エピソード31 月の光と伝説の白猫
未来の歴史書に記された新たな手がかりを頼りに、私たちは、再び、古城へと向かった。
日が暮れ、辺りは薄暗くなっていた。
「…水の音に導かれよ…ということだけど、水路は塞いでしまったし…」
私は、少し考え込んでしまった。
シアンは、地図を広げて、
「…そうだね。だが、水路は塞いでも、どこか別の水の通り道があるのかもしれない。音を頼りに、城の中を探索してみよう」
と、提案してきた。
私たちは、城の中を慎重に歩きながら、水の流れる音を必死に耳を澄ませた。
すると、かすかに、水が滴り落ちる音が聞こえてきた。
その音の方向へと進むと、薄暗い廊下の一角に、小さな井戸があるのが見えた。
「…もしかしたら、この井戸が水路につながっているのかもしれない」
シアンが、井戸の蓋を開けようとしたが、頑丈に閉められていて、びくともしなかった。
「…開かないな…鍵がかかっているのかもしれない」
諦めかけたその時、不意に、井戸の中から、白いものが飛び出してきました。
それは、一匹の白猫だった。
白猫は、驚くほどのスピードで、私たちの足元をすり抜け、夜の闇の中へと消えていった。
「…白猫!? 未来の歴史書には、白猫についての記述は無かったけど…」
私は、不思議そうに呟いた。
シアンも、
「…確かに…でも、あの白猫は、どこか神聖なオーラを纏っていたように見えたな」
と、少し考え込んでいた。
その瞬間、月の光が、井戸の中を照らし出した。
そして、井戸の底に、かすかな光が漏れているのが見えた。
「…壁の隙間より光が漏れる場所…もしかしたら、あの光がそうなのかもしれない!」
私は、未来の歴史書の内容を思い出し、叫んだ。
シアンも、井戸の中を覗き込み、
「…確かに、光が漏れているな。だが、どうやって降りればいいんだろう?」
と、困った様子だった。
井戸は、深くて、底までは見えず、とても飛び降りることはできない。
「…どうしようか…」
私たちは、途方に暮れていた。
その時、ふと、セシリアのことを思い出した。
セシリアは、身軽な身のこなしをしていたので、もしかしたら、井戸の中に降りることができるかもしれない。
「…もしかしたら、セシリアの力が必要かもしれない」
私は、シアンに話しかけた。
シアンは、うなずいて、
「…そうだね。村に戻って、セシリアに協力を仰いでみよう」
私たちは、急いで、村へと戻った。
村に着くと、早速、セシリアを探した。
すると、いつものように、図書館で本を読んでいたセシリアを見つけた。
「…セシリア! 大変なんです!」
私たちは、セシリアに、古城での出来事、そして、井戸の底に光が漏れていることを話した。
セシリアは、話を聞き終わると、
「…なるほど。白猫と、井戸の底からの光…これは、伝説の白猫に関する話と関係しているのかもしれませんね」
と、興味深そうな表情を浮かべた。
「…伝説の白猫?」
私は、初めて聞く話だった。
「…はい。この村には、代々、白き魔法の力を扱う一族がおり、その一族には、白猫が守護霊として付き従っているという伝説があります。もしかしたら、あの白猫は、その一族の末裔ではないでしょうか?」
セシリアは、そう説明してくれた。
「…だとすると、白猫は、私たちを導いてくれたのかもしれないな」
シアンが、言った。
「…それに、井戸の底からの光も、白き魔法の力が関係しているのかもしれません。私は、身軽なので、井戸の中に降りることができます。ですが、危険な場所かもしれないので、護衛をお願いしたいのです」
セシリアは、私たちに協力を求めてきた。
私たちは、快く承諾した。
そして、ロープや懐中電灯などの道具を用意し、再び、古城へと向かった。




