第7話 彼岸花
受験期もラストスパートだ。
体育祭後から先輩に会う機会はめっきり減ってしまった。
生徒会には所属しているけど、
先輩がいたときの、あの感じはもうない。
もっぱら、
私の役割は、
生徒会室で資料をまとめるだけになっていた。
それがいいとか、わるいとかではないけれど…
─────
卒業式は、滞りなく終了した。
新会長は、祝辞でぼろぼろ泣いていた。
それがこの学校の縦の繋がりを象徴しているみたいだった。
元生徒会のメンバーには、
落ち着いたら生徒会室に来てほしいと伝えていた。
きっと、
お世話になった卒業生のほとんどが、
今日を境に、会うことがなくなる。
特に私は、生徒会に入ってから、
学校生活が劇的に変わった。
一番、感謝を伝えなければいけないのは、
私なのかもしれない。
友達や先生、後輩たちに引き止められていたのだろう。
元生徒会のメンバーが集まったのは、
式が終わって二時間ほど経ってからだった。
一人ずつ感謝の言葉を述べたあとは、
個々に分かれて話していた。
私は、自然と先輩と話していた。
進路、引っ越し、最近おすすめの化粧品、学校生活で唯一怒ったことなど……
みお先輩と、この場所で話すのは最後。
もしかしたら、今後一生話すこともないかもしれない。
それでも、涙はでなかった。
生徒会に入る前の、
孤立していた自分はもういない。
これから去る人に、余計な心配をかけたくなかった。
そうこうしてると、廊下から先輩を呼ぶ声が聞こえる。
帰りにクラスで打ち上げがあるようだ。
雑談を切り上げる。
目を見て言った、
「みお先輩、ご卒業おめでとうございます。
これからも、元気に過ごしてください。」
もっというべき言葉があったか、
最後の言葉にはしては淡白すぎたか、
なにか付け加えようか、
と考えていると顔の方に先輩の右手が伸びてくる。
ああ、いつものやつかな。
少し頭を傾ける。
そう思ったけど、違った。
先輩が私の肩を抱く。
左手を腰にまわして、クっと引き寄せる。
「─────」
彼女は耳もとで口だけを動かす、
その言葉が私に届くはずはない。
すぐにほどいて、
いつもより控えめな笑顔で、
短く手を振って生徒会室を出ていく。
また、明日と言わんばかりに。




