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エピソード44 封印の光

巨大な怪物に追い詰められていた私たちは、絶体絶命のピンチに陥っていました。


エドワードは、剣技を繰り出しても、怪物の分厚い皮膚を傷つけることすらできません。


シアンの放った矢は、怪物に当たっても、跳ね返されてしまいます。


セシリアの魔法も、怪物の一瞬の動きを止める程度にしかならず、決定打にはなりませんでした。


怪物の猛攻を防ぎ続けるのも限界に近づいていました。


「このままじゃやられる…!」


シアンが叫び声を上げ、間一髪、怪物が振り下ろした巨大な爪をかわしました。


瓦礫が飛び散る中、私は、ふと、試練の最初の場所にあった王家の宝物庫の一角に飾られていた、王冠をかぶった騎士の石像のことを思い出しました。


石像の胸には、盾のようなものが彫られており、溝がありました。


そして、私たちは、その溝に、王家の鍵の一つを嵌め込むことで、石像の口から新たな羊皮紙が吐き出されたのでした。


もしかして…水晶の球体にも、何か鍵が必要なのではないだろうか?


「待て!」


咄嗟に声を上げ、仲間の動きを止めました。


「水晶の球体! もしかしたら、鍵が必要なのでは?」


困惑した表情でこちらを見る仲間たちに、王家の宝物庫での出来事を説明しました。


「鍵…?」


エドワードが呟きながら、カバンの中から、王家の鍵の束を取り出しました。


王家の鍵は、それぞれ形が異なっていて、どれが合うのかはわかりませんでした。


しかし、諦めるわけにはいきません。私たちは、一つずつ、慎重に、鍵を水晶の球体に近づけていきました。


すると、何本目の鍵だったでしょうか。


水晶の球体が、かすかに光を放ちました。


そして、鍵が、まるで吸い込まれるように、水晶の球体の中に消えていきました。


球体の光は、さらに強くなり、内部が渦巻くように光り輝き始めました。


怪物も、不穏な光を放つ水晶の球体に、警戒するように、後退りしました。


そして、球体の光が、ピークに達した瞬間、閃光が走り、あたり一面が眩い光に包まれました。


眩しさで目を瞑っていた私たちは、光が収まるのを待ちました。


光が消えると、目の前に広がる光景は、一変していました。


巨大な怪物はいなくなっていました。


そして、水晶の球体が、元の古びた姿に戻っていました。


しかし、球体の中には、以前とは違い、ぼんやりと輝く、人の姿が浮かんでいました。


「…これは…?」


私たちは、言葉を失って、水晶の球体を見つめていました。


「…助けを求める者よ…この封印を解いてくれたことを、感謝する…」


球体の中から、かすかな声が聞こえました。


声は、年老いた男性のもので、どこか悲しげに響いていました。


「…私は、かつてこの王国の魔法使いであった…しかし、王の命により、やむを得ず、封印されたのだ…」


声が、続きました。


「…封印された理由は…私の暴走した魔法のせいだ…」


「…だが、私の残された力は、王家の血を引く者のみが解放することができる…」


声は、さらに、私たちに語りかけてきました。


「…もし、王家の血を引く者であれば…私に残された力を、受け継ぐ覚悟はあるか?」


私たちは、お互いに顔を見合わせました。


エドワードは、王家の血を引く者なのかもしれません。


しかし、魔法の力を受け継ぐということは、どういうことなのでしょうか?


「…一体、どうすればいいんだ?」


エドワードは、水晶の球体に話しかけました。


「…その答えは、お前自身の心の中にある…力を求めるのであれば、この球体に触れよ…」


球体からの声が、静かに、そして、消えゆくようにして聞こえてきました。


私たちは、沈黙したまま、水晶の球体を見つめ合っていました。


これは、試練を突破したということなのか?


そして、王家の血を引くエドワードが、魔法の力を継承するかどうか、重大な決断を下さなければなりませんでした。


「…どうしよう…」


エドワードは、震える声で呟きながら、水晶の球体へと、ゆっくりと、手を伸ばしていきました。

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