表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/257

109話 第七節 第三章 ロッカールーム

 トウカが息を切らせながらロッカールームにたどり着いた。誰もいないロッカールームは不気味その物だ。ランプの光りがよろめきながら灯っているだけだからだ。


 トウカの目的はアイテムボックス。しかし、なかなかトウカはロッカールームに入ろうとしない。お化けが苦手のようだ。日頃は強がりばかり言っているが所詮は女の子だ。


「大丈夫、怖くない」


 トウカは自分に言い聞かせるようつぶやいた。そして、トウカは一歩一歩、歩みを進め、ロッカーの前までやって来た。


「早く開けなきゃ!」


 トウカは早口で言う。とても急いでいるようだ。すぐにでもここから離れたいと言わんばかりに。


 トウカは木の札を取り出した。それは魔法のロッカーキーだ。キーを差し込むとカチャリとロッカーが音を立て、解錠かいじょうしらせた。すぐさまトウカがアイテムボックスから炎の剣を取り出した。しかし、炎の剣はトウカの手から滑り落ち、床へと着地した。


「あ、マント、部屋に置きっぱなしだった……」


 トウカはすっかり忘れていた。昨日、着替えの時にクローゼットに着替えた服とマントを置きっぱなしにしていたことを。このままでは剣が振るえない。トウカは肩を落とした。


その時であった。ロッカールームのドアが勢いよく開いた。


「キャっ」


 トウカが小さな悲鳴を上げた。余程驚いたのだろう。小さな悲鳴がロッカールームに行き渡る。そんなトウカが入り口へと目を配る。そこに立っているたのはツバサだった。勢いよくドアを開けた犯人はツバサだったのだ。


「トウカさんもここに?」

「ビ、ビックリして心臓が止まると思ったわ」


 トウカはツバサと普通に会話を始めた。驚きのあまりケンカ中だということを忘れているようだ。


「トウカさん、さっきはごめんなさい。叩いたこと、後で理由をちゃんと話しますから、今は協力してください」

「分かったわ。後で、ちゃんと教えてよね」


 トウカが返事をする姿を見てツバサは喜色きしょくを浮かべ、うなずいた。そして、ツバサは、トウカの足元の炎の剣を拾うと、両手でトウカに差し出した。


「あたし、この剣使えないの……」


 トウカが悲しそうな顔をして訴えた。


「大丈夫です。私、トウカさんの剣を用意してますから」


 そう言うと、ツバサは炎の剣を足元に置き、自身のロッカーの鍵を開けた。ロッカーの中からアイテムボックスを取り出すと、中をあさり始めた。


「この太刀銘行安たちめいゆきやすはレベル30からなのでトウカさんでも持てます」


 アイテムボックスから出てきたのは、先程ツバサがトウカのために用意した刀だった。


「いいの?」


 トウカの問いかけにツバサが頷く。


「では、行きますよ」


 ツバサも愛用の漆黒の斧を取り出した。


 刀をたずさえるのはレベル34のメイド服のトウカ。斧をかつぐのはレベル81の執事服のツバサ。


 準備は整った。いざ決戦だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ