111話 第七章 第五節 マジックプロテクト
「もうすぐね」
トウカとツバサがもう間もなく北門という所まで走ってやって来た。するとツバサが足を止め、手を横にしトウカを静止した。この先は正に火の海だった。魔法のクラスは5、ファイアストームの入った魔封石が投げ入れられたことであちらこちらに火の手が上がっている。幸い石造りの城自体は燃えてはいない。しかし、窓を破り入った魔封石は城の中を焼き付くそうとしていた。
「トウカさん。マジックプロテクトを掛けます」
「お願いするわ。騎士って魔法も使えるのね」
トウカがうらやましそうな顔をして言う。トウカは剣士だ。魔法は使えない。無いものを欲するのが人間の性。
「はい。でも、高レベルの魔法は無理なんです。私のマジックプロテクトはレベル3なので、魔法レベル4までしか防げません。それ以上は軽減程度なので」
「そうなのね。魔封石の魔法は確かレベル5だから、危ないわね」
「そうですね。直撃だけは避けてきてくださいね。あと、マジックプロテクトの付与時間にも気を付けてください。切れたら教えてくださいね。追加で掛けますから」
「分かったわ。一応、氷の靴を履いてるから足元は守れるわ」
トウカがコンコンと靴を鳴らしながら自慢げに言うのだ。
「はい、では、行きますよ」
第三クラス補助魔法――マジックプロテクト――
トウカは光の膜に包まれた。これで、しばらくは魔法を防げる。そしてトウカの横では、ツバサが光の膜に包まれた。ツバサ自身もマジックプロテクトを掛けたようだ。
「じゃあ、行くわよ!」
トウカが腰に下げる刀に手を当てる。そして、腕に力を入れ抜刀する。金属が擦れる音が戦闘を告げるようだ。
「はい、行きましょう」
ツバサも斧を両手で構えた。漆黒の斧は夜の闇に溶け込み不気味に映る。
二人が走り出す。燃え盛る火の海へと姿を消すのだった。