エルフさん、シローを苦悩させる
さて、えらいことになった。漫画の中だけの話やと思ってた押しかけ女房が、俺のところに来た。
それも、美少女でエルフで異世界転移者とまあ、情報の大渋滞を起こしとるわけで・・・
初見はなんかのドッキリかと思ったんやけども、ちょっと話してみるとマジもんやと分かって、彼女の現状がちょっと大変やったもんで、思わず少しばかりの支援をしてしまったら、気が付いたらこのザマと。
いや、おかしいやろ! あいつ、風呂借りる時にえらい逡巡しとったぞ?
結婚やなんや言い出したんは、買うたった服やら飯やらの恩返しが、それしか思いつかんかったんやなって分かる。なんか俺が賢者やと勘違いしとったみたいやし。
で、お前の貞操の危機やから、気にせんとどっかいけって、オブラートに包んで言うたったのに、『お互い楽しめばいいんじゃない?』って返事なに?反応おかしない?貞操観念高そうな態度してたのに、なんでそんなメーター振り切った反応すんの?
うん、一人で考えてもわからん。相談しよ。
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なあ、ヒロちゃん、ありのまま今起こった事を話すとやな。美少女エルフが突然嫁に来てん。何を言うてるのかわからんと思うけど、俺も何もわからんねん。
「あー、シローくん、せやからな、椅子を用意して、その美少女エルフに座っといてもろて、カーテンでそこを目隠しして、ほんとにそこにおる想定で生活を・・・」
俺は生活が乱れて、戦後の社会復帰が危ぶまれる捕虜やないから。
「しゃあないなあ、じゃあそいつに、ケティ・モーリスって名前をつけて・・・」
あれは赤毛の少女やからまだ見れるけど、30過ぎたおっさんに何させようとしとんねん。
「ほな、マーニーでどや?」
俺がやったら、痛々しさが半端ないわ!
「いや、シローくん、そんなん言うたかて、そんな山奥に引き籠ったん、対人関係のせいやろ?変にイケメンで何でもできるから、ややこしいことになってもうたやん?そら僕かて心配するって。」
いやヒロちゃんの気持ちはようわかるけど、ほんまに実在してるから見に来てって!・・・変にイケメンって何?
「まあ、そこまで言うんやったら見に行くけど・・・リリーの缶詰セットと果物かごどっちがいい?」
どっちもいらん!!俺は入院患者か!!
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「お初にお目にかかります。妻のディードでございます。今後とも宜しくお願い致します。」
「・・・・・・・ほんまや!!!!」
・・・お前、なにさり気なく、自分の立場を妻にランクアップしとるんや?