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114話 第七章 第八節 接近戦

『ショウ様? 外出中ですの?』


 この声の主はユウだ。どうやらユウがログインしたようだ。そんなユウがショウへとフレンドリーコールを繋いだ。


「おっ、ユウか? ちょっと手伝ってくれ、城の北門が攻められてる」

『わかりましたわ。すぐに伺いますわ』


 ユウが二つ返事で了承した。事情を聞かなくとも、理解しすぐに駆けつけてくれるのは有難い。援軍は多いことに越したことはないのだから。


「そろそろ切るぞ」


 ショウがフレドリーコールを切断すると提案する。もうすぐ、戦闘が始まる。連絡を取っている場合だはない。ましてやショウは剣士としてハンデ戦を行わなければならないのだから。


『もう少し、お話を』

「悪りぃ、手が放せないから、こっち来いよ。いくらでも話をしてやる」

『では、飛んでまいりますわ』


 この世界には飛行魔法などはない。飛んで参る(・・・・・)とは比喩ひゆでしかないのだろう。ユウはショウの誘いにワクワクの様子だ。


「早く来いよ。後でな」


 そう言うと、ショウがこめかみに指を置きフレドリーコールを切断した。ショウに取ってこれほど有難い援軍はいない。ユウのレベルは96。本気を出せば一人で敵全員をまとめて倒せるほどだ。しかし、今は魔法に自己リミッタを掛けねばならない。使用許可が出ているのはクラス5までの魔法だ。それでもこの世界では、最上位のクラス4を上回る。それに、同等の魔法を唱えたとしても、レベル40とレベル96では魔力量が圧倒的に違う。魔法の威力、範囲、早さ、発動回数、全てにおいで上回る。決して敵に回したくない存在だ。


「よし、やってやるかな」


 ショウは剣を握り締め、敵へと駆け出した。敵もまたショウの存在に気付くと、ショウへと剣を振り上げ向かってきた。敵兵はおよそ十名、ショウ一人相手に多すぎる。それだけ敵に兵力に余裕があるという表れなのかもしれない。ショウがいくらレベルが高いと言っても数の面で不利だ。ましてや本職でない剣士をしている。ショウは一度引き返し路地へと逃げ込んだ。幅、2メートル弱ほどの路地、ショウは路地を散らかしながら進んだ。軒先のきさきの空いた酒樽さかだるはひっくり返し、補修用に置かれたの材木はなぎ倒す。追っ手の速攻を防ぐためだ。


 十字路まで進むとショウは振り返った。この狭い路地では敵に囲まれることはない。そして逃げ道を確保する。ソロ活動がメインのショウがいつも意識する、敵との対峙たいじは一対一。素早くこの一対一の環境を作り出したのだ。


「ほらよっと」


 ショウは路地に入ってくる敵兵に切りつける。敵兵がショウ一撃を剣で受け止めた。しかし、腕力が違い過ぎる。敵兵は鍔迫つばぜり合いをすることなど出来ず、ぶっ飛んだ。ショウの腕力はレベル99の物だ。魔導士のためSTR《力》のステータスは低い。それでもレベル30程度の剣士と比べれば圧倒的だろう。それにチートの大剣とあいまって、剣士で言うならレベル60相当の力がある。この世界でなら、剣士としてならツバサにいで強い。ツバサがナンバー1ならショウがナンバー2だ。


 ショウは一対一でなら負けなかった。敵と鍔迫り合いをすれば儲けものだ。力で押し潰す。尻餅を着く敵兵が恐怖に震えた。しかし、ショウは追撃をしない。圧倒的な力を見せつけるだけだった。瞬く間に十人もの敵兵の戦意を削ぐと、敵兵が逃げ出した。


「よし、次だな」


 ショウは路地を引き返した。散らかし路地にショウの足が取られた。足止めの機能は抜群だったがやり過ぎたと反省する。


 そして、ショウが路地を抜け出し、城へと目を向けた。その時、フレンドリーコールが再び鳴ったのだ。

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