表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

188/257

184話 第四章 第二節 ロビー

「ミサキ待たせたな」


 ショウが一階のロビーへと降りる。ミサキがロビーの椅子でくつろいでいる。後ろ姿は美人そのものだ。ロビーで待ち合わせをすると人目を引く。


「あら、遅かったじゃない?」


 ミサキが嫌みを言う。ここで反論したところで、ミサキに論破されるのは間違いない。ショウは我慢をして下手に出る。


「悪かった。待たせたな」

「じゃあ、お助けカード追加ね」

「何だよそれ、勝手に増やすなよな」


 さすがにショウも反論する。しかし、間違いなく。論破されるだろう。


「昨日、ツバサちゃんにお助けカード分けるって約束しちゃったから増やさないといけないと思って」

「それは、そっちの都合だろ? オレ関係ないしな」

「あらひどい」


 ロビーの回りのお客がクスクス笑う。まるで見世物だ。ショウが回りの目が気になり話題を変える。


「それよりミサキ。ちょっと寄りたいところがあるんだがいいか?」

「あら、私をどこに連れ込む気?」

「何が言いたいんだ? 道具屋に寄りたいだけだ」

「私、物には釣られないから。買収しようとしても無理よ」


 ミサキがプレゼント攻撃など通用しないと牽制を掛けた。ショウにそんな気の利くことなど浮かび上がるはずがない。


「宝くじの引き換えに行こうと思ってな」

「宝くじって何のことよ?」

「覚えてないか? ロールバック前に宝くじ買っただろ? 昨日、また買ってみたんだ」

「またって、もしかして当選番号が分かってたの? あとRBって言って他の人が聞かれたくないから」

「あぁ、分かった。それで、前回、オレとトウカが三等を当ててるんだ。そして、ツバサが外れてるんだ」

「確か、トウカちゃんと、ツバサちゃんはショウ君の誕生日の番号を選んでたのよね?」


 ミサキが顎に手をやり、考える。


「そうだ。トウカとツバサが両方とも11と28を選んでる。だから11と28は外れの数字。トウカの選んだ他の2つの数字が間違いなくあってる」

「その数字は分かったの?」

「あぁ、トウカの誕生日だった」

「だからって、あと2つの数字分からないと意味ないでしょ?」

「オレが奇跡的に3等を当ててるんだ」

「11と28以外で?」

「そうだ。オレの選んだ数字34と81と96と99のどれかが正解だ」

「もしかして、全通り買ったの?」

「あぁ」


 ミサキがため息を付く、また余計なことをしたと言わんばかりに。


「ショウ君は目立っちゃいけない存在なのよ。1等なんて当てた日にはどうなるか考えたことある?」

「多少は目立つな」

「多少じゃあ、済まないわよ! この間の森焼失事件。たまたまRBのお陰で、なかったことに出来たけど、アレの後処理のために私がどんだけ苦労したか」

「あぁ、悪かったな」

「悪かったじゃないよ。ちゃんと反省しなさい」


 ミサキが憤る。それほどまでに大変な作業だったようだ。


「で、宝くじの件だが」

「まだ言うの?」


 ミサキに笑顔などない。どうやら宝くじの一等はお預けのようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ