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エピソード13 歴史の重みと、生徒会長としての決意

アリアは、優しく微笑んで、私の方を向いた。


「…そして、あなた。歴史オタクとしての知識が、今回の戦いで大きな役割を果たしてくれました。歴史の重みを感じ取る力があったからこそ、白き光の護符の力を引き出すことができたのです」


私は、少し驚いた。まさか、自分の歴史オタクとしての知識が、こんな形で役に立つとは思っていなかった。


「…歴史書を読んで学んだこと、過去の英雄たちの勇気や、人々の想いが、今回の戦いに繋がったんだね…」


私は、少し感慨深い気持ちで呟くと、アリアは、うなずいてくれた。


「…そうです。闇の魔法を完全に消滅させるためには、まだまだ長い道のりが残っています。ですが、皆さんの協力があれば、きっと成し遂げられると信じています」


アリアの言葉に、私も力が湧いてきた。闇の魔法との戦いは、まだまだ続く。だが、伝説の魔法使いであるアリアをはじめ、各国から集結した強力な魔法使いたちがいる。そして、歴史の力を借りることができる自分たちもいる。


戦いが終わった後、学院では復興作業が始まった。負傷者の治療や壊れた建物の修繕など、やらなければならないことは山積みだった。


各国から集結した魔法使いたちは、それぞれ思い入れのある場所へと帰っていった。


だが、シアンだけは残ることにした。彼は、学院の教師になることを決意したのだ。


私自身も、学院に残ろうか迷っていた。歴史書の中でしか見たことがなかった魔法の世界を、実際に体験してきたのだ。この世界で、もっと魔法を学び、歴史の知識を深めるのも悪くないと思った。


しかし、シアンが、ある提案をしてきた。


「…君も、学院に残るのかと思っていたけど、そうじゃないのか?」


「…うーん、迷っているんだ。確かに、魔法の世界は魅力的だけど、元の世界にも戻るべきかなって…」


「…そうか。でも、君には、元の世界で果たすべき使命があると思う」


シアンは、そう言って、学院の生徒会長バッジを私に差し出した。


「…生徒会長選挙、君が立候補していたのを覚えてる? 今回の出来事で、生徒会長選挙どころじゃなくなったけど、君こそが生徒会長にふさわしいと思うんだ。魔法の力だけではなく、歴史オタクとしての知識も活かせると思うし…」


私は、驚いた表情でシアンを見た。正直、生徒会長になるつもりはなかった。魔法の世界に憧れていたとはいえ、自分にはその資格はないと思っていたからだ。


「…僕には無理だよ。魔法もろくに使えないし…」


「…魔法だけが生徒会長の資格じゃない。君には、歴史の知識と、この戦いで培ったリーダーシップがある。それに、白き光の護符の使い手でもある。君こそが、生徒会長として、この学院を引っ張っていくべきだと思うんだ」


シアンの言葉には、強い説得力があった。それに、今回の戦いで、仲間たちを導いてきた経験も、生徒会長としての資質になるかもしれないと思った。


少し考えた後、私は、シアンに答えた。


「…分かった。生徒会長になるよ。シアンやアリア先生たちと一緒に、この学院を、そして、この世界を闇の魔法から守っていく」


私は、生徒会長バッジを手に取り、決意を新たにした。


こうして、私は、歴史オタクの高校生から、エーテルワルド学院の生徒会長へと、新たな一歩を踏み出すことになった。


魔法を学び、歴史を研究し、仲間たちと協力して、闇の魔法と戦う。それは、想像していた学生生活とは全く違うものだったが、決して悪いものではなかった。


むしろ、歴史書で学んできたものが、実際に役に立つということに、やりがいを感じていた。


そして、いつか必ず、歴史書の中でしか見たことがない、伝説の魔法使いであるアリアが闇の魔法を完全に消滅させる方法を見つけてくれると信じていた。


その日が来るまで、私は、生徒会長として、歴史オタクとしての知識を駆使して、エーテルワルド学院を、そして、この世界を守っていくことを誓った。

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