遅刻の理由
今朝、こんな夢を見たんです。
夢の中で私は、いつものように学校に向かおうとしていて、そしていつものように、近道をする為、公園を通ろうとしていました。
それは全く、いつも通りの私の登校の光景で、何も変わった所はありませんでした。ところがです、公園の低い柵を乗り越え、地面に足を下ろしたその瞬間に、私の足は何故だか動かなくなってしまったのです。
何かの圧力を感じ、下を見ると、私の足首は、地面から生えている手によって捕えられていました。しかも、一本や二本ではありません、無数の手が私の足を掴まえ、離すまいとしていたのです。
私は恐怖を感じ、叫びました。
そこで、目が覚めました。時計を見ると、少し寝過ごしてしまっていて、私は慌てて準備をし、外へ飛び出しました。
遅刻しそうな訳ですから、当然、近道を行きます。いつもの公園を目指しました。夢の事を不気味には思いましたが、それで道を変更するなんて事は馬鹿げています。
ところがです。
いつもの柵を乗り越え、公園の土に足を付けた瞬間、私の足は動かなくなってしまったのです! そう、ピクリとも。
これでは、夢と同じです。
もちろん、地面から生えている手なんて見えませんでした。しかし、私の足はピクリとも動かないのです。
私は恐怖を感じ、焦りましたが、足はやはり動かず、その中で時間はどんどんと過ぎていきました……
「……と、いう訳で、遅刻をしてしまったんです、先生」
「嘘だろ?」
「はい」




