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166話 第三章 第十六節 城門前

「すみませーん。城に入れてくださーい」


 城の内門の前で苦戦しているのは、執事姿のツバサだ。ユウと違い、上手いこと言えず門兵の呼び止められている。


「だから、何度も言っているだろ。ダメな物はダメだと。許可書の無い者は入れん」


 門兵が許可書がないと入れないと言い切った。しかし、先ほど許可書なしに入った二人がいることには一切触れない。


「どうしたら入れてくれますか?」

「許可書を持ってきたら入れてやる」


 そりゃそうだ。許可書が無いから入れない。だったら許可書を用意すれば入れる。門兵のおっしゃる通りだ。


「もーう。どうしよう……」


 ツバサはにっちもさっちも行かない状況になかば諦めている。地面にしゃがみ込むと膝に手を回し地面に指で落書きを始める始末だ。


「雑魚には困りますわね」


 聞き覚えのある声に、しゃがみ込むツバサが首を上げた。そこにはメイド姿のユウがいた。


「ユウさーん。私、城に入れません」


 いつも雑魚と言われるたびに文句を言うツバサも、それどころではない様子だ。


「メイド長と話を付けて来ましたわ。しばらくそこでお待ちなさい。執事長が来ますから」

「ホントですか?」

「えぇ、わたくしにかりはありませんわ」

「よかったー」


 ツバサが安堵の息を付く。よほどホットしたのだろう。


「ところでユウさんはどこに行くんですか?」

「わたくしは、お買い物ですわ。では、ごきげんよー」


 買い物用の煮柳にやなぎで出来たバスケットを片手にユウが城を後にする。ツバサはもうしばらく城の前で待つことになりそうだ。



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