何とも間が悪い。女の子の足取りは以前掴めずにいた。

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