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110話 第七節 第四章 中庭

 トウカとツバサは城の中庭に出た。そこには多くの兵士が盾を構え整列している。城の入り口での防衛を任されているようだ。


「ここの兵士が、城の前を守るみたいですね」


 ツバサが言う。


「そうね、魔封石まふうせきが切れるのを待ってるのかしら?」

「そうかもしれません」


 ツバサが同意した。


「君たち、執事にメイドだろ? どうしてこんなところにいるんだ。君たちには君たちでやることがあるはずだろ?」


 太ったおっさん兵士がトウカとツバサに声をかけた。戦闘の最前線になるであろうこの場所にメイドと執事がいるのは明らかにおかしい。


「私たちは、様子を見るように言われたので」


 ツバサが苦し紛れの言い訳をした。


「様子も何も、この通りだ。決戦はここで行う。それまで待機だ。それより、なぜ君たちが武器をもってるんだい?」


 そう言われると、トウカとツバサはピクリと反応し慌てて背中に武器を隠した。メイドが刀を、執事が斧を所持している。普通のメイドや執事が持ち歩くものではない。理由を聞かれても二人には答えようがない。


 そんな話をしていると、少し離れた北側の城壁を魔封石が飛び越え降り注ぐ。落下地点では魔封石が地面で砕け、火柱を上げた。


「火の手が上がったぞ! 盾で必ず防ぐんだ!」


 魔封石の火柱に兵士の視線が奪われた。そのおかげで、トウカとツバサが質問に答えずに済んだ。あくまで隠密行動だからだ。


「ツバサさん、こっそり北門に向かいましょう」


 トウカがツバサに耳打ちした。


「そのほうが良さそうですね」


 ツバサも同意した。トウカとツバサは身を屈めコソコソと兵士の間を縫い北門へと向かう。


「トウカさん、こっちです」


 ツバサがトウカの手を取り誘導する。離れたところからは野太い声が聞こえた太った兵士の物だろう。


「さっきいた、執事とメイドを知らないか? 城に戻ったか?」


 とうの昔に、トウカとツバサは移動していた。兵士としては守らなければならない対象を見失ったのは。大失態だろう。しかし、そんな心配を他所にトウカとツバサは北門に向かっていた。

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