エピソード50:黒騎士との戦い - Part 6
安堵のため息が漏れたのも束の間、ハノカたちは信じられない光景を目の当たりにしました。地面に倒れ伏せていたはずの黒騎士の巨体が、みるみるうちに動きを取り戻したのです。
黒騎士は、割れた魔導書と片腕の傷を無視して、立ち上がるとともに、不気味な笑みを浮かべました。
「…はははは! 愚か者どもめ! 確かに魔導書は失ったが、まだ倒れる気はないぞ! 我は闇の力を限界まで解放させてやる! 貴様らが地獄を見るがいい!」
黒騎士の身体から、禍々しいほどの闇のオーラがほとばしり出しました。地面が震動し、空気が重苦しくなり、あたり一面が闇に包まれようとしています。
「…こ…これは…!」
ハノカは、白の魔法の力を込めようとしましたが、黒騎士が放出する闇のあまりの強さに、力が制御できませんでした。
「…ハノカ! 気をつけろ! 奴は今、闇の力を限界まで解放させている! これ以上の力は危険すぎるぞ!」
メルビンの声が、焦りを感じさせるような調子でハノカの耳に響いてきました。
エドワード、セシリア、シアンも、黒騎士の放つ闇の力に圧倒され、身動きが取れません。
「…このままでは… やられてしまう…!」
絶望がハノカの心をよぎりましたが、諦めるわけにはいきません。黒騎士の闇の力が王国を飲み込まないように、なんとかしなければ。
ハノカは、水晶の球体をにぎりしめ、必死にメルビンに訴えました。
「…メルビンさん! 何か、この状況を打破する方法はないんですか?」
「…あるかもしれない… しかし、非常に危険を伴う…」
メルビンの声が、ためらいがちに響いてきました。ハノカは、仲間たちのことを考えると躊躇しましたが、他に選択肢はないようでした。
「…どんな危険でも構いません! このままでは王国が滅びてしまいます! 力を貸してください、メルビンさん!」
ハノカの強い意志を感じ取ったのか、メルビンの声が再びハノカの耳に届きました。
「…分かった。ならば、おまえに、封印されていたわたしの残りの力を全て託そう… その力は、闇をも浄化するほどの強大な力だが、制御を誤れば、おまえ自身が闇に飲まれてしまう危険もある…」
ハノカは、メルビンの言葉の意味を一瞬飲み込めませんでしたが、今の状況を打破する術が他になければ、この力にすがるしかありませんでした。
「…それでも構いません! メルビンさんの力をください!」
ハノカが強く叫ぶと、水晶の球体が眩い光を放ち始めました。光は、周囲を照らし出し、闇を少しずつ退散させていきます。
そして、ハノカの身体にも、その光が満ち溢れていきました。
果たして、ハノカは、メルビンの残りの力を制御することができるのでしょうか? そして、黒騎士を倒すことができるのでしょうか?




