序章
もはや地球に安全な場所などなかった。
かつて科学が発展した世界など過去の話であった。3190年、
科学が支配していた世界に対立する様に表れたのは「魔術」で
あった。「魔術」を使う勢力は次第に拡大し、科学に支えられた
文明が崩壊するのは時間の問題だった。
科学の勢力は軍を編成し、化学兵器を使って「魔術」の勢力を
攻撃した。それに対して、「魔術」の勢力も急遽軍を編成し対応
した。その後両軍勢による小競り合いが続いた後、「魔術」の
軍勢が科学の軍勢に大規模な攻撃を仕掛けた。それをきっかけに
「魔術」と「科学」の戦争が勃発した。
最初は押していた「科学」の軍勢であったが、すさまじい勢い
で種類が増えていく魔術に対応できなくなり、結果、3300年に
「科学」の軍勢が敗北し、戦争は終結した。
平和になったと思われた世界を襲ったのは「魔物」であった。
世界中にまき散らされた魔力は動物の生態を変化させ、やがて
異形の生物を生みしたのである。
魔力から生まれたその生物には「魔術」が通用しなかった。
「科学」を失った世界には「魔物」に対応することができなかった。
「魔物」は力を増し、種類を増し、やがて強大な魔物が生まれた。
そして、「魔術」の勢力は滅んでいったのである。
生き残った人々には「魔物」から逃げ続ける日々が続いた。
少しずつ彼らは数を減らしていった。そしてすべての人間が
滅びようとした時、「科学」と「魔術」の二つの能力を扱う者が
現れた。人々は彼らを「終末の騎士」と呼んだ。
「終末の騎士」は世界にたったの五人。すべての魔物を倒すには
あまりにも少ない勢力である。しかし、人々は願っていた。彼らが
ふたたび世界に平和をもたらすことを・・・