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113話 第七章 第七節 ファイアーフィールド

「ヘッ、クション!」


 ショウがくしゃみをし、鼻をすすった。夜になり町が冷え込んだからかもしれない。とはいえ、現在は春の気候だ。寒いとは、ほど遠いはずなのだが。


「ミサキ、大変だ。城が攻められてる」


 ショウがフレンドリーコールを使いミサキを呼び出した。現在、ショウはミサキにパトロールを命じられ、城のすぐそばまで来ていた。夜間に火の手が上がれば目立つこと、この上無い。ショウにも城が攻められていることがすぐに分かった。


『あっ、ショウ君? 不味そうな感じなの?』


 ショウは火の手の上がる北門を目指していた。既に敵兵を視認してた。数およそ数百と言うところだろう。そして、心配していた投石器は二機も用意されていた。そして破城槌はじょうついもなかなかの物だった。破城槌、それは手に持つような簡易なものではなかった。台車に乗せられた丸太を数人の兵で押すものだ。丸太の慣性力を生かして門を壊すという仕組みのものだった。


「あぁ、兵は多そうだ。百を遥かに超えてる数だ。それに投石器が二機、破城槌まであるぞ」

『あら、不味まずそうだね。駆けつけるけど、それまで耐えて頂戴』

「耐えるも何も、城門、壊れてるんだが」


 ショウの目には壊れた城門が映り込む。すでに敵兵は城の中へとなだれ込みそうになっていた。


『じゃあ、早く止めなさい』

「まぁ、頑張るが。やっぱり魔法は高位ものは不味いか?」

『どうしようね? クラス4までで何とかならない?』

「数が多すぎる。瀬に腹は変えられないんじゃないか?」

『まぁ、そうね。じゃあ、ボーナスでクラス5の魔法まで許可するよ』

「おい、全然威力が足らないぞ」

『剣士したら良いじゃない?』

「まぁ、それも有りか。で、魔法は本当にクラス5までなのか?」

『そうそう。とりあえず、がんばってね』


 そうミサキが言葉を残すとフレンドリーコールが切断された。


「おいおう、勝手に切るなよ」


 ショウが愚痴を言うも伝わらない。ミサキの自己中心的な一面がこんな大事な局面でさえ現れる。そんなミサキのことを考えるとショウはため息をついた。しかし、やるべきことはやらないと行けない。今は城を守ることが最優先。ショウがアイテムボックスを漁りはじめると。炎の杖を取り出した。そして、すかさず呪文を唱えた。


 第四レベル炎魔法――ファイアーフィールド――


 ショウの炎の杖は光りを放った。魔法が発動した合図だ。ファイアーフィールド、地面を火の海と変える魔法だ。魔法クラスは4。この世界で言えば最上位に匹敵する魔法だ。そんな魔法をショウが躊躇ためらうことなく使う。今回はミサキのお墨付きだ。怒こられる心配がない。そして、ショウの杖先は城門へと続く石橋を向いた。すると石橋の上をが燃え上がり火の海と化したのだ。


 燃え盛る石橋。上に置かれる破城槌は煙を上げ燃え立った。そして、炎対策が乏しい敵兵は堀へと飛び込んだ。それでも数人、いや数十人は城に入ったようだ。なるべくなら城の中に敵を入れたくなかったのが仕方がない。ツバサから大丈夫だろう。しかし、トウカが心配だ。ショウは二人が共に行動していることを願った。


 まずは城への入り口を塞ぐことに成功したショウ。これで思う存分、戦うことができる。炎の杖をアイテムボックスへとしまうと、替わりに漆黒の大剣を構えるのだった。

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