エピソード50:黒騎士との戦い - Part 7
水晶の球体から放たれた眩い光は、闇を押し戻すように周囲に広がり、ハノカの身体を包み込みました。光が収まった時、ハノカの姿は以前とは見違えるほど、神々しく輝いていました。
「…これは… なんという力…!」
ハノカは、自分の中から漲ってくる、今までとは比べ物にならないほどの力を、驚きと戸惑いを持って感じ取っていました。
「…ハノカ! わたしの残りの力を全ておまえに託した… 今なら闇を打ち払えるはずだ! 黒騎士を倒せ!」
メルビンの声が、ハノカの耳に直接響いてきました。ハノカは、メルビンからの言葉を胸に、黒騎士を見据えました。
黒騎士は、ハノカの変化に驚きを隠せない様子でしたが、すぐに狂気じみた笑みを浮かべました。
「…ふはは! 面白くなってきたではないか! おまえごときが、闇の力を制御できるとでも…?」
黒騎士は、闇の力を纏った巨大な剣を振り上げ、ハノカに向かって突進してきました。しかし、ハノカは、メルビンから受け継いだ力を使って、黒騎士の動きを先読みし、軽やかにそれをかわしました。
ハノカは、白の魔法の力を込め、掌から光の矢を放ちました。黒騎士は、闇の力で矢を弾き返そうとしましたが、ハノカの放つ光の矢は、黒騎士の鎧を貫き、黒騎士は悲鳴を上げながら膝を落とします。
黒騎士は、今までとは比べ物にならないほどの力を目の当たりにし、焦りと恐怖の色を浮かべました。
「…な…なんだ… こんな… こんな力は…!」
ハノカは、黒騎士に止めを刺そうと近づきましたが、黒騎士は咄嗟に闇の魔法を唱え始めました。
「…愚かなる光使いよ! 貴様など、この闇の呪詛によって永遠の闇に堕ちるがいい!」
黒騎士が唱えた呪詛は、すさまじいスピードでハノカに向かってきました。ハノカは、咄嗟にメルビンから受け継いだ力を使い、光の障壁を作り上げました。
障壁に当たった呪詛は、はじけ返り、黒騎士に向かって跳ね返っていきました。黒騎士は、自分の放った呪詛を避けられず、直撃を食らってしまいました。
闇の呪詛に包まれた黒騎士は、断末魔の叫び声を上げながら、光となって消滅していきました。
辺りは、静寂に包まれました。黒騎士が倒れたことで、闇のオーラは消え去り、ようやく穏やかな空気が戻ってきました。
ハノカは、膝をつき、メルビンから受け継いだ力のあまりの強さに、脱力感を感じていました。
「…ハノカ! 大丈夫か?」
エドワードが、心配そうにハノカに駆け寄って来ました。セシリアとシアンも、安堵の表情でハノカを見つめています。
「…ああ、大丈夫です… 少し疲れているだけです…」
ハノカは、仲間たちの温かい視線を感じ、ほっとした気持ちになりました。
その頃、空には、エーテルウォルド学院所属の魔法飛行船の姿が現れました。ハノカたちが黒騎士と戦っていることを察知し、学院から応援が駆けつけてくれたのです。
魔法飛行船からは、校長先生やヴィヴィアンの姿が降りてきて、安否を気遣ってくれました。
ハノカたちは、一連の出来事を報告すると、校長先生は、ハノカが闇をも浄化するほどの力を扱ったことに驚きを隠せませんでした。
そして、ハノカたちを魔法飛行船に乗せると、学院へと戻っていきました。ハノカは、今回の戦いで多くの傷を負いましたが、仲間たちの支えと、メルビンからの最後の託しによって、黒騎士を倒すことができました。
しかし、闇の魔法使いの目的や、黒騎士が復活しかけたことなど、依然として謎は残っていました。ハノカは、メルビンから受け継いだ力を使いこなす訓練をしながら、闇の魔法使いの正体を暴いていくことを決意するのでした。




