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第3話 アンチューサ

学校祭前日。




ステージ設営の最終仕上げのため、


生徒会役員と各クラスからの装飾係が体育館に集まっていた。




各々、生徒会長と装飾係リーダーの指示に従って作業を進める。




作業は順調に進んでいた。


そろそろラストスパートと言う辺りで、


書類と段ボールを交互に見ながら男子生徒が呟く。




「……あれ、足りなくない?」




男子生徒は、装飾係リーダーを呼んで物品の数を確認をしている。




やはり、数が合わないらしい。




私は、手元のチェックリストを見る。




ここの最終チェックをしたのは私。


確かに、前回の確認した時点では揃っていた。


……はずだった。








指先が冷たくなる、




途端に、あの日の記憶が曖昧になる、




時間がゆっくり流れる、反対に鼓動は早くなる、




今から買いに行って間に合うのか、計画を変更してもらうか——






「朝倉?揃ってたんだよね?」




会長が私に声をかけてきた。




責めている声色じゃない、


でも、


責任の所在を探すみたいに、


ゆっくりと、


みんなの視線がこちらに集まってくる。




「……はい」 と言いかけたとき。




「会長、それ咲ちゃんのミスじゃないと思うよ。」




みお先輩の声だった。


柔らかくて静かだけど、はっきりした声。




「私も一緒に確認してるし、記録も残ってるよ」




先輩が備品のファイルを指さす。




「それに、咲ちゃんが確認を疎かにするわけないでしょ」




まぁ、それもそうかと。


会長は、「責めるような言い方で悪かった」とだけいって男子生徒の方へ歩いていく。




結局、足りなかったものは、体育準備室の備品の裏に紛れ込んでいた。




問題は、あっけなく解決した。




先輩に「ありがとうございます」と伝えに行くと、


「咲ちゃんを疑うなんて許せない!」と、少し大げさに怒ってみせた。




私は笑ったけれど。


胸の奥に、なんとも言えない、ぎこちなさだけが残っていた。




それを見透かされたのか、 先輩は私の髪を、くしゃっと撫でた。

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