エピソード10 再会と決意
砂漠の夜空に降り立った銀髪の女性は、穏やかな微笑みを浮かべながら、ゆっくりと私たちの前に歩み寄った。
「…皆さん、お探しの人間は、私です」
その瞬間、私は固唾を飲んで、女性を見つめた。白き光の護符から感じ取っていた、あの優しい声の主。伝説の魔法使い、アリアだった。
シアンも、驚きと安堵の入り混じった表情を浮かべていた。ようやく、伝説の魔法使いを見つけることができたのだ。
アリアは、私たちに近づくと、優しく手を差し出した。私は、まだ信じられない気持ちでいたが、シアンに促されて、その手に触れた。
アリアの手は、冷たくもなく、温かくもなく、静かな力がみなぎっているようだった。
「…あなた方が、白き光の護符を持っている方達ですね。その護符からは、私の微かな力が宿っているはずですが、それを上手く使いこなしているようです」
アリアは、穏やかな声で話しながら、私とシアンの顔を見つめた。
私たちは、アリアにこれまでの経緯を説明した。荒野の神殿の封印が弱まっていること、いにしえの魔法都市で白き光の護符を入手したこと、そして、各国の魔法学院に協力を求めてきたこと。
アリアは、真剣な表情で話を聞いていた。そして、話を聞き終えると、ため息をついた。
「…闇の勢力が蠢動しているようですね。荒野の神殿の封印が弱まっているのも、気掛かりです」
アリアは、少し考え込んだ後、口を開いた。
「…皆さんと共に、荒野の神殿に向かい、封印を強化する必要があります。そして、闇の魔法を完全に消滅させる方法を見つけるためには、エーテルワルド学院に戻らなければなりません」
エーテルワルド学院に戻ると? 私は、少し驚いた。まさか、学院に戻る話が出るとは思わなかった。
「…学院には、闇の魔法を消滅させるための古い文献が保管されています。そして、闇の魔法に対抗する、強力な魔法陣を完成させるには、学院の施設が必要なのです」
アリアの説明を聞いて、ようやく納得した。伝説の魔法使いであるアリアが、なぜ学院に戻る必要があるのか、その理由がようやく理解できた。
しかし、シアンが心配そうな顔をしていた。
「…ですが、学院の周りには、最近になって奇妙な現象が起きています。闇の力が少しずつ溢れ出しているようです。学院に戻るのは危険ではないでしょうか?」
アリアは、シアンの言葉を聞くと、少し考え込んだ後、決意に満ちた表情で話した。
「…だからこそ、学院に戻らなければなりません。闇の勢力が、封印を解くために、動き出しているに違いないのです。学院を守るためにも、そして、闇の魔法の根源を突き止めるためにも、私たちが学院に戻る必要があります」
アリアの言葉には、強い意志が込められていた。私たちは、アリアの決意に感銘を受け、彼女と共に学院に戻ることを決意した。
こうして、砂漠の夜に、新たな旅が始まった。アリアに加えて、各国の魔法使いたちも、学院に戻って力を合わせることに賛同してくれた。
砂漠を抜け、山脈を越えて、旅は数日間続いた。そして、ようやくエーテルワルド学院が見えてきた。だが、近づいてみると、学院の周りは、不穏な空気に包まれていた。
木々が枯れ果てたり、動物たちが異様な行動をとっていたりするのと同じ現象が、学院の周辺でも起きていたのだ。
「…やはり、危険なようですな」
シアンが、警戒するように呟いた。アリアは、静かに頷き、白き光の護符を手に取り、魔法陣を展開した。
「…学院を守るための、一時的な結界を張ります。これで、侵入してきた闇の魔法使いたちを、学院の中に閉じ込めることができます」
アリアが魔法を唱えると、学院の周りを青い光が包み込んだ。そして、私たちは、学院の門へと向かった。
門の前には、ローブを纏った数人の闇魔法使いが立っていた。どうやら、彼らは、学院に侵入しようとしていたようだ。
アリアは、私たちに目で合図を送った。そして、一斉に、闇魔法使いたちに襲い掛かった。
こうして、エーテルワルド学院を舞台にした、新たな戦いが幕を開けたのだった。
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