118話 第七節 第十二章 呪いの指輪
「あんたっ! 何やってるのよっ!」
トウカが声を発した。しかし、寝込んでいるショウには声が届かない。ショウが倒れたことで形勢逆転ピンチとなった。
少女がアイテムボックスから急いで別の短剣を取り出した。黒々と光る短剣は殺傷能力が高いもの。急所を狙われればショウだとしても命が危うい。
少女が口を開く。
「近づかないで欲しい、ですっ! この人倒しちゃう、ですっ!」
トウカもツバサもユウも動きが止まった。
「ど、どうしよう……」
トウカがうろたえた。ショウが人質に取られたのだ。
「あたしが、代わりになるわっ!」
トウカが刀を投げ捨てた。
「トウカさんダメですっ!」
「でも、でも」
トウカがツバサに不安そうに言う。
「私に考えがあります」
ツバサはトウカを安心させるかのように言う。何か策があると言いたげだ。
「その……」
ツバサが口を開く。少女へ説得でも行うのだろう。そして続ける。
「……その人を連れてっても構いません」
ツバサがショウを連れて行って良いと少女に言う。
「ツバサさん。見損なったわ。そんな人だと思わなかったわ」
トウカが憤り、ツバサに抗議した。しかし、トウカの抗議は受け入れられなかった。
「ユウさんも、何か言ってよ」
トウカは自分一人ではダメだと思い、ユウに救いを求めた。ショウを大切にするユウならば同じ意見のはずだからだ。
「そういうことですのね」
ユウは何かを悟ったのかのように、口を開いた。そしてユウが口にした言葉は。
「わたくしは、構いませんわ。どうぞお好きなようになさって」
ユウもツバサに賛同したのだ。
「ツバサさんも、ユウさんもおかしいわ。あいつが連れて行かれちゃうのよっ!」
トウカは懸命に抗議する。
「ホントに、ホントに、倒しちゃう、ですっ!」
そう言うと少女のダガーを持つ手が震ている。寝ているショウに手を添えた。その時だ。
『パリン』
ショウに付けられた呪い指輪が砕けた。そして、指輪が割れると共に、少女は電気を帯びたのだ。感電したというのが正しいのかも知れない。感電した少女は、煙を上げ地面に伏したのだった。