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エピソード33 降りゆく試練と白き魔法

セシリアが井戸の中に降りていく様子を見守りながら、私は、図書館で読んだ本の中にある、白き魔法に関する記述を必死に思い出そうとしていた。


「…光導け! 清浄なる力よ! 悪を祓え!」


記憶の断片をつなぎ合わせ、ようやく、そのキーワードを思い出すことができた。


それは、白き魔法を発動させるための呪文だったような気がする。


私は、藁をもすがる思いで、その言葉を、井戸に向かって叫んだ。


すると、一瞬、あたりが静まり返った後、井戸の中から、かすかな光が上がった。


そして、セシリアの声が聞こえてきた。


「…え? 今、何か聞こえましたか?」


声は、少し弱々しかった。


「…セシリアさん! 大丈夫ですか!? 呪文を唱えたんです! 白き魔法の!」


私は、必死に声を張り上げた。


すると、井戸の中から、少し力強い声が返ってきた。


「…呪文ですか? 少し、力が湧いてきたような気がします…」


セシリアの声は、だんだんと力強くなっていった。


そして、


「…待って…魔法陣が反応している!」


という声が聞こえてきた。


魔法陣が反応しているということは、セシリアが白き魔法を使えるようになったということかもしれない。


私は、期待に胸を膨らませながら、セシリアを助ける方法を考えた。


シアンは、


「…ロープで引っ張り上げるのは、あのゴーレムが邪魔をするだろう。別の方法を考える必要があるな」


と、冷静に分析していた。


その時、ふと、図書館で読んだ本の中に、井戸から脱出するための特殊なロープの使い方についての記述があったことを思い出した。


「…シアンさん! ロープの使い方を変えれば、セシリアさんを引っ張り上げられるかもしれません!」


私は、シアンにそう言うと、必死に本の中を探し始めた。


そして、見つけた。


ロープの先端に、金属製の輪っかを作るように、と、その本には書いてあった。


「…シアンさん! ロープの先端に輪っかを作ってください! セシリアさんは、その輪っかに盾の持ち手を引っ掛けて、上に登ってこれるはずです!」


私は、叫んだ。


シアンは、すぐに、私の指示通りにロープの先端を加工し始めた。


一方、井戸の中からは、


「…ゴーレムの動きが鈍くなってきました! これは、白き魔法の効果でしょうか?」


という、セシリアの声が聞こえてきた。


どうやら、セシリアは、白き魔法を使いこなすことはできないものの、呪文を唱えることによって、ゴーレムの動きを鈍らせる程度の効果を発揮することができたようだ。


シアンが、加工したロープを井戸の中に下ろすと、セシリアは、それに気づくと、


「…わかりました!」


と言って、盾の持ち手を輪っかに通した。


そして、私たちは、力を合わせて、セシリアを井戸から引っ張り上げた。


セシリアは、井戸の外に這い出すと、


「…助かりました! 本当にありがとうございました!」


と、礼を言った。


「…よかったです! だけど、あのゴーレムはどうしましょう?」


シアンは、井戸の中を覗き込みながら言った。


井戸の中には、数体のゴーレムが、まだ動き回っていた。


しかし、セシリアが白き魔法を使った影響で、動きは鈍く、以前よりも脅威が少なくなっていた。


「…このままでは、先に進めませんね。やはり、ゴーレムを倒す必要があります」


セシリアは、そう言って、懐中電灯を手に、ゴーレムに立ち向かおうとした。


しかし、私は、セシリアを止めた。


「…待ってください! セシリアさんは、まだ白き魔法を使いこなせません。無理をするのは危険です!」


私は、必死に、考えを巡らした。


そして、


「…シアンさん! 盾を使って、ゴーレムの動きを制限してみるのはどうでしょうか? セシリアさんが白き魔法で、その動きをさらに鈍らせれば、なんとか倒せるかもしれないと思います」


私は、そう提案した。


シアンは、少し考えた後、


「…なるほど。やってみます」


と言って、盾を構えた。




シアンが盾を構えると、セシリアも覚悟を決めた様子で、ゴーレムの一体と対峙した。


セシリアは、再び呪文を唱えた。


「…光導け! 清浄なる力よ! 悪を祓え!」


呪文を唱えると、ゴーレムの動きが、さらに鈍くなった。


シアンは、その隙を逃さず、盾でゴーレムの巨体を押しやった。ゴーレムは、よろめきながら、壁にぶつかり、動きを止めた。


セシリアは、目の前のゴーレムが止まったことを確認すると、すぐに次のゴーレムへと向かった。


シアンも、盾を使って、ゴーレムの動きを制限しつつ、セシリアが白き魔法を使えるようサポートした。


セシリアは、必死に呪文を唱え続け、ゴーレムの動きを鈍らせていく。


ゴーレムは、鈍重な動きながらも、巨体と腕力を持っていたため、一撃で倒すことはできなかった。


だが、シアンが盾で動きを制限し、セシリアが白き魔法でさらに鈍らせるという連携により、少しずつ、ゴーレムを倒していくことができた。


激闘が繰り広げられる中、私は、ゴーレムを倒す別の方法はないかと、必死に考えていた。


その時、ふと、手に持っていた本の中で、白き魔法とゴーレムに関する記述を思い出した。


その記述によると、白き魔法には、ゴーレムの動きを封じる特別な術式があるというのだ。


しかし、その術式を使うには、高度な白き魔法の使い手であることが必要とされていた。


セシリアはまだ白き魔法を使いこなせていないので、成功する保証はない。


だが、このままでは、ゴーレムをすべて倒すまでに時間がかかりすぎ、体力も消耗してしまう。


私は、思い切って、セシリアにその術式のことを話してみた。


「…セシリアさん! もしかしたら、ゴーレムの動きを封じる術式を使えるかもしれないんですが…」


セシリアは、驚いた表情で私を見た。


「…ゴーレムの動きを封じる術式? そんな魔法が本当に使えるんですか?」


「…本にはそう書いてありました。でも、かなり難しい術式みたいで…」


私は、少し言い淀んだ。


セシリアは、考え込むように黙っていたが、すぐに決意を固めた表情で、


「…やります! このまま、時間をかけて倒すよりも、挑戦してみる価値があると思います!」


と、言った。


私は、セシリアの勇気に感心しながら、本を開き、ゴーレムの動きを封じる術式の説明部分を、セシリアに読み聞かせた。


術式は、複雑なものではなく、呪文自体は短いものだったが、呪文を唱えながら、特定の動作をする必要があった。


セシリアは、必死に術式を覚えようと、呪文と動作を何度も繰り返した。


そして、


「…よし! 覚えています!」


と、言うと、ゴーレムの一体に向かって、術式を使った。


セシリアは、呪文を唱えながら、ゆっくりと手を前に差し出した。


すると、ゴーレムの巨体が、ピタリと動きを止めた。


ゴーレムは、まるで、石像のように、動かなくなった。


私たちは、目を疑った。


セシリアは、


「…成功したみたいですね!」


と、驚きながらも、安堵の表情を浮かべた。


残りのゴーレムも、セシリアは同じ術式を使って、次々と動きを封じていった。


ゴーレムの動きを封じることに成功すると、井戸の底は、静けさに包まれた。


「…やった…! 全部のゴーレムを…!」


シアンは、信じられない様子で呟いた。


私たちは、ようやく、安堵の息を吐いた。

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