エピソード35 再会と新たな目的
一息ついた後、私たちは、再び、魔法陣が光を放っている壁側へと向かった。
魔法陣の中央には、先ほどセシリアが井戸から持ち上げた盾が置かれていた。
私は、その盾を手に取ってみた。
盾は、想像よりも軽く、表面には、複雑な模様が描かれていた。
「…これが、伝説の盾…ということでしょうか?」
私は、少し畏れを感じながら、盾を掲げた。
盾には、何らかの力が宿っているような気がした。
シアンも、盾を興味深そうに眺めていた。
「…確かに、ただものではない感じがしますね。でも、どうすれば、この盾を使いこなせるんでしょうか?」
シアンが、疑問そうに言った。
セシリアは、魔法陣をじっと見つめていた。
「…もしかしたら、この魔法陣が、盾の使い方の鍵なのかもしれません。魔法陣の模様を解読できれば、何かヒントが得られるはずです」
セシリアは、そう言って、魔法陣の模様をスケッチブックに写し始めた。
私たちは、セシリアの作業を待つ間、周りを見回した。
井戸の底は、意外と広く、石畳が敷き詰められていた。
壁沿いには、いくつかの扉が並んでいた。
「…もしかしたら、これらの扉の先にも、何かがあるのかもしれませんね」
シアンが、扉を指さしながら言った。
私は、扉の一つに近づいてみた。
扉は、古びていて、頑丈そうだったが、施錠はされていなかった。
私は、恐る恐る、扉を押してみた。
扉は、きしむ音を立てながら、ゆっくりと開いた。
扉の向こうは、薄暗い通路になっていて、奥行きが見えなかった。
「…ちょっと、不気味ですね…」
シアンが、少し怯えた様子で言った。
「…でも、先に進むためには、扉を開けるしかないかもしれません」
セシリアは、そう言って、スケッチブックを持ち、通路の中へと入っていった。
私たちは、セシリアの後を追って、通路を進んでいった。
通路は、少し下り坂になっていて、ひんやりとした空気が漂っていた。
壁には、所々に、たいまつが設置されており、ぼんやりと通路を照らし出していた。
しばらく歩くと、通路は、広めの部屋へと続いていた。
部屋の中央には、台座が置かれており、その上に、ひとつの水晶が輝いていた。
その水晶は、まるで、何かのエネルギーを秘めているかのように、紫色に光っていた。
「…わぁ…なんて綺麗な水晶なんでしょう…」
私は、思わず、その水晶に魅入られてしまった。
シアンも、水晶を興味深そうに眺めていた。
セシリアは、水晶に近づき、慎重に触ってみた。
すると、水晶が、さらに強く輝き始めた。
そして、水晶の中から、かすかな声が聞こえてきた。
「…助け…を…求む…」
その声は、弱々しく、かすれて聞こえたが、間違いなく、人間の言葉だった。
私たちは、驚きのあまり、言葉を失ってしまった。
水晶の中から、助けを求める声が聞こえてきたのだ。
一体、誰がこの水晶の中に閉じ込められているのだろうか?
そして、この水晶は、伝説の盾を使いこなすための鍵になるのだろうか?
多くの疑問が浮かび上がってくる中、私たちは、水晶の前で立ち尽くしていた。
石像には、頭の部分が欠けていたが、残っている部分には、王冠のようなものが彫られていた。
台座には、六つの穴が空いており、その穴には、様々な形の石が置かれていた。
丸い石
三角形の石
四角形の石
五角形の石
六角形の石
不規則な形の石
石像の首回りには、王冠の形をした溝が彫られており、不規則な形の石がぴったりと収まりそうだった。
「…どうやら、王冠の形をした溝に、不規則な形の石を嵌め、残りの穴に、他の石を順番通りに嵌めれば扉が開く仕組みのようだな」
エドワードは、石像と台座を分析しながら言った。
問題は、どの順番で石を嵌めればいいのかということだった。
私たちは、石像の台座の近くに、いくつかの石板が置かれていることに気づいた。
石板には、何やら、記号のようなものが刻まれていた。
「…もしかしたら、この石板が、石を嵌める順番のヒントになっているのかもしれない!」
セシリアは、石板を手に取り、熱心に観察し始めた。
石板には、六つの区画が並んでおり、それぞれの区画には、石と同じ形の記号が描かれていた。
その隣には、矢印のようなものがいくつも刻まれていて、ある区画から別の区画へと矢印が伸びていた。
「…これって、もしかして…流れ図?」
シアンは、石板を覗き込んだ。
私たちは、石板の記号と石の形を照らし合わせながら、石を嵌める順番を考え始めた。
矢印の流れを追っていくと、ある順番が浮かび上がってきた。
「…どうやら、石を嵌める順番は、三角形 → 四角形 → 五角形 → 六角形 → 丸形 → 不規則形…のようだ!」
私たちは、石を、石板で導き出された順番通りに、台座の穴へと嵌めていった。
「…これでいいはずだ…」
エドワードは、緊張した面持ちで言った。
私たちは、全員で息を呑んで、石像の顔を凝視した。
すると、石像の目が、かすかに光り始めた。
そして、ゆっくりと、扉が横にスライドして開いた。
「…やった…! 成功だ!」
シアンは、拳を突き上げた。
扉の向こう側には、薄暗い通路が続いていた。
「…さあ、いよいよ『封印の間』を目指すぞ!」
エドワードは、覚悟を決めたように言った。
私たちは、懐中火をつけて、慎重に、扉の向こう側へと進んでいった。




