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18話 第三章 第八節 怪しい民家

 ショウとトウカが目的の民家に迫せまる。そう、新聞に書かれていた民家のことだ。赤レンガ作りの民家が怪しい雰囲気をかもし出す。窓が付いていないのもそうだろう。不気味に映る。家というよりも倉庫と呼んだ方がしっくりくる印象だ。

「ちょっと、あんた! 窓も無いけどどうするのよっ!」

 トウカは覗き作戦は一回の表から頓挫にいたった。

「まぁ、鍵穴から覗くってのがいいんじゃないか?」

 テレビ番組でよく見る覗きの手口。リアルの世界での鍵穴は覗いたところで何も見えないのは百も承知だ。しかし、この世界では常套手段。

「まぁ、変態が考えそうなことね」

 ショウの評価はいつの間にか変態まで落ちたようだ。トウカは宿屋の出来事を根に持ってるのかもしれない。

「ちょっと待ってな、見てくる」

「あたしも行くわっ!」

 トウカを待たせようショウは考えていた。しかし、この好奇心旺盛なトウカを待たせるなど不可能だろう。肉をチラつかせたライオンに『待て』と言うのと同義だ。

 ショウが音を立てないよう、注意深く進む。しかし、そんなことお構いなしに足元の砂利じゃりがザクザクと音を立てる。それでも音を最低限に抑えようと慎重な足取りでドアの前まで忍び寄った。そして鍵穴から中を覗く。

 ショウの視線に入ったのは火が焼べられていない暖炉。その横にショウの視線が移る。すると、金髪の若い女性が確認できた。黒いマントを羽織り、椅子に座っている。窓の無い建物に暖炉という、一酸化炭素中毒でも起こりそうな謎の建物内には、この若い女性一人でいるようだ。

「ちょっと、あんた? あたしにも見せてよ」

「もう少し静かにしろよ」

 ショウは文句を言いつつも、場所を譲った。

「女の人が一人のようね」

「ああ、そうだな。これから魔力を練るからちょっと待ってろ。練り終わったら中に入るぞ。それと、魔法発動状態になったら、会話が出来ないから、お前が交渉するんだ」

 魔法の発動には魔法を選択する必要がある。その短い時間すらショウは惜しんだ。拳銃で例えるなら、撃鉄を起こした状態を作ったと言ったところだ。魔法に集中している以上、会話はできない。そのため、交渉事をトウカに一任した。話しの内容によっては敵を瞬殺する必要があったからだ。

 ショウは漆黒の大剣をアイテムボックスにしまう。そして、代わりの炎の杖を取り出した。そして呪文を唱え炎の杖を光らせていく。炎の杖が神々しく光るのをショウが確認すると、トウカの顔を見て頷き合図を送った。トウカも意図することが分かったようだ。

 トウカが古びたドアノブを掴つかむ。そして、トウカが深呼吸をした。息を整えたトウカがドアノブを回し、慎重に扉を開けた。


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