184話 第四章 第二節 ロビー
「ミサキ待たせたな」
ショウが一階のロビーへと降りる。ミサキがロビーの椅子で寛いでいる。後ろ姿は美人そのものだ。ロビーで待ち合わせをすると人目を引く。
「あら、遅かったじゃない?」
ミサキが嫌みを言う。ここで反論したところで、ミサキに論破されるのは間違いない。ショウは我慢をして下手に出る。
「悪かった。待たせたな」
「じゃあ、お助けカード追加ね」
「何だよそれ、勝手に増やすなよな」
さすがにショウも反論する。しかし、間違いなく。論破されるだろう。
「昨日、ツバサちゃんにお助けカード分けるって約束しちゃったから増やさないといけないと思って」
「それは、そっちの都合だろ? オレ関係ないしな」
「あらひどい」
ロビーの回りのお客がクスクス笑う。まるで見世物だ。ショウが回りの目が気になり話題を変える。
「それよりミサキ。ちょっと寄りたいところがあるんだがいいか?」
「あら、私をどこに連れ込む気?」
「何が言いたいんだ? 道具屋に寄りたいだけだ」
「私、物には釣られないから。買収しようとしても無理よ」
ミサキがプレゼント攻撃など通用しないと牽制を掛けた。ショウにそんな気の利くことなど浮かび上がるはずがない。
「宝くじの引き換えに行こうと思ってな」
「宝くじって何のことよ?」
「覚えてないか? ロールバック前に宝くじ買っただろ? 昨日、また買ってみたんだ」
「またって、もしかして当選番号が分かってたの? あとRBって言って他の人が聞かれたくないから」
「あぁ、分かった。それで、前回、オレとトウカが三等を当ててるんだ。そして、ツバサが外れてるんだ」
「確か、トウカちゃんと、ツバサちゃんはショウ君の誕生日の番号を選んでたのよね?」
ミサキが顎に手をやり、考える。
「そうだ。トウカとツバサが両方とも11と28を選んでる。だから11と28は外れの数字。トウカの選んだ他の2つの数字が間違いなくあってる」
「その数字は分かったの?」
「あぁ、トウカの誕生日だった」
「だからって、あと2つの数字分からないと意味ないでしょ?」
「オレが奇跡的に3等を当ててるんだ」
「11と28以外で?」
「そうだ。オレの選んだ数字34と81と96と99のどれかが正解だ」
「もしかして、全通り買ったの?」
「あぁ」
ミサキがため息を付く、また余計なことをしたと言わんばかりに。
「ショウ君は目立っちゃいけない存在なのよ。1等なんて当てた日にはどうなるか考えたことある?」
「多少は目立つな」
「多少じゃあ、済まないわよ! この間の森焼失事件。たまたまRBのお陰で、なかったことに出来たけど、アレの後処理のために私がどんだけ苦労したか」
「あぁ、悪かったな」
「悪かったじゃないよ。ちゃんと反省しなさい」
ミサキが憤る。それほどまでに大変な作業だったようだ。
「で、宝くじの件だが」
「まだ言うの?」
ミサキに笑顔などない。どうやら宝くじの一等はお預けのようだ。